総選挙で日本共産党には頑張ってほしいと書きました。
前から書いているように、(1)草の根のネットワークを持ち、困った人の相談に乗る、(2)不正の暴露など行政の厳しいチェック、(3)社会主義や非同盟などオルタナティブを提示する力は、一朝一夕では作れない厚みのある資産であり、今の日本に必要なものだからです。
他方で、こうした共産党の役割をそこない、組織を私物化している今の党幹部たちの悪弊を改めることを、この選挙戦でも求めます。そこを改めない以上、党は蝕まれ、前進は難しいと考えるからです。
異論排除の非民主的体質をやめよ
一つ目は、ハラスメントやルール違反などのさまざまな方法で、異論を排除する非民主的な体質です。
私や松竹伸幸さんの追放をめぐる裁判で、この体質は明るみに出つつあります。しかもその後も逆らう人たちが陸続と追放されたり、まつろわない議員・候補・職員に対して聞くもおぞましい圧力がかけられ続けています。
当たり前ですが、こんなことをしていれば、民主的な議論ができなくなり、組織はダメになっていきます。また、いくら「赤本」「青本」で「共産主義への偏見を克服」しようとしても、現実の党幹部の行動によって異論を排除する体質を露呈させてしまうなら「なんだ結局ソ連や中国と同じか」と、その情報に触れた人が思ってしまうことでしょう。
「こっそりやっているから、影響はない」と思って無視するなら、そうすればいいとは思いますが、そう思っているのは党幹部だけでしょう。世の中にはわかってしまうもの。世論から厳しい審判を受けるだけです。
党職員を労働者であるときちんと宣言して制度を整備せよ
二つ目は、党職員(専従)を労働者扱いしない反労働者的な体質です。
共産党幹部は記者会見や党内の教育で、党職員はあたかも労働者ではないかのように必死で取り繕っているのですが、すでに私の裁判では言い逃れができなくなり、党職員が労働法上の「労働者」であることを認めました。だから、各地で声をあげた人たちによって残業代などが「こっそり」と支払われています。
今、労働者を労働者として扱わない働かせ方が社会問題になっています。
そんな時に、「労働者階級の党」であることを看板にしているはずの共産党が、自分の党の職員を「労働者」として扱わないのですから、天下の笑い物です。かように恥ずかしい姿をさらしているのは、あげて党幹部の責任でしょう。
共産党が今回の総選挙で掲げた政策には労働者むけの政策がたくさんあります。その政策は共産党職員には何ら適用されないのかと思ってしまいます。
以下、ご覧ください。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/16513.html
- 時間外・休日労働の上限を規制し、1日2時間を超える残業割増率を50%に引き上げます。連続出勤・休日出勤規制を強化し、「サービス残業」を根絶します。
- 不当な雇い止め、解雇をなくし、非正規ワーカーの雇用の安定をはかります。
- 実労働時間を正確に把握・記録し、「サービス残業」が発覚したら残業代を2倍にします
- 「名ばかり管理職」を規制します
- フリーランス・ギグワーカーなどのプラットフォーム労働者の生活と権利を守り、「多様な就業形態の普及」の名目で無権利の働き方を拡大することに反対します
- 「若者使い捨て」企業をなくします
共産党が掲げた立派な労働者むけの政策を、党幹部自身が嘲笑し、踏みつけているのです。
党職員を労働者であるときちんと宣言し、党内にふさわしい制度を整備すべきです。
人権侵害は外部に訴えることを認めよ
三つ目は、ハラスメントや不当解雇などの人権侵害を「外」に訴えることを押さえつける隠蔽体質です。
党幹部は「党内問題は内部で解決する」という規約を悪用し、ハラスメントや解雇などの人権侵害の声を上げた人までを次々追放しています。自分たちの都合の悪いことを隠そうとするからです。
https://www.jcp.or.jp/web_policy/16376.html
ハラスメントへの対応について、法律で事業主に対して、相談窓口を設置する、事後に適切な対応をとるなどの防止措置義務が課されています。しかし実際は、多くの場合、被害者があきらめたり、希望する解決が図られずに泣き寝入りせざるをえない実態があります。
これは党幹部自身が作り上げている、共産党の中での恐るべき現実です。
少なくともハラスメントや不当解雇などの人権侵害を外部に訴えることを認めるようにすべきです。共産党幹部は、党内でどんな人権侵害が起きたとしても、あくまで不祥事を外に漏らさないために口を封じるつもりでしょうか。
この3つを求めます。
「えらそうなことを言うけど、オマエらの組織はめちゃくちゃじゃん」という視線——左派やリベラルに注がれる視線は厳しいものがあります。
それとも「そんなのはこっそりやれば大丈夫。影響なんかない」とここでも言い張るつもりでしょうか。なぜいくら「正しい」ことを言っても前進しないのか、もっと根本も含めて反省すべきではないでしょうか。
この3つを改善せずに、共産党の前進は望めないでしょう。
総選挙中にこの3つの改善をすることを私は求めておきます。
「共産党の足を引っ張るな!」と思う共産党贔屓の人がいるかもしれません。その通りです。でも足を引っ張っているのは私ではなく、党幹部なのです。その言葉はまず党幹部に向けましょう。病根がなくなれば問題は解決するのですから。
あるいは「選挙中は黙れ!」とおっしゃるかもしれません。私は黙りません。選挙は有権者の声を聞く絶好のチャンスです。票を得るために緊張感を持って反対の声を聞くでしょう。今がまさに声をあげるその時なのです。
「突風は吹いていない」
もう一つは、今度の選挙では、真の争点を覆い隠す“つむじ風”が吹いていないことです。
一昨年の総選挙では国民民主党が「手取りを増やす」と打ち出し、昨年の参院選では参政党が外国人問題を唱え、それぞれ選挙の本当の争点を見えなくさせる「突風」となりました。しかし今度の総選挙では、今のところ真の争点を覆い隠す“つむじ風”は吹いていません。党首討論会でも、物価高や消費税減税、トランプ政権の無法、外交・安保問題などが正面から争点として問われ、いわばわが党の土俵で論戦が展開されています。消費税減税をめぐっては、財源問題が焦点になり、党の先駆性が際立っています。政治論戦上は、わが党にとって本当にたたかいやすい選挙であり、有権者に党の主張を届けやすい選挙になっています。
と断じました。今度の総選挙では「突風」「つむじ風」は吹いていない、と明確に述べています。*1

だとすれば、問題はクリアなはずです。
正面からの勝負になっていて、勝つか負けるかしかありません。
共産党が伸びれば共産党の戦略・戦術が成功したということであり、共産党が後退すればそれが失敗したということになる、と考えるのが自然な論理でしょう。
結果を注目して待ちたいと思います。*2