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坂口安紀「ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済」の感想・石油埋蔵量世界一の国でガソリン不足はなぜ起きた?

ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済 (中公選書)

 

話題のベネズエラ。坂口安紀著「ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済」を読んでみました。

 

 

 

ハイパーインフレ・通貨が暴落するとはこういうこと

プロローグより。ここだけでもかなりのインパクトがあります。

 

2018年のインフレ率は13万パーセント。デノミを行うが通貨の価値は暴落。お札で作ったカバンや帽子を売る人まで現れた。ガソリンがなくなり、ガソリンスタンドに数日並ぶ車も。栄養失調で亡くなる子供が200人近く。薬もないので、医療サービスを求めて国を出る人も増えた……。

 

しかしかつてのベネズエラは、南米の中でも治安がよく、格差も小さく、暮らしやすい国だったそう。なぜそうなってしまったのか、読み進めていきます。

 

チャベスの改革・ミシオン

軍人だったウゴ・チャベスが大統領に就任したのが1999年。二大政党が足を引っ張り合う政治に飽き飽きした人々が、どちらにも属さないチャベスに新しさを見出したとか。貧困層の支持も厚くチャベスは彼らのための政策に乗り出します。

 

ミシオン(ミッション、使命の意)という政策で、貧困層のための住宅、医療、食料、教育の改善に取り組みました。家を建て、家電を無料で配り、牛乳などの食料品を輸入して安く売る。

 

いいじゃないか! そう思うのですが、ここに落とし穴が。

 

本来、国家予算から出すべき支出の大半を、チャベス国営石油会社PDVSA(ペデベサ)に負担させたそう。

 

世界一の石油埋蔵量・なのにガソリンがないのはなぜ?

貧困層のための施策を行うため、チャベスはPDVSAに負担を求めました。早い話がカネを出せということですね。しかしPDVSAだって、むやみやたらに支出を増やすわけにはいきません。

 

反発しますが、チャベスはPDVSAの人事に介入。軍の関係者や身内の人間を送り込み、嫌気がさした職員の大量離職を招きます。

 

それでも石油の値段が高いうちはよかった。国際価格が下がり始めると、PDVSAは設備メンテナンスの費用にも事欠くようになりました。部品が買えないからです。また、メンテナンスができる職員もおらず、石油の生産量が激減。

 

これまでベネズエラでは、石油を売ったお金で食料品や医薬品、生活雑貨を輸入していました。でもお金がないからそれもできない。頼みの国内メーカーは、安い外国製品との競争に敗れて多くが廃業しています。

 

かくしてお店からモノが消え、病院から医薬品が消え、石油の埋蔵量世界一といわれる国でガソリン不足に悩む現状となったのだそう。

 

チャベスの死・マドゥロ大統領

2013年、チャベスはガンで死亡。後継者に選ばれたのが現在のマドゥロ大統領です。彼は若い頃にキューバで学んだことがあるそうで、キューバとの関係が深い人物でした。

 

経済制裁下にあるキューバのため石油を輸出し、キューバからは医療や諜報の支援を受けているそう。また彼はチャベスにならってはっきりとした反米のスタンスを打ち出し、ロシアや中国との親交を深めています。

 

溶解する民主主義・ゆがめられた選挙

ベネズエラには複数の政党があり、選挙も行われています。それでもチャベスの独断を止めることはできなかったのはなぜか。

 

チャベス憲法を制定し、大統領の任期を5年から6年に延長しました。さらに、連続再選は不可とされていたものを、1回のみOKに。それでも選挙があるじゃないかと思ってしまうのですが。

 

2010年、国会議員選挙の区割りを変更。マドゥロ政権下、2015年には急遽ジェンダー・クォーター制を取り入れ、準備期間の不足から野党議員が当選できず。また、与党に反対する議員の被選挙権を奪い、立候補ができないようにしてしまいました。
ノーベル平和賞を受賞したマリア・コリーナ・マチャド氏の被選挙権もはく奪されている

 

また、選挙管理委員会を与党の派閥の人間で固め……。

 

書くのが嫌になってきますよ。2024年の大統領選は不正が疑われていますが、選管が身内だらけということになると、考えるものがありますね……。

 

まとめ

2025年11月現在。こうした状況にあるため、「米国による解放」を望む人も少なくないといいます。武力を使っての脅迫は認められるべきではありませんが、いろいろな事情はあるものです。

 

南米には長く搾取されてきた歴史がありますので、チャベスが出てきたときには、ようやくNOが言える人物が現れたと賞賛する声も多くありました。私もその一人です。

 

その後貧困のニュースをきき、ときに「米国の経済制裁のせいである」といった話も耳にし、考えることもありました。しかし本書を読んでみると、やはりどうひいき目に見ても、経済制裁のせいだけとはいえないように感じます。

 

最後に、少し長くなりますが、印象に残った文章を引用したいと思います。

 

チャベスの政治思想は、社会主義マルクス主義を軸として理論づけられたというよりも、むしろ十九世紀はじめの独立戦争時の宗主国スペインや欧米列強との闘いに根差す、強固な愛国精神と反帝国主義、そして軍人が国民、特に貧しい大衆の救世主となるヒロイズムがその核にあった。

 

政治家というよりも、どこか漫画のヒーローのような理想に酔った人物がやりたい放題やっちゃった。そんな感想を持ちました。事態の深刻さに対し、不謹慎ではありますが。

 

しかし選挙がきちんと行われていれば、こうした独裁も防ぐことができたわけです。民主主義をゆがめることの怖さを感じさせられました。

 

 

 

 

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