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瘀血を考える :血管と血液の巡りを中医学で読み解く

はじめに

人は血管とともに老いる
これは、19世紀の医学者ウィリアム・オスラーの有名な言葉です。

私たちは普段、体力の低下や肌のシミやシワなどを「年齢」のサインとして受け取りますが、「血管年齢」という言葉があるように、実は血管も若さを左右する一つの指標となります。

血管力とは?

単に血管が丈夫であるかどうかだけではありません。

1.しなやかさ(血管の弾力性)

2.運搬力(酸素や栄養を体の隅々まで届ける力)

3.修復力(ダメージを受けた血管を治す力)

この力が高い状態こそが、「血管年齢が若い」ということになります。

しかし、どれだけ血管自体をケアしようとしても、そこを流れる血液自体がドロドロで滞っていたらどうでしょうか?
しなやかなホースでも、中を流れる水が泥のように濁っていればスムーズには流れませんし、ホースそのものも徐々に傷んでしまいます。

ホースであれば新品に交換できますが、私たちの血管は取り替えられません。
だからこそ、日々の「メンテナンス」が大切になります。

1.瘀血(おけつ)とは?

「瘀血」とは一言とでいえば、「血液の粘度が高くなり、血の流れが悪くなった状態」を指します。
私たちのこころや体をのびやかに保つためには、きれいで新鮮な血液が全身をいきいきと巡っていることが欠かせません。
血液は、酸素や栄養を届けるだけでなく、老廃物を回収し、体を温め、精神の安定にも関わるなど、まさに生命を支える重要な存在です。

ところが、この大切な役割を担う血液が、時に体の不調を引き起こす“元凶”となることがあります。

血液が汚れたり、流れが滞ったり、固まりやすくなったりすると、それは健やかな巡りを妨げ、身体の各所にさまざまな症状を生み出します。

中医学では、このように 体に害を及ぼすようになった血液 のことを「瘀血(おけつ)」 と呼んでいます。

瘀血は単なる血行不良とは違い、「血の質」「流れ」「通り道」のすべてにわたって問題が生じた状態であり、放っておくと痛み、冷え、老化、婦人科トラブルなど、慢性的な不調の土台となってしまいます。

2.瘀血をチェックしてみよう!

中医学では「瘀血」は、体が発している重要な異常のサインと捉えられています。
中国国内の研究では、瘀血の背後には約414種類もの病気が関係していると報告されており、その広範な影響力から、古くから「瘀血は百病の源」「瘀血は万病のもと」という言葉が伝えられてきました。

つまり瘀血は、単に血の巡りが悪いというレベルを超え、痛み・冷え・自律神経・婦人科・皮膚・精神面・老化 にまで影響を及ぼす、“全身に波及する体質的トラブル” といえます。

3.血管を知ろう!

人間ひとりの血管をすべてつなげると、その長さは約10万km。これは地球2周半に相当します。この長大な血管ネットワークを通して、人間の生命維持に欠かせない酸素や栄養が、約40兆個ともいわれる細胞一つひとつに届けられています。

血管は大きく分けて3種類に分類されます。

①動脈:血液を送り出す血管

動脈は、心臓から全身へ向かって血液を送り出す血管です。
酸素や栄養を豊富に含んだ血液を、勢いよく運ぶ役割があります。

②静脈:血液を心臓へ戻す血管

静脈は、全身を巡った血液を心臓へ戻す役割を担います。
老廃物や二酸化炭素を回収する“帰り道”の血管です。

③毛細血管:物質交換をする血管

毛細血管は、動脈と静脈をつなぐ非常に細い血管で、全身の血管の約99%を占めるといわれています。

ここで初めて、酸素や栄養、ホルモンが細胞に届けられ、同時に老廃物が回収されます。つまり毛細血管は、血液の“通過点”ではなく、 私たちの身体を支える重要な物質交換の場といえます。

◆血管は道路に例えられる

血管は、人間の体の隅々を巡る「道路」に例えることができます。
この道路が、頑丈でありながら柔軟であることが、健康を保つうえで非常に重要です。

この道路網のうち、高速道路や国道にあたる 大血管(動脈・静脈) は、全体のわずか 約1% に過ぎません。

残りのほとんどは、生活に欠かせない細い道のいわば生活道路にあたる「毛細血管」です。

この毛細血管が傷ついたり、流れが悪くなったりすると、そこから栄養を受け取っている細胞や内臓の組織の働きに、直接的な影響が及びます。

大きく太い血管ももちろん大切ですが、実際に私たちの体を支えているのは、末端の毛細血管なのかもしれません。

◆「血液サラサラ系」の薬は毛細血管を良くしてくれる?

病院で処方される、いわゆる「血液サラサラ系」のお薬は、主に血栓を防ぐことや大きな血管の詰まりを予防することを目的としています。

・抗血小板薬:アスピリン、クロピドグレル(商品名:プラビックス)、プラスグレル(商品名:エフィエント)など

・抗凝固薬:ワルファリン(商品名:ワーファリン)、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)、エドキサバン(商品名:リクシアナ)など

これらの薬は、脳梗塞心筋梗塞など、命に関わる病気の予防にとって非常に重要な役割を果たしています。

一方で、これらの「血液サラサラ系」の薬は、毛細血管の巡りそのものを良くしたり、傷んだ毛細血管を修復することを目的とした薬ではありません。

そのため、血液サラサラ薬を飲んでいても
・肩こりが楽にならない
冷え性が改善しない
・腎機能が改善しない
・しびれや慢性的な痛みが残る

といったことがよく起こります。

これは、大きな血管のトラブル予防と、毛細血管レベルの巡りの改善は、目的がまったく異なるからです。

4.中医学血液サラサラ「活血化瘀(かっけつかお)」

中国では古くから「瘀血(おけつ)」を重要な病態の一つと考え、この瘀血を取り去る治療法として「活血化瘀(かっけつかお)」 という考え方が確立されてきました。

活血化瘀とは、単に血液を薄めることではなく、血を本来あるべき状態に戻し、巡りを回復させる方法 を指します。

<活血化瘀>

・活血:血液を活き活きとさせ、血液循環を良くさせる
・化瘀:滞ってしまった血を取り除く

「活血化瘀」に用いる代表的な生薬

・丹参(たんじん)

・桃仁(とうにん)

・紅花(こうか)

・川芎(せんきゅう) など

特に 丹参 は、活血化瘀薬の中でも非常に重要な生薬です。

中国では古くから、心臓や脳の血流改善、瘀血体質の改善を目的として用いられてきました。現在では、中国国内を中心に 多くの基礎研究・臨床研究 が行われており、

・血流改善
・微小循環(毛細血管レベル)の改善
・抗酸化作用
・血管内皮機能への作用

などが報告されています。

そのため丹参は、「毛細血管レベルの巡り」にアプローチできる生薬として、現代的にも注目されている存在です。

しかし、病院で処方される保険適用の漢方薬の中には、丹参を含有する処方はありません。これは、丹参の有用性が低いという意味ではなく、日本の医療制度上、保険漢方として採用されていないという理由によるものです。

そのため、丹参を用いた活血化瘀のケアは、漢方薬局や漢方専門の相談薬局でのみの扱いとなります。

※丹参を使用した漢方薬の例:冠元顆粒(かんげんかりゅう)

◆瘀血の原因は?

中医学では、「瘀血」は「二次的病理産物」と考えられています。つまり、最初から瘀血があるのではなく、何らかの原因によって生じた結果として瘀血が生まれます。

上記でご紹介した「瘀血の木」で示したように、瘀血が生じる原因は一つではなく、さまざまな要因が重なって起こります。

代表的な原因には、次のようなものがあります。

気虚(ききょ):血を巡らせるエネルギーが不足している状態。川でいえば、水を押し流す勢いが弱い状態です。

・寒邪(かんじゃ)/ 陽虚(ようきょ):冷えにより血の巡りが悪くなっている状態。川でいえば、水が冷えて凍りつき、流れが止まりやすい状態です。

血虚(けっきょ)/ 陰虚(いんきょ):血が不足し巡りが悪くなっている状態。川でいえば、水そのものが少なく、栄養も乏しい状態です。

気滞(きたい):気が滞り血の流れも渋滞した状態。川でいえば、川幅が狭くなり、流れが滞っている状態です。

痰湿(たんしつ):余分な水分や老廃物が溜まり血の流れを邪魔している。川でいえば、ヘドロやゴミが溜まり、流れが悪くなっている状態です。

また、中医学には「久病必有瘀」や「腎虚必有瘀」という言葉があり、慢性的な疾患や加齢により生じた症状には必ず「瘀血」が潜んでいます。

だからこそ、単に症状だけを見るのではなく、「なぜ瘀血が生じたのか」という原因に目を向けること が、活血化瘀を行ううえで非常に重要なのです。

最後に

中医学の基本的な考え方に「未病先防(みびょうせんぼう)」 という言葉があります。

これは、病気になってから治すのではなく、病気になる前の段階で体のバランスを整え、未然に防ぐという考え方です。

今回お伝えしてきた「瘀血」も、まさに未病の段階で気づき、向き合うことができるサインの一つです。

身体のメンテナンス方法には、食事や運動、睡眠、ストレスケアなど、さまざまな選択肢があります。その中の一つとして、ご自身の体質や状態に合わせた「漢方薬」 を取り入れてみるのも、一つの方法ではないでしょうか。

血を巡らせることは、今の不調を和らげるだけでなく、これからの身体を守ることにもつながります。日々の生活の中で、ご自身の体が出している小さなサインに、ぜひ目を向けてみてください。

 

ナカノメ薬局(株式会社ナカノメ)

〒023-0054

岩手県奥州市水沢吉小路46-1

TEL 0197-22-2047

薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

冷えと漢方薬

はじめに

11月に入り、朝晩の冷え込みが増し、冬の気配を感じる日も多くなってきました。
11月8日は「立冬」。暦の上では冬の始まりを意味し、木枯らしが吹き、初雪の便りが届く頃です。

この時期になると、やはり多いのが冷えに伴うトラブルです。
「手足が冷たい」
「厚着をしても体が温まらない」
「冷えから肩こりや頭痛、腰の痛みが酷くなる」
など、そんなお悩みを抱えている方を多く見かけます。

ところで、「冷え性」という言葉ですが、よく見ると”症”ではなく”性”と書きます。
つまり、冷えは病気(病名)ではなく、体質を表す言葉ということが分かります。

こうした”体質”の改善こそ、中医学(漢方)の得意分野です!
今回は、中医学の視点から冷えの原因と、体の内側から整える食養生についてご紹介します。
ご自身の冷えのタイプを知り、自分に合った冷え対策を始めてみませんか?

女性の7割は冷えで悩んでいる!?

「女性は冷えやすい」とよく言われますが、実際はどうなのでしょうか?

株式会社セプテム総研の調査(2024年8月実施)によると、なんと約7割の女性が「冷えを感じている」と回答しています。
また、冷えを感じ始める時期は10月から増え始め、1月・2月ごろにピークを迎える結果となっています。

この結果からも分かるように、冷えはまさに女性の大敵であり、多くの方が冷えによる不調に悩まされています。

厚着をしたり、靴下を重ね履きしたり、ホッカイロを貼ったり…
外からの冷え対策に気を配る方が多い一方で、「体の中から温める対策」が十分にできていない方を多くみます。

引用:女性が感じる冷えの実態調査 - 株式会社 セプテム総研

女性が感じる冷えの実態調査 - 株式会社 セプテム総研

中医学で考える「冷え」

1.陽気不足

太陽が自然界に熱をもたらすように、私たちの体にも“内なる太陽”があり、その力で身体を温めています。その働きを担っているのが「腎陽(じんよう)」です。
中医学でいう「腎」には、「腎陰」と「腎陽」という2つの側面があり、「腎陰」は”命門の水”、腎陽は”命門の火”と呼ばれ、この2つのバランスにより体内の温度が保たれます。
そのうち「腎陽」が不足すると、日向より日陰が寒いように、体を温める力が弱まり冷えの症状が強く現れるようになります。

腎の詳しい働きは👇をご覧ください。
五臓六腑:腎の働き / 補腎のすすめ - 日々の生活に漢方を

<主な特徴>
✅全身の冷え(特に腰や下半身)、年中寒がり
✅足腰がだるい
✅浮腫み、トイレが近い など

「腎陽」を補い身体を温める漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:参茸補血丸、参馬補腎丸、八味地黄丸など

<おすすめ食養生
羊肉、牛肉、ニラ、ネギ、生姜、えび、りんご、みかん など

💡餃子はもともと漢方薬!?

中国では冬至に餃子を食べる文化がありますが、その始まりはなんと2千年前さかのぼります。

日本でもお馴染みの「葛根湯」や、高齢者のトイレトラブルなどで処方される「八味地黄丸」などが収められている古典、「傷寒雑病論」を著した名医・張仲景が、この風習の生みの親とされています。

寒さで耳が凍傷になり苦しむ人々を見て、体を温める生薬(羊肉・ニラ・生姜など)で作った餡を小麦粉で練った皮に包んだものを作りました。

張仲景はこの処方を「去寒嬌耳湯(きょかんちょうじとう)」と名付け、冬至の日に皆に配ったとされています。その後、時代とともに餡の中身が変化し、やがて「餃子」と呼ばれるようになりました。

2.血不足

「血(けつ)」は、心臓のポンプ作用によって全身を巡っています。
このとき巡っている血液には体温ほどの熱があり、身体に「血」が十分にあることで、私たちは体の表面に“温かさ”を感じることができます。

中医学には「女性は血を以て本と為す」という言葉があります。女性は、毎月の月経(生理)や妊娠、出産など「血」を消耗する機会が多いため、体内の「血」の充実度が女性の健康に直結します。つまり、女性はにとって「血」は”命の源”であり、どんなに補っても余ることはない大切な存在です。

女性に冷え性が多いのも、男性に比べ筋肉量が少ないことも関係していますが、それに加えて慢性的な「血」の不足によって冷えにつながっているケースを多くみます。

<主な特徴>
✅手足が冷える、顔色が悪い
✅爪が割れやすい、立ち眩みがする
✅生理の量が少ない、生理不順 など

「血」を補う漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:婦宝当帰膠、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、十全大補湯など

<おすすめ食養生
鶏肉、レバー、黒ゴマ、きくらげ、人参、小松菜、ぶどう など

💡「当帰(とうき)」の秘密

「当帰」の名前の由来は諸説ありますが、そのひとつに、昔の中国でのこんな話があります。

体が弱く、なかなか子どもを授からなかった女性がいました。
彼女は体調を崩して実家に戻っていましたが、あるとき「当帰」という薬草を服用することで体が元気になり、健康を取り戻したことで夫のもとへ再び戻ることができた。

そのことから、「当に帰るべし」という意味を込めて、「当帰」という名がついたといわれています。

3.瘀血

「血」が巡りが悪い状態を「瘀血(おけつ)」といいますが、温かい「血」が十分にあってもそれが身体の隅々まで届かなければ意味がありません。
血管には太い動脈・静脈だけでなく、体全体の約99%を占める毛細血管が張り巡らされています。この毛細血管の流れが悪くなると、皮膚や筋肉に栄養が届かず、末端が冷えたり、慢性的なこりを感じやすくなります。

<主な特徴>
✅末端冷え性
✅肩こり・頭痛・生理痛が酷い
✅舌の裏が怒張している

「血」の巡りを良くする漢方薬をしようすると良いでしょう。
漢方薬の例:冠元顆粒、血府逐瘀丸、桂枝茯苓丸など

<おすすめ食養生
玉ねぎ、らっきょう、にんにく、いわし、さば、かに、桃 など

4.胃腸虚弱

中医学では胃腸のことを「脾胃(ひい)」と表現します。
脾胃は、“食べたものを消化・吸収してエネルギーに変える”臓腑であり、中医学ではこれを「気血生化の源」と呼びます。

つまり、「脾胃」が元気であれば、身体を温めるのに必要な「気(エネルギー)」と「血(栄養)」をしっかりと作り出すことができます。
逆に「脾胃」の働きが弱ると、食べても栄養が吸収されにくくなり、結果として「気血」が不足し、体が冷えやすくなります。

「脾胃」の詳しい働きは👇をご覧ください。
五臓六腑:脾胃の働き - 日々の生活に漢方を

<主な特徴>
✅全身の倦怠感、疲れやすい
✅食欲がない、食後眠くなる
✅下痢・軟便
「脾胃」の働きを高める漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:健脾散、健胃顆粒、人参湯など

<おすすめ食養生
長いも、キノコ類(椎茸、舞茸など)、豆類(大豆、納豆など)、栗 など

最後に

「冷えは万病のもと」と言われるように、様々な不調につながります。


上記で述べたように、冷えは外気温だけでなく、身体の中のバランスの乱れ(気・血・陽気)からも生じます。
だからこそ、外から温めるだけでなく、内側から整えることも必要です。
「自分に合った冷え対策を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください!

セミナーのご案内

テーマ:自分の体質を知ろう!冷え対策
日時:12月6日(土)11:00〜12:00
場所:ナカノメ薬局
参加費:無料(定員5名)
ご参加の方には健康茶プレゼントをご用意しています!

詳しくは👇から

shop.nakanome.biz

痛み・しびれと漢方薬

はじめに

10月に入り、猛暑が続いた長い夏もようやく落ち着こうとしています。
朝晩は肌寒い日も増え、季節は少しずつ秋・冬へと移り変わっています。

気温が下がるにつれて体の不調を訴える方が増えますが、その中でも特に多いのが「痛み」や「しびれ」に関するお悩みです。

「腰・膝が痛い」
「足がしびれる」
「肩こりがひどくなる」

こうした声をよく耳にします。

今回は、寒くなる季節に増える“痛みとしびれ”について、中医学の視点からその原因と対策についてわかりやすくお伝えします。

中医学で考える「痛み」と「しびれ」

本題に入る前に、中医学で考える「痛み」のメカニズムについて少し触れてみましょう。

中医学には、「経絡(けいらく)」という独特な考え方があります。
経絡とは、気血が全身をめぐる通り道のことで、気血がスムーズに流れることで、臓腑や筋肉、皮膚、関節などに栄養が届き、体の機能が正常に保たれています。

このことは中国の古典(黄帝内経)にもしっかり記載されています。
「経脈者、所以行血気而営陰陽、濡筋骨、利関節者也。」
訳:経脈は気血を運行させ、陰陽を栄養し、筋骨を濡し、関節の動きをスムーズにさせる。

この経絡が何らかの理由で 栄養(気血)が届かない、あるいは 流れが滞る と、痛みやしびれが生じると考えられます。
これを中医学では、

  • 不栄則痛(ふえいそくつう):気血(栄養)が届かないことで起こる痛み

  • 不通則痛(ふつうそくつう):気血の流れが滞ることで起こる痛み

と表現します。

いわば、経絡は私たちの体の中に張り巡らされた“道路”のようなものです。
道路が凸凹していたり、通行止めになっていたりすると、車がスムーズに走れず物資が届きません。

道路の修復(栄養を補う)や交通整理(気血の流れを良くする)を行うことで、車が不自由なく走れるように、体の中の気血を補ったり、巡りが整えば、痛みやしびれは自然と軽くなっていきます。

痺証(ひしょう)と麻木(まぼく)

中医学では、あらゆる痛みを「痹証(ひしょう)」、しびれを「麻木(まぼく)」と呼びます。

「痹」とは、本来「通じない」「塞がる」という意味があります。
つまり、経絡の流れが滞り、気血がスムーズに通らなくなることで痛みやこわばりが生じる状態です。

一方の「麻木」は、
・「麻」は皮膚や筋肉がしびれている状態で、かゆくもなく痛くもなく、まるで虫や蟻が這うような感覚(蟻走感)
・「木」は皮膚の感覚が鈍く、触れても反応が乏しい無感覚の状態
つまり「麻木」とは、気血の流れが悪くなり、末梢の神経や筋肉に十分な栄養が届かないことで起こるしびれのことです。

このように、痛み(痹証)も、しびれ(麻木)も、根本には「気血の巡りの異常」があります。
そして、その巡りを妨げる原因として多いのは、「寒さ(寒邪)」「湿気(湿邪)」、そして「血の滞り(血)」です。

💡ちなみに古典では…

中国の古典(黄帝内経)では、「痹証」について下記のように記されています。

「風寒湿三気雑至,合而為痹也。其風気勝者為行痹,寒気勝者為痛痹,湿気勝者為著痹也。」

訳:風寒湿の三気が雑わり至って、合して痹となる。その風気、勝れたるものは行痹と為し、その寒気、勝れたるもの痛痹と為し、その湿気、勝れたるものは着痹と為す。

タイプ別で考える「痛み」「しびれ」

1.寒邪(かんじゃ)

水が氷ると、さらさらとした液体が固体になるように、体内の気血も「寒邪」の影響を受けると気血の動きが停滞します。
その結果、気血の流れが滞り「不通則痛」の状態となったり、さらに慢性的にこのような状態が続けば、やがて臓腑や筋肉には栄養(気血)が届かず「不栄則痛」となります。

<痛みの特徴>

✅ジンジン・ゾクゾクと痛む
✅痛む部位がはっきりしている
✅温めると楽になる

身体を温め滞った気血の流れを良くする漢方薬を使用すると良いでしょう。

漢方薬の例:桂枝加朮附湯、五積散、真附湯など
「気血」の不足や、「腎虚」が見られる場合は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯や独歩顆粒参茸補血丸などを合わせると良いでしょう。

「腎」については、👇のブログをご覧ください。

五臓六腑:腎の働き / 補腎のすすめ - 日々の生活に漢方を

2.湿邪(しつじゃ)

湿度の高い日に除湿器を使用すると、タンク内に水がたくさん溜まりまるように、身体の中にも余分な水=「湿」が溜まると、重だるさや重さを伴う痛みが現れるようになります。雨の日や気圧が下がると頭・身体が重だるくなる方がいますが、これもまさに「湿邪」の影響によるものです。

<痛みの特徴>

✅重さを伴う痛み(ズーン・ドシッとした感覚)
✅腫れる(熱が伴う場合もある)
✅浮腫む

余分なお水(湿)をさばく漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:防己黄耆湯、清湿化痰湯、二朮湯など

また、「湿邪」は他の邪と組み合わさることが多く、症状に応じて使い分けます。
・寒湿(かんしつ)タイプ:冷えを伴う → 「寒邪」で紹介した方剤(桂枝加朮附湯や五積散など)
・湿熱(しつねつ)タイプ:熱感や炎症を伴う → 熱と湿を同時に取り除く「越婢加朮湯」「竜胆瀉肝湯」など

3.血(おけつ)

寝ている間に腕に自分の体重がかかり、朝起きたときに腕がジンジンと痛んだり、しびれた経験はありませんか?
この状態に近いのが、いわゆる「血の滞り(瘀血)」によって起こる痛みやしびれです。
体のどこかで血流が滞り、局所的な「詰まり」や「渋滞」が起きている状態です。また、血が滞ることで十分な栄養や酸素が届かなくなります。

<痛みの特徴>

✅刺すような痛み、または鈍く続く痛み
✅痛む場所が局所的
✅夜や安静時に痛みが強くなる

血の巡りを改善する漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:冠元顆粒、補陽還五湯、疎経活血湯など

4.その他(通絡させる生薬)

中医学には「以形補形(いけいほけい)」という言葉があります。
これは、植物や鉱物など自然界の形状・色・性質が、人間の体のある部分や臓腑と対応すると考え、それに基づいて薬効を推測するという考え方です。

例としては:
・胡桃(くるみ)=脳に似た形→脳に良い
・蓮子(れんし:ハスの実)=心の形に似る → 心を養い、安神作用
・豆類=腎臓の形に似る → 腎を補う
・人参(にんじん)=人の形 → 全身を補う(元気を補う)

経絡の通りを考えると、塞がった道を通じさせるような、細く長く、ニョロニョロと動く形のものが良さそうだと、古人は考えました。

そのような発想のもと、中国では昔から、
・地竜(ぢりゅう)→ミミズ
・全蠍(ぜんかつ)→サソリ
・蜈蚣(ごしょう)→ムカデ
などを「通絡止痛(つうらくしつう)」=経絡を通じさせ、痛みを止める目的で用いてきました。

上記のような虫類を使った漢方薬は保険にはないですが、漢方薬局では以下のような漢方薬を購入することが可能です。
・補陽還五湯:地竜を含む
・活絡丹:全蠍、蜈蚣、蘄蛇など

最後に

寒さが深まるこれからの季節、「痛み」や「しびれ」は、誰にでも起こりうる身近な不調です。

「年齢だからこれ以上できない」
「何年もずーっと同じ薬を飲んでいる」
「効いているかも分からない」
そんな思いをお持ちの方は、ぜひ一度漢方薬を試してみるのも良いかもしれません。

上記で紹介した漢方薬はあくまで一例であり、実際には体質・年齢・生活習慣によって選ぶ薬は大きく異なります。
冷えが強い方、疲れやすい方、むくみがある方など、それぞれに合った処方が存在します。

気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
痛みやしびれを和らげ、冬を快適に、そして温かく過ごすためのヒントがきっと見つかります。

 

ナカノメ薬局(株式会社ナカノメ)

〒023-0054

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薬剤師 / 国際中医専門員 中目 健祐

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季節の養生:秋

はじめに

全国的にはまだまだ暑い日が続いていますが、岩手県(水沢)では朝晩に涼しい風が感じられるようになり、少しずつ秋の訪れを実感するようになりました。
暦の上では立秋(8月7日)から霜降(10月23日)までがおおよそ「秋」とされますが、日本では9月に入っても厳しい残暑が続き、近年は東南アジアのような気候が長く感じられます。
それでも「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、少しずつ秋の気配は静かに近づいています。

古典に学ぶ秋の養生

中医学の古典『黄帝内経・素問』の「四気調神大論」には、四季ごとの養生法が記され、秋については次のような記述があります。

原文
「秋三月、此謂容平。天気以急、地気以明。早臥早起、与鶏倶興。使志安寧、以緩秋刑。収斂神気、使秋気平。無外其志、使肺気清。此秋気之応、養収之道也。逆之則傷肺、冬為飧泄、奉蔵者少。」

現代語訳
「秋の三か月は「容平(ようへい:万物が収まり、静まる季節)」と呼ばれる。
この時期は、天の気は急ぎ、地の気は澄んで明るい。
早く寝て早く起き、鶏と一緒に目覚めるのがよい。
心を穏やかに保ち、過度なストレスや激しい感情を避けることが大切である。
精神を内に収め、外に向けすぎないようにすることで、肺の気が清らかに保たれる。
これこそが、秋の気に応じた養生である。
もしこの季節の養生に従わなければ、肺を傷つけることになる。
その結果、冬になって下痢(飧泄=慢性的な下痢や消化不良)を起こし、体にエネルギーを蓄えることができなくなってしまう。」

要するに🤔
「収穫の秋」と言われるように、秋は一年の実りを収め、エネルギーを蓄える季節です。この時期にあれこれ活動的になりすぎると、せっかく蓄えたものが外へ散ってしまいます。
だからこそ秋は、生活リズムを整えて早寝早起きを心がけること、心を落ち着けて感情を安定させること、そして乾燥に弱い「肺」を守ることが、元気に過ごすための大切なポイントとされています。(秋と「肺」については下記で説明します。)

🍂五行学説で考える秋

五行学説とは、自然界に存在するあらゆるものや現象は「木・火・土・金・水」の5つの要素から成り立っているという、古代中国の哲学的な思想です。

この考え方は中医学にも応用されており、五行を人体のはたらきにあてはめることで、体の構造や機能、病気の原因、治療の方向性などを読み解く手がかりとされています。

「秋」と関係のある臓腑や志(感情)などは、以下の通りです。

●「肺」の働き

中医学における「肺」は、呼吸器系として息を吸ったり吐いたりするだけでなく、皮膚や粘膜のバリア機能とも関係があり、外邪(ウイルスや寒さ・乾燥など)から身を守る働きも「肺」の力と関係しています。

また、肺は「潤いを好み、乾燥を嫌う」とされ、夏の蒸し暑さから一転して空気が乾燥し始める秋は、特に肺にダメージを受けやすい季節です。

その結果、呼吸器系のトラブルや風邪を引きやすくなったり、上記の図にあるように”鼻”の症状(鼻水・鼻づまり)がでやすくなります。

●「大腸」との関り

肺と大腸は「表裏の関係」にあり、互いに影響し合う臓腑です。
この関係を身近なもので例えるなら「急須」が分かりやすいかもしれません。

急須でお茶を注ぐとき、上部にある小さな空気穴が塞がれていると、水はスムーズに出てきません。空気の通り道と水の流れがバランスをとってはじめて、お茶が気持ちよく注げるのです。

同じように、中医学における「肺」は空気(気)の通り道を調整し、「大腸」は水分や老廃物を体の外へ押し出す役割を持っています。
もし肺の働きが弱ると、大腸の働きも乱れ、便の不調が起きやすくなります。逆に大腸に問題があれば、肺にも影響が及び、呼吸の不調や咳につながることがあります。

●秋は「悲・憂」の季節

秋になると、なんとなく悲しくなったり、気分が沈みやすいと感じる方も多いのではないでしょうか。
これは単なる気のせいではなく、自然の流れに沿った心身の反応ともいえます。

五行学説では、季節ごとに心の動き(感情=志)との結びつきがあると考えられ、秋に対応する感情は「悲・憂(かなしい気持ち)」です。

中医学では、過度な悲しみは「肺」を傷つけるとされます。
「肺」は呼吸を通し、「気(エネルギー)」を生み出し、全身に巡らせる重要な臓腑ですが、気分の落ち込みや憂いが強すぎると、この肺の働きが弱まり、呼吸力の低下や風邪をすぐ引いたり、疲れやすくなったりと様々な不調につながります。

🌿秋の養生のポイント

1. 食養生 ― 潤いを補う

五行のカラーが”白色”で表されるように、白色の食材は、潤いを与え「肺」を養うとされています。
例:梨、れんこん、大根、卵白、豆腐、白きくらげ、ゆり根など

2. 生活習慣 ― 冷えと乾燥から

朝晩の気温差が大きい秋は、体調を崩しやすい季節です。冷えと乾燥を防ぐことが「肺」を守り、風邪予防にもつながります。
・薄手の上着やカーディガン、ストールで体を冷やさない
・喉の乾燥予防は、冷たい飲み物ではなく、温かい飲み物やスープで潤す
・加湿器や濡れタオルを使い、室内の乾燥を防ぐ

3. 心の養生 ― 感情を安らかに

秋は「悲・憂」の感情を感じやすい季節です。感情を内にため込まず、気持ちを自然に流していくことが、秋を健やかに過ごす養生法です。
・ゆっくり深呼吸して、呼吸を整える
・軽い運動や散歩で気分をリフレッシュ
・自分のペースで過ごすことを心がける

最後に

秋は、夏の疲れを癒し、これから迎える冬に向けて体を整える大切な季節です。
潤いを補い、冷えと乾燥を防ぎ、心を穏やかに過ごすことが、秋の養生の基本です。
日々の暮らしの中でできることから少しずつ取り入れて、健やかな秋をお過ごしください。

 

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排尿トラブルと漢方薬

はじめに

「夜中に何度もトイレに起きてしまう」

「排尿後、スッキリしない」

「笑ったり、くしゃみをした拍子に、少し尿が漏れてしまう」

こうした排尿トラブルは、高齢者のお悩みというイメージがありますが、実際には年齢や性別を問わず多くの方が抱えており、漢方相談でも頻繁に耳にする症状の一つです。

「尿のことだから膀胱だけの問題でしょ?」と思われがちですが、実はそんなに単純ではありません。
中医学では、排尿は膀胱だけでなく「腎」「肝」「脾」など複数の臓腑の働きが関わる、全身のバランスの上に成り立つ機能と考えます。

今回は、中国古典の記述も交えながら、排尿のトラブルを改善できるヒントをお届けできたらと思います。

西洋医学的に見る「尿のあれこれ」

●頻尿:尿が近く、排尿回数が多い状態。一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を指します。

●夜間頻尿:夜中に排尿のため1回以上起きなければならない状態。夜間に起きるため、睡眠の質低下にもつながります。

●排尿困難:尿が出にくい、勢いが弱い、排尿に時間がかかるといった状態。男性では前立腺肥大などが原因のことも。

●残尿感:排尿後も尿が残っているような不快感がある状態。

●尿失禁:自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態。特に40歳以上の女性の4割以上が経験しているといわれます。

主な原因(西洋医学の視点)

●過活動膀胱(OAB:overactive bladder):膀胱の収縮が過敏になり、少量の尿でも強い尿意を感じます。

前立腺肥大:前立腺が肥大して尿道を圧迫し、尿の通過が妨げられます。これにより、頻尿・夜間頻尿・残尿感などの蓄尿症状や、排尿の勢い低下・排尿後の不快感などが起こります。

●腹圧性尿失禁:くしゃみや笑い、重い物を持つなどで腹圧がかかり、尿が漏れてしまう状態。骨盤底筋や尿道括約筋の弱まりが原因です。

●神経因性膀胱:脳や脊髄から膀胱への信号がうまく伝わらず、尿をためる(蓄尿)・出す(排尿)の調整ができなくなった状態です。

●尿路感染症: 膀胱炎などの炎症で膀胱が刺激され、頻尿や排尿痛が起こります。
→尿路感染症・膀胱炎の中医学的な考えについては、👇をご覧ください。
膀胱炎と漢方薬 - 日々の生活に漢方を

主な治療薬

古典にみる排尿の仕組みと中医学的な考え

中医学では、排尿は膀胱だけでなく「腎・脾・肝」をはじめとする複数の臓腑が関わり合って成り立つと考えます。古典の記述をもとに、その仕組みを見ていきましょう!

1. 腎と膀胱 ― 排尿の中心的な働き

「膀胱者、州都之官、津液蔵焉、気化則能出矣」(黄帝内経・霊蘭秘典論)
→訳:膀胱は水分をためる場所であり、腎の「気化作用」によって尿が排泄される。

腎虚則関門不固、小便頻数」(景岳全書)
 訳:腎が虚すれば尿道の関門が固く保てず、頻尿になる。

中医学における「腎」は、全身の水を主り、体内の水分の貯留・分布・排泄を調節しています。この働きの中心となるのが「腎」の「気化作用」と呼ばれる物質を変化させる力です。「腎気(腎の気化作用)」が充実していれば、水を体外に排泄することも、体内に必要な水を溜めることも正常に行うことができます。

💡「腎」の詳しい働きは、👇をご覧ください。
五臓六腑:腎の働き / 補腎のすすめ - 日々の生活に漢方を

このように腎は排尿の中心的な働きを担っていますが、腎の力が弱まると排尿トラブルにつながりやすくなります。では、実際に「腎虚(じんきょ)」の場合にはどのような症状が見られるのでしょうか。

腎虚(じんきょ)」の特徴

✅加齢や慢性病気などにより排尿トラブルを生じた

✅夜間に何度もトイレに起きる

✅尿の切れが悪く、残尿感がある

✅ 腰や膝がだるい、力が入らない など

「腎」の働きを補う漢方薬を使用します。

漢方薬の例:八味地黄丸、牛車腎気丸(補腎陽)/ 瀉火補腎丸、杞菊地黄丸(補腎陰)、参茸補血丸、海馬補腎丸(補腎精・補腎陽)/ 亀鹿仙((補腎精・補腎陰)など

2. 脾 ― 水分の運搬と固摂作用

「脾主四肢、為倉廩之本、運化水穀精微、布散於全身」(難経・六十四難)
→訳:脾は四肢を養い、飲食物の精微を運び、全身に散らす。

「補脾固腎、止遺精尿頻」(本草綱目の山薬(山芋)の項)
→訳:脾を補い腎の働きを高め、遺精や頻尿を止める。

「脾」は飲食物から、私たちの身体に必要な気(エネルギー)・血(血液・栄養)・津液(水)を作り出し、全身に運ぶ「運化作用」を担っています。
「脾」の運化機能が正常に働けば、「気」「血」がすみずみ(四肢)まで巡り、尿の開閉に関わる筋肉も正常に作動します。
さらに、体内の液体や血を漏らさない「固摂作用」があります。「脾」が弱ると「気」が不足し、この固摂作用も低下するため、尿漏れや頻尿を引き起こしやすくなります。

💡「脾」の詳しい働きは、👇をご覧ください。
五臓六腑:脾胃の働き - 日々の生活に漢方を

このように「脾」が弱った状態を「脾気虚(ひききょ)」と呼びます。では、具体的にどのような症状が見られるのでしょうか。

「脾気虚(ひききょ)」の特徴

✅尿漏れ(特にくしゃみ・咳・重い物を持つとき)

✅疲れやすく、体がだるい

✅下痢・軟便気味

✅食欲不振・食後眠くなる など

「脾」の働きを高め、「気」を補う漢方薬を使用します。

漢方薬の例:補中益気湯健脾散、麦味参など

3. 肝 ― 気の巡りとストレス

「肝気不舒、則小便頻数」(景岳全書)
→ 訳:肝の気がうまく巡らないと、小便の回数が増えるとされています。

中医学における「肝」は、全身の気の流れを調節する「疏泄作用」を持ち、精神活動や情緒とも深く関わります。
ストレスや緊張で肝の働きが滞ると、膀胱の開閉にも影響し、尿意切迫やストレス性頻尿が起こりやすくなります。特に、試験や発表、外出前など精神的プレッシャーのかかる場面で頻尿が悪化する場合は、「肝」の働きが関与している可能性があります。

💡「肝」の詳しい働きは👇をご覧ください。
五臓六腑:肝の働きについて - 日々の生活に漢方を

このように、ストレスや精神的負担が影響して起こる排尿トラブルを「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。では、その特徴を見ていきましょう。

肝気鬱結(かんきうっけつ)」タイプの特徴

✅ 緊張やストレスで頻尿が悪化する
✅ 尿意切迫(急に強い尿意が出る)
✅ 胸や脇が張る、ため息が多い
✅ イライラしやすい、気分の浮き沈みがある など

「肝気」を巡らせる漢方薬を使用します。

漢方薬の例:逍遥顆粒、加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯など

 

上記の臓腑以外にも、「心」や「肺」の働きも排尿トラブルに影響を及ぼすことがあります。

4.その他:カマキリの卵(桑螵蛸 そうひょうしょう)

漢方薬を構成する生薬には、「補気薬」「補血薬」「活血薬」など、その働きによりいくつかの分類があり、その一つに「収渋薬(しゅうじゅうやく)」というものがあります。「収渋」とは、「斂(しゅうれん=引き締める)」と「固(こじゅう=漏れを防ぐ))」が合わさった言葉で、体内の物質を外に漏れださないように留めておく働きを指します。

代表的な「収渋薬」
●「山茱萸(さんしゅゆ)」:六味地黄丸や八味地黄丸に含まれ、腎の働きを高め尿漏れを防ぐことが期待できます。

●「五味子(ごみし)」:小青竜湯では鼻水や咳を防ぐ、麦味参(生脈散)では汗の漏れを防ぐなど、様々な「引き締め」作用を持ちます。

●「蓮子(れんし)」:健脾散(参苓白朮散)に含まれ、「脾気虚」による下痢・軟便を防ぎます。

これらと同じ「収渋薬」に分類されるのが、「桑螵蛸(そうひょうしょう/カマキリの卵)」です。
少し抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、中国では古くから「遺精」「頻尿」「小児の夜尿症(おねしょ)」などに使われてきました。

残念ながら、現在の日本では保険診療の漢方処方には含まれていないため、病院で処方されることはありませんが、当店では「安固丹(あんこたん)」という商品を扱っており、排尿トラブルのご相談で使用することがあります。

最後に

排尿の悩みは、年齢や性別を問わず多くの方が抱える身近な問題です。
命に直接かかわることは少ないものの、日常生活の質を大きく左右し、放置すると心身の不調につながることもあります。

「年のせいだから仕方ない」と諦めず、体質やライフスタイルに合わせたケアを続けていくことで、快適な毎日を取り戻すことができます。
トイレのお悩みがありましたら、一人で抱え込まずぜひお気軽にご相談ください。

 

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月と体の関係

はじめに

昔から、私たちの身体と「月」には不思議なつながりがあると考えられてきました。

「満月の日は出産が多い」

「月のリズムと女性の月経周期は似ている」

「満月の夜には狼男が目を覚ます」など

どこか神秘的で、でもどこかリアルに感じるこれらの言い伝え。
実は中医学でも、「月のリズム」は自然界の陰陽の変化としてとらえられ、私たちの体や心に影響を与えると考えられています。

今回は、中医学の視点から「月」と「身体」の関係と、暮らしに役立つ養生をお届けします。

自然界で考える「月」の働き

月の代表的な働きに「潮の満ち引き」があります。
これは、月の重力が地球の海水を引っ張ることによって生じます。

◆満潮(まんちょう)

月が地球の海水を引き寄せ、その方向に海面が盛り上がることで起こります。
また、地球の反対側では、月と地球の引力バランスによる遠心力の影響で、同じように海面が盛り上がり、こちら側でも満潮が生じます。

◆干潮(かんちょう)

一方、上記の「盛り上がった部分」から90度ずれた地点では、相対的に海水が引かれ、干潮となります。

このように、月の引力は地球上の「水」の動きに大きな影響を与えています。

中医学には、「人間は自然界の影響を受けて生活しているため、人体と自然界を分けて考えることはできない」とする天人合一(てんじんごういつ)という考え方があります。

私たち人間の体は、約60%が水分で構成されていることを考えると、海水の潮汐のように、月の動きが私たちの体に何らかの影響を与えていると考えるのは、ごく自然なことなのかもしれません。

中国での昔からの言い伝え

中国の古典では、「月」と「身体」の関係を次のように述べています。

黄帝内経 霊枢・歳露論第七十九篇

①人は自然とともに生きている

「人与天地相参也、与日月相応也。」

→人は天地(自然)と調和し、日(太陽)と月と呼応して生きている。

②満月の時の身体の変化

「故月満則海水西盛、人血気積、肌肉充、皮膚緻、毛髪堅、腠理隙、煙垢著、当是之時、雖遇賊風、其入浅不深。」

→満月には、人の気血が満ちて、筋肉が充実し、皮膚は引き締まり、毛髪はしっかりとしていて、皮膚の孔(腠理)は締まり、垢や汚れが肌にとどまりやすくなる。この時期に外邪にさらされても、体の深部までは侵入しにくいとされています。

新月の頃の身体の変化

「至其月郭空、則海水東盛、人気血虚、其衛気去、形独居、肌肉減、皮膚縦、毛髪残、腠理薄、煙垢落、当是之時、遇賊風、則其入深、其病人也卒暴。

新月(欠けていく時期)は、気血が減少し、体を守る(衛気)が離れ、ただ形だけがあるような状態になる。筋肉はやせ、皮膚はたるみ、毛は抜けやすくなり、皮膚の孔(腠理)はゆるみ、垢も落ちやすくなる。この時期に外邪にあたると、それは深く体に侵入し、急激で重い病気となって現れる。

④月経(生理)と月の関係

黄帝内経 素問・上古天真論

「女子二七而天癸至,任脈通,太衝脈盛,月事以時下,故有子。」

→女性は14歳ごろ(2×7の年)に天癸(てんき)に至り、任脈が通じ、太衝脈が充実し、月経が定期的に訪れるようになり、妊娠する力が備わる。

月事」は、現代でいう月経(生理)のことですが、わざわざ“月”という文字が使われているのは、月の満ち欠けの周期(約29.5日)と、女性の月経周期が近いことに由来しています。古代中国の人々は、自然界の月のリズムと女性の身体のリズムを重ね合わせ、まさに“月の事象”として月経を捉えていたようです。

月の満ち欠けに合わせた養生法

🌑 新月

新月は、月が完全に姿を消す「無」の状態。
この時期は、エネルギー(気)や栄養(血)がまだ満ちておらず、心身ともに内に向かう性質が強まります。外に向かって頑張るよりも、「休息と補い」が何よりも大切な養生のテーマです。

新月の時期に出やすい体と心のサイン

・気血の不足:疲れやすい、だるさ、頭がぼんやりする
・感情の内向き傾向:落ち込みやすい、不安感、孤独感
・静けさを求めたくなる:眠気、やる気の低下、人と話すのが億劫

🌿養生のポイント

🔸 早めに寝て、睡眠で回復を図る
→特に22時〜翌2時は「血を作り、肝を休める時間帯」。

🔸 気血を補う食事を摂る

→気を補う食材:お米、山芋、かぼちゃ、鶏肉など
→血を補う食材:黒豆、黒ゴマ、レバー、ほうれん草など

🔸 静かに過ごす時間を大切にする
→読書や瞑想、アロマなどで心を落ち着けて。

中医学では、新月は「陰が極まり、これから陽が生まれ始める“始まり”のとき」と考えられています。「休むこと=止まること」と思うのではなく、次に進むための“力を蓄える”時間だと考え、新月には、頑張りすぎず、自分の内側をいたわるような養生を心がけてみてください。

🌕 満月の養生

満月は、月の光が最も満ちる時期。
気血が充実し、体も心も高ぶりやすいときであり、エネルギーが溢れる反面、バランスを崩しやすいタイミングでもあります。

✅ 満月の時期に出やすい体と心のサイン

・気が高ぶる:イライラ、不眠、動悸、焦燥感
・“過剰”な症状:頭痛、のぼせ、便秘、むくみ
・感情の波が激しくなる:集中できない、衝動的になる、涙もろくなる

🌿 養生のポイント

🔸“巡らせる”ことを意識する
→気血が充実している時期なので、軽い運動やストレッチ、深呼吸などで巡りを良くしましょう。

🔸 補う食材や肥甘厚味はほどほどに

→すでに満ちている状態なので、補う食材や肥甘厚味(脂っこいもの、甘いもの、味の濃いもの)は少なめにしましょう。

🔸 感情が高ぶったら「立ち止まる勇気」を

→人とのトラブルや衝動買いなど、気が上に昇る満月期は感情のブレーキが効きにくくなります。「満月だから仕方ない」と割り切る心の余裕が重要かもしれません。

中医学では、満月は「陽が極まり、陰が生じ始める」状態とされます。
光り輝く満月も、次の満月に向けて必ず欠けていきます。
この時期には体の中の整理だと思い、“デトックス”を意識することが、次の新月に向けた準備になります。

頑張るよりも、緩めて整える。「巡らせて、出す」ことが、満月の養生のカギです。

最後に

「なんだか今日は、いつもより疲れるな」
「つい余計な一言が多かった気がする」
「なぜか気持ちが沈むけど、理由がわからない…」

そんなとき、ふと空を見上げてみてください!
それは、“あなたのせい”ではなく、月のリズムと心身の波が重なっているだけかもしれません。

「月のリズム」を意識するだけでも、心がふっと軽くなることがあります。
自然のリズムを感じ取り、日々の暮らしに少しでも取り入れることが、あなた自身を整えていく第一歩なのかもしれません。

 

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膀胱炎と漢方薬

はじめに

「膀胱炎」と聞くと、多くの方は「抗生剤を飲めばすぐに治る病気」というイメージをお持ちかもしれません。

実際、急性膀胱炎であれば、抗生剤によって速やかに症状が改善することも多く、西洋医学においては一般的な治療法とされています。

しかし、特に女性に多く見られるのが

  • 何度も膀胱炎を繰り返してしまう

  • 抗生剤をやめてしばらくすると、また再発してしまう

  • 「またあのツラい症状が出るのでは…」と不安が続く

といった“慢性化”したケースです。

このような状態になると、単なる感染症という捉え方だけでは対応が難しくなってるような気がします。
そこで今回は、急性・慢性膀胱炎に対して、中医学ではどのように考え、どのようにアプローチしていくのかについて、お話ししていきたいと思います。

膀胱炎とは?

🔸 急性単純性膀胱炎(急性膀胱炎)

もっとも一般的な膀胱炎で、原因の多くは、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込むことで起こります。

<主な症状>

膀胱炎の3大症状:排尿痛・頻尿・尿の濁りがよくみられます。

  • 排尿時の痛み・違和感

  • 頻尿(トイレが近い)

  • 残尿感

  • 尿の濁りや血尿

通常は抗生剤を服用することで数日〜1週間程度で改善します。

🔸 慢性膀胱炎

急性膀胱炎を何度も繰り返す、もしくは症状が長引くタイプです。
明確な細菌感染が確認できないこともあり、治療に時間がかかるケースもあります。

<特徴>

  • 数か月以上にわたって症状が続く

  • 抗生剤で一時的に良くなっても、再発を繰り返す

  • 症状が軽くなったり悪化したりを繰り返す

免疫力や膀胱粘膜の状態、自律神経の影響なども関係していると考えられています。

🔸 間質性膀胱炎

慢性的な膀胱の痛みや尿意切迫感が続く、やや特殊な膀胱炎です。
一般的な膀胱炎と違い、細菌感染はなく、原因ははっきりしていません。

<特徴>

  • 頻尿・尿意切迫感が強い(夜間も多い)

  • 排尿後も痛みが続く

  • 抗生剤が効かない

といった特徴があり、抗生剤が効かないことから診断・治療も難しいとされています。

中医学で考える膀胱炎

1.膀胱湿熱(ぼうこうしつねつ)

中医学では膀胱炎を、「湿熱(しつねつ)」が「膀胱」に停滞することが主な原因とされています。

「湿」とは、まさに梅雨時のあの“ジメジメ”した空気のようなものです。
体の中にこの「湿」がたまると、ねっとりと粘り気があり、流れにくく、重だるい状態になります。これにより排尿のスムーズさを妨げられ、本来の水分代謝がうまく働かなくなってしまいます。

そこに、炎症の火種となる「熱」が加わり、「湿」はまるで蒸し焼きにされたようにこもり、ドロドロと熱を帯びた老廃物が溜まったような状態となります。

この「湿熱」が膀胱に停滞することで、いわゆる炎症の五大徴候とされる「熱感・腫脹・発赤・疼痛・機能障害」が現れ、結果として「排尿痛」「頻尿」「尿の濁り」といった、急性膀胱炎に特徴的な三大症状が現れてきます。

このような場合は、急性膀胱炎のタイプに多く、中医学では、膀胱にこもった「熱」を冷まし、たまった「湿」を取り除きながら、尿の通りを良くすることが基本の考え方です。

漢方薬の例:五淋散、瀉火利湿顆粒(竜胆瀉肝湯)、五行草など

🌿「五淋散」の「淋」って?

中医学では、排尿痛や頻尿、排尿困難を伴うような尿トラブルを「淋証(りんしょう)」と呼び、症状の現れ方によっていくつかのタイプに分類されます。以下の5つの”淋”を治療することから「五淋散」と名付けられました。

1.熱淋:尿が濃く、排尿時に熱感や痛みを伴うタイプ

2.気淋:ストレスや気の停滞により起こるタイプで、下腹部の張りや排尿困難が特徴。

3.膏淋:尿が混濁しているタイプ

4.労淋:疲労や体力低下によって起こるタイプ

5.石淋:尿路結石により引き起こされるタイプ

この5つ以外にも、血淋や冷淋など様々な淋証のタイプがあります。

2.心火亢盛(しんかこうせい)→ 小腸実熱(しょうちょうじつねつ)

中医学では、「心」と「小腸」は表裏関係にあり、「心」に熱がこもると、その影響は「小腸」にも及ぼすことがあります。

中医学における「小腸」には主に以下のような働きがあります。

①受盛化物(じゅせいかぶつ):胃から送られてきた飲食物を受け取り、消化・吸収の処理をする

②泌別清濁(ひべつせいだく):「清(体に必要な水分や栄養分)」と「濁(老廃物)」を選り分ける

このうち、「清」は主に再吸収されて体内に戻り、「濁」は膀胱や大腸に送られて排泄されます。つまり、「小腸」は身体にとって必要なものと、不要なものを選り分ける“フィルター”の役割を担っています。

「心火」が過剰になり、「小腸」に熱がこもると、本来きちんと行われるはずの「②清濁の選別」が乱れ、

  • 本来体内にとどめておくべき“清”が外に漏れ出しやすくなる

  • 不要な“濁”がうまく排出されずに体内にとどまってしまう

といった水分代謝の異常が起こります。

「小腸」は、排尿に関わる「膀胱」とも連絡しており、このとき小腸に滞った“濁”や“熱”が膀胱へと移行すると、湿と熱が結びついた「膀胱湿熱」という状態にやがて発展します。

<このタイプの特徴>

心神(精神)の乱れ:イライラ、ソワソワ、不眠、不安感

✅排尿異常:濃く黄色、尿が出にくい、排尿痛

✅上部の熱症状:のぼせ、口の渇き、口内炎 など

「心」「小腸」の熱を冷まし、尿の通りを良くする漢方薬を使用すると良いでしょう。

漢方薬の例:三黄瀉心湯 /   清心蓮子飲、天王補心丹など

3.肝気鬱結(かんきうっけつ)

中医学における「肝」は、「疏泄(そせつ)」=気の流れをスムーズに保つ働きを担っています。この「疏泄」の働きは、現代医学の「自律神経」の調整機能に近く、ストレスや憤りを強く感じたり、憂鬱な状態など精神的な負荷がかかると肝の「疏泄」機能が失調し、「気」の巡りが停滞します。この状態を「肝気鬱結」といいます。

 ⚠️「気」の流れは道路の交通の流れと同じ
高速道路で車の流れがスムーズだと運転は快適ですが、渋滞するとドライバーはイライラして頭に血が上りますよね。それと同じように、体内の「気」が滞ると、徐々に「熱」がこもるようになり、それが体の下の方(膀胱)に伝わると、膀胱の働きがスムーズにいかなくなります。

その結果、膀胱炎の症状を引き起こすことがあります。

✅ストレスがかかると悪化する

✅排尿がスムーズでなく、残尿感がある

✅下腹部が張って不快感がある など

「気」の流れを良くする漢方薬を使用すると良いでしょう。
漢方薬の例:加味逍遥散、四逆散など

4.腎虚(じんきょ)

中医学における「腎」は「膀胱」と表裏関係にあり、腎の働きが弱まると膀胱の機能も低下しやすく、尿トラブルにつながります。
また、「腎」は生長・発育・生殖・老化とも深く関わっており、年齢とともにその力(腎気)は徐々に低下していきます。

🌿閉経後になぜ「膀胱炎」が増えるのか?

閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、膀胱や尿道の粘膜が薄くなることで防御力が低下し、膀胱炎が起こりやすくなるとされています。
中医学的にみると、この状態は「腎陰虚(じんいんきょ)」により膀胱の潤いが不足し、粘膜が萎縮しやすくなることで膀胱炎の原因菌の繁殖を抑える力が弱まると考えられます。
さらに、潤い不足で体の冷却機能(陰)が低下すると、相対的に体内に熱がこもりやすくなり、炎症が起きやすくなることも背景にあります。

<「腎虚」の特徴>

✅繰り返し膀胱炎になる、疲れた時に発症する

✅夜間頻尿・慢性的な頻尿

✅ 下半身の冷え、腰や膝のだるさ

✅のぼせ・ほてり・寝汗 など

「腎」の働きを高める漢方薬を使用すると良いでしょう。

漢方薬の例:八味地黄丸、牛車腎気丸、瀉火補腎丸 、双料杞菊顆粒など

 

上記1~4以外にも、細菌から身体を守る力(衛気)が不足した場合や血流の滞り(瘀血)が組み合わさって発症している場合があります。

🌿日頃の生活からできること

膀胱炎になりやすい方は、日々の小さな習慣を意識するだけで予防・再発防止につなげることができます。

①水分摂取はこまめに

水分不足は尿量の減少につながり、菌が繁殖しやすくなります。
一度に大量ではなく、こまめに水分補給をするようにしましょう。
おすすめのお茶:オオバコ茶(車前子草茶)、とうもろこしの髭茶、はと麦茶

② 尿を我慢しない

尿を長時間膀胱内に溜め込むと、細菌が増殖しやすくなります。
・ トイレを我慢せず、尿意を感じたら早めに排尿する習慣をつけましょう。
・排尿時は最後までしっかり出し切る意識も大切です。

③女性:トイレットペーパーの使い方に注意

女性は尿道が短く、肛門と尿道口が近いため、細菌が入り込みやすい特徴があります。
トイレットペーパーは「前から後ろへ」拭くようにし、肛門側からの菌が尿道へ入り込むのを防ぎましょう。

④ストレスケア・睡眠

ストレスや睡眠不足は免疫力を低下させ、膀胱炎を繰り返す要因になります。

・十分な睡眠をとるできれば23時までの就寝)
・軽い運動・趣味・深呼吸などでストレスリセット

最後に

膀胱炎のお悩みは、漢方相談の中でも非常に多く、それだけ悩まれている方が多いのだと日々感じています。

先日ご相談いただいたお客様も、

「膀胱炎を発症するたびに抗生剤を服用し、服用すれば症状は軽減するものの、毎月のように膀胱炎を繰り返してしまう」
「トイレが近くて夜も満足に眠れない」

とお話しくださいました。
膀胱炎が気になって気になって、心も身体も疲れ切ってしまっているような様子でした。

漢方(中医学)では、こうした繰り返す膀胱炎に対して、単なる対症療法ではなく

「なぜ繰り返してしまうのか」
 「自分の体質がどのタイプか」

を一緒に探しながら、体質改善と再発予防を目指していきます。

繰り返す膀胱炎でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
体質に合わせた漢方的アプローチで、毎日を安心して過ごせるお手伝いができればと思います。

 

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