1.はじめに
お久しぶりです。先日参加した少年ヤンガスの大会、『第3回ニールリーグ盗賊王杯final』のレギュレーションがとてもよく練られていて感動したので、その面白さについて語りたいと思います。
※少年ヤンガスをある程度遊んでいないと伝わりにくい表現があるのでご了承ください。魔導の宝物庫でベリアルを配合したことがある方なら十分伝わると思います。
2.ニールリーグ盗賊王杯って何?
少年ヤンガスの解説動画やゆっくり実況動画の投稿を行っているニール氏(YouTubeチャンネル)が毎年開催している、少年ヤンガスの縛り大会である。
ルールの詳細は大会の告知動画(リンク)と開会式動画(リンク)を見てもらったほうが早いだろう。
簡単に要約するとこんな感じになる。
・盗賊王の大宮殿(100階構成)をクリアしよう!
・クリアした階層がそのままポイントになるぞ!途中で力尽きてもその階層の記録がポイントになるから諦めるな!
・運営が指定したモンスターを配合したり、指定のアイテムを集めて最下層までたどり着けばボーナスポイントがもらえるぞ!
・配合が難しいモンスターやレアなアイテムをゲットするほど高得点だ!
・集計期間(約1週間)以内に記録を提出すればOKだ!期間内は何回でも記録を提出できるぞ!
・期間内で最もポイントが高かった人が優勝だ!
3.非常に良く出来たレギュレーション
①初心者から上級者まで逆転の可能性は無限大!大会を彩るボーナスポイント
この大会の鍵となるのがボーナスポイントである。大きく分けて4つあるので1つずつ見ていこう。
・配合ボーナス
運営が指定したモンスターを配合で作ることができれば、その配合の難易度に応じてボーナスがもらえる。
基本的に浅い階層や少ない配合回数で作れるモンスターは得点が低く、逆に深い階層まで素材を持っていく必要があったり、配合過程が複雑なモンスターほど得点が高い。
どのモンスターを狙うのか、そのためにモリーの壷は何個必要か…高得点を目指すほど入念な計画が必要になる。
だがどれほど念入りに準備をしてモンスターを揃えようが、秘密の通路でモリーを引けなければすべてが破綻する。そのため最も点数のブレ幅が大きいボーナスと言える。
・チームボーナス
特定モンスターの組み合わせをそろえると加算される。
例として、プチヒーロー、プチマージ、プチファイター、プチプリーストの中から3体を揃えたら『プチット族…15ポイントのボーナス』といった感じ。
上の配合ボーナスと合わせて、ここで如何にポイントを稼げるかがこの大会の醍醐味の一つである。
配合で3体もモンスターを揃えるのは大変そう…と思うかもしれないが、チームによっては指定の野生産モンスターを1体まで代用として採用してもよいという救済措置がある。さらに、初心者限定で5ポイントモンスターを3体揃えると達成できるビギナーブーストというチームボーナスも存在する。
上で挙げた2つは前回の大会では存在しなかった要素であり、普段ダンジョン内配合をやらない人でも楽しんでもらえるよう点数を稼ぎやすい配慮がなされた素晴らしい調整だと思う。
・アイテムボーナス
特定のアイテムを入手すると加算される。
基本的に秘密の通路でしか入手できないものや通常フロアにはなかなか落ちていないものほど点数が高い。アイテム自体の点数は1or2ポイントと、配合の点数に比べれば大したことはないが、過去の大会では1ポイントの差で順位が入れ替わることが実際にあったため、決して馬鹿にはできない。
・特別賞
特定の課題を達成した人物に送られるボーナス賞。
①ブッチャー賞…武器の修正値(強化したときのプラス値)が最高のプレイヤー
②魔物使い賞…全参加者の中で誰も揃えていないチームボーナスを獲得したプレイヤー
③新人王…初心者枠の中で最もポイントが高かったプレイヤー
④審査員特別賞…大会中に起こった様々な事件の記録をXやLINEに投稿し、その中から選定されたプレイヤー
最も逆転の可能性が高いのがこの特別賞たち。
特に④、事故は誰にでも起こりうる。
通常では考えられないようなハプニングに遭遇した時、その喜怒哀楽を如何に面白おかしく伝えられるかという別方面のセンスが問われるところが面白い。
②配合モンスター検索も自己採点も楽々!大会を支える便利ツール
配合モンスターのルート探しや自己採点は面倒くさい…と感じる人もいるだろう。
だが安心してほしい。なんと運営側で今回のレギュレーションに合わせたモンスターブックや自己採点シートが用意されているのだ。こういったきめ細やかなサポートが行き届いているのがすごい。
・モンスターブック(リンク)
見ていただければ分かるが、このレギュで配点対象となるモンスターの作り方が一目瞭然になっている。しかも派生して得点アップが狙えるモンスターや含まれるチームボーナスなどの情報も表示される親切設計。他にも点数別、系統別、チームボーナス別…あらゆるソートを網羅しており痒い所に手が届く。非常に分かりやすいレイアウトで、眺めているだけでも楽しい。
・自己採点シート(リンク)
手に入れたアイテムと作成するモンスターをリストから選ぶだけで、チームボーナスや野生ペナルティの有無を判断し自動で点数計算を行ってくれる。この組み合わせって点数いくつになるんだ?といった疑問も計算ミスなしに導き出せるのでものすごく便利。
余談だが自分は最終日のギリギリに結果を提出したのだが、疲労困憊で点数計算をする余力も残っておらず、これに本当に命を救われた。
③こんなモンスターまで作れるの!?ダンジョン内配合の奥深さ
実は大宮殿に出現するモンスターだけでほぼすべてのモンスターを作ることができる。*1
マーマンやゴールデンスライムといったメジャーな配合から、ブラックルーン、ガニラス…果てはベリアル(!?)など、先に紹介したチームボーナスと合わせて、豊富な選択肢の中から自分だけの目標を決めることができる。
魔導の宝物庫でベリアルを作ったことはあるだろうか?大量の素材を抱えてモリーを求めさ迷い歩くストレス、配合で素材が一気に圧縮されるカタルシスは言い表せない快感がある。人にもよるがこのレギュレーションでは最初から最後までそれを味わい続けることができるのだ。特に深層でモリーを引いた時の達成感は筆舌に尽くしがたい。
④絶妙すぎるモンスター毎の作成難易度と点数配分の調整
配合が難しいモンスターほど点数が高いのは前述の通りだが、全体的なバランスが非常に良く取れている。
ベリアルとその素材を例に挙げると、
・ベリアル単体=190P
・デビルロード(55P)+アークデーモン(5P)+アトラス(120P)+系統統一(10P)=190P
・バズズ(65P)+ギガンテス(45P)+トロルキング(70P)+系統統一(10P)=190P
…となる。系統統一ボーナス込みでの素材の合計点とベリアル単体の点数が一緒なため、素材を1つに集約させても損にならず、むしろ空いた枠で更なる配合やアイテムを狙えるという絶妙な調整がなされている。一方で、配合の信頼度上げの過程で採点対象のボーナスアイテムを使った場合、合計点数で損をしていることになる。なるべく損をしないためにも、信頼度上げアイテムの確保を心掛ける必要がある。
さらにこのゲームには贈り物配合というシステムがあるのだが、これを利用しなければ生み出せないモンスターは点数が少し高めに設定されている。素材モンスター2枠分だけでなく、贈り物アイテム1枠を探してストックしなければならない手間がちゃんと考慮されているのだ。めちゃくちゃ細かい…
⑤この大会におけるゲーム性およびリスクとリターン
長くなるので飛ばしてもらっても構わない。
突然話が変わるが、ゲームの面白さを測る1つの考え方として、リスクとリターンというものがある。これはスマブラシリーズの生みの親、桜井政博氏が自身のYouTubeチャンネルで扱ったテーマの1つ(リンク)で、
リスクを冒してリターンを得る。これが”ゲーム性”そして”かけひき”の本質です。---桜井政博のゲームを作るには リスクとリターン【ゲーム性】より引用
と語っている。
これ、この大会においてあらゆる場面で出てくる重要な考え方だと思っている。具体的に例を挙げていこう。
まず、このゲームはアイテム欄にストックできるアイテム枠の数が20個と決められている。この20個を攻撃、防御、回復、逃走などなど、クリアするために必要なリソースに割いたうえで、どれだけ多くのレアアイテム・モンスターを持ち帰れるかを考えるというのが一般的な遊び方であり、基本ルールだろう。
しかしこの大会では基本ルールに加え、運営が定めた加点要素をクリアしなければ高得点は狙えない。つまり、配点の高いモンスターを狙うほど素材がアイテム枠を圧迫し、生存に必要なリソースが確保しづらくなる。高得点が得られるリターンと生存率が下がるリスクが比例関係にあるのだ。
アイテム欄をすべて得点を得るための要素に割り振ったとしよう。アイテム欄はモリーの壷17~18+保存の壷2~3になっているはずだ。この時リスクとリターンが最大の状態となり、敵の厄介な特技や床のワナにどう対応するか、敵に囲まれた状態をどう打開するかなどプレイングセンス、知識、そして運が問われる状況となる。
そしてこれはゲーム内に限った話ではない。集計期間という制約にも応用できる。
簡単な配合で作れるモンスターを揃えるだけなら1回あたりの試行時間はそれほどかからないだろう。1週間で十分達成できると思われる。しかし高得点を狙うとなると話が変わってくる。理想の状態で始めるためにリセマラをしたり、配合に必須のアイテムを集めるためギリギリまで1フロアに時間を費やしたり、終盤でモリーが引けなくて泣く泣くやり直したり…とにかく1回あたりの試行時間が膨大になりがちである。
1週間でどのくらい時間を捻出できるのか、どういったチャートを組むべきか、間に合わなさそうなら臨機応変に対応できるか…高い目標ほど綿密なスケジュールとリスク管理が求められるのだ。
まとめるとどこまでリスクを許容し、どれほどのリターンを狙うか常に考え、ケアを行い、時にはリカバリーする必要があるという非常に高度で面白いかけひきが求められるのだ。これがこの大会を一番面白くしている要素であり、初心者から上級者まで最も試行錯誤を要する部分だと思っている。
4.まとめ
長々と話したが、自分が述べたことだけが大会の遊び方ではない。得点にならなくても自分の好きなモンスターを作るぜ!という人もいれば、パンを143個集めて最下層の床のマスを全部埋める人もいる(もちろん得点対象ではない)。得点の制約はあれど、人の数だけ遊び方があって大会を盛り上げている。
自分が少年ヤンガスというゲームを遊ぶ上で考えたこともない発想が、こんなにも深いゲーム性のレギュレーションに落とし込まれているというのは、ただただ驚きと感動を覚えるばかりだった。今回が惜しくも最後の開催だということが残念でならない。
最後に主催のニールさん並びに運営陣の皆様、最高の大会をありがとうございました!
大会参加者の皆様1週間本当にお疲れさまでした!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
スペシャルサンクス:ミスが無いよう見守りアドバイスしてくれた工藤リャフカさん
状態の良いPS2を調達してくれたamumaさん