機動戦士ガンダムのパロディ漫画「ガンダムさん」の2巻から4巻にかけて掲載されたもの。1話10ページほど。15話で完結する短編連作ですが、これがなかなかの感動もので、隠れた名作と言っていいかも。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」ではザビ家の皆さんがご健在ときき、懐かしくなって読み返しました。
目次
「宇宙島のガルマくん」のあらすじ

これは一年戦争が始まるずっと前
地位もお金もないけど みんなたくましく暮らしていた頃のお話です
幼稚園に通うガルマくんのお父さんデギンと、下のお兄さんドズルは宇宙港で働く労働者。お姉さんのキシリアは、家事をしながら工場でパートをして家計を支えています。

上のお兄さん、ギレンは大学を出たものの、職には就かず気ままなニートに。生活は楽ではないけど、キシリアがギレンを叱ることもときどきあるけど、みんな仲良く暮らしています。
ある日、デギンとドズルは仕事の関係で政治家のパーティーに出ることに。政治家はダイクンと言い、「人の革新」などと難しいことを話しているようです。
でもそんな難しい話ばかりじゃ票は集まらない。
案じた周囲のすすめもあって、デギンも選挙に出ることになりました。
その頃、長兄のギレンにも変化が。花屋の娘、セシリアに恋をしたのです。そのセシリアに「お仕事は?」と問われたギレンは就職活動を開始するものの、山ほど高いプライドに見合った仕事が見つからない。ハローワークの担当者にも「あなたの望むような仕事は独裁者はくらいしかないのでは」と一蹴されてしまいます。
独裁者。意外にもギレンはそれを天職だと思ってしまったようでした。

たまたま選挙カーに上ったギレンは、その演説の巧みさ、熱さで人々を惹きつけます。確かに彼には政治家としてのカリスマ性があるようでした。
父デギンも見事当選し、政治家の道を歩むことに。政治に才能を開花させたギレンの手腕も光り、一家はついに豊かな暮らしを手に入れます。
狭くて汚かった長屋から引っ越し、なじみのかき氷屋、マさんを運転手にして贅沢な生活を始めますが……。
「宇宙島のガルマくん」のここが面白い!

「機動戦士ガンダム」のおなじみの名セリフがあちこちに飛び出します。シチュエーションも全然違う、コメディなのになぜかぴったりとくる面白さ。
あのキャラもこのキャラも、ガルマくんの周りに顔を出します。
しかし、ああ面白い、サイコーじゃん……などと笑っているのも束の間、物語は次第に「機動戦士ガンダム」の世界に、ザビ家の悲劇につながっていき、なんともいえない切なく苦しい心情に。言ってみればこれ、二次創作なのにね。
ガンダム自体がフィクションだけど、これはそのまた公式でもないエピソードなのに、「こうであってもおかしくない」と思えるほどの物語の巧みさがある。
人の革新などという、ある意味生活から離れた政治を解くダイクン氏と、宇宙港労働者の票を取りまとめる力のある現場の人デギンの対比。これもまた面白いです。

裕福にはなったものの、何か大切なものを手放してしまったような。
キシリアさまが死の直前に見たかつての懐かしい光景には、ついホロリとしてしまいました。
まとめ
「ガンダムさん」の創刊は2001年だそう。いやあ、けっこう古い漫画なんですね。下ネタも多く今の世の中にはそぐわないギャグもたくさんある。しかし「機動戦士ガンダム」ファンの方には笑える場面も多いのではないでしょうか。
「宇宙島のガルマくん」はそのギャグマンガの単行本に収録された、いってみればこれもスピンオフ(?)のようなもので、これ単体が単行本化されているわけではありません。ので、いちいち記事にするなんてなかなかマニアックなことだと自分でも思っています。
しかしお話の構成もよくできているし、キャラクターも、本編とはかなり違う設定ながら別人とは思えないほどちゃんと作られているし、何より読んで面白く、最後は泣けるといういいお話なのです。
同収録の「隊長のザクさん」もイイ。
機会があればぜひ。
