日本共産党幹部による私への不当解雇に抗議した砂川絢音さんは、10月1日付で党を除籍されました。人権侵害に声をあげたことを理由に党を追放するのはおかしいと書きましたが、今日は別の論点です。
「日本共産党福岡県常任委員会」名での砂川絢音さんの除籍理由には次のように書いてあります。
これらの行為は、民青*1県委員会を破壊し、乗っ取ることを狙った分派的行動です。

破壊し、乗っ取る。
すごいパワーワードだと思います。
まず、民青を「破壊」するわけです。
「破壊」。辞書では「原形を保たないまでにうちこわすこと。うちこわされること。こわれること」*2「現存の制度・組織などが徹底的にこわれること」*3とあります。
そして、「乗っ取り」ます。
「乗っ取る」。同じく辞書では「奪いとって自分の支配下におく」とあります。
おかしくないですか?
元の形をとどめないくらいにめちゃくちゃに壊しておいて、自分のものにする、というのです。
パソコンを例にしてみたらどうでしょうか。パソコンを粉々にして跡形もないようにしておいて、自分のものにする……どう考えても正気の行動とは思えません。

破壊するだけ、とか、乗っ取るだけ、というのは理屈がわかります。破壊し、乗っ取る、ってつながらないのです。
しかも「乗っ取る」って、民青の地方組織を乗っ取るんですか?
乗っ取ってどうしようというのでしょうか。
別に同盟費や機関紙代は、微々たるものですし、それだって集めないと自然に入ってくるわけではありません。私が共産党市議団の事務局だったころには、民青の役員の人たちが事務所にカンパを訴えにきました。遠くまで時間や交通費をかけてやってきて、訴えてようやくお金が入ります。オートマチックに入ってくるお金などないのです。
他方で、お金は出て行きます。民青の専従者は、福岡市から遠く行橋や北九州、大牟田までそこで開かれる班会のお世話をするために出かけ、夜中に帰ってきて、「自主的活動」として扱われ残業代も出ず、自動車のガソリン代もまかなえません。
深夜に及ぶ駅前での同盟員拡大もそうです。
享楽とか利権とかとは無縁のものです。
そういうものを好きこのんで「乗っ取る」のでしょうか?
だいたい「乗っ取る」って、ショッカー*4か何かでしょうか。

厳密に事実やロジックを積み重ねて到達するのとは真逆の、「とにかくおどろおどろしいワードを使え!」という雑な指令に従った結果としか思えない言葉のチョイスです。この文面を起草した人(そして賛成した人たち)の知性がどこにも感じられません。
もともと、砂川さんは他の人たちとともに、民青の県委員長がハラスメントをしたのではないか、県委員長としてふさわしくないのではないかと代表者会議で問題提起しようとしただけで、それを「分派」だとか「意見の違いによる排除」だとか問題視すること自体が異常な対応だと言わねばなりません。
この異常さを糊塗しようとして党幹部がひねり出した、あまりにも荒唐無稽なストーリーが、「砂川さんたちが民青福岡県委員会を破壊し、乗っ取ろうとした」というでっち上げだった——そう考えるしかない、ことの成り行きです。
砂川さんの共産党の除籍決定は「共産党福岡県常任委員会」によってなされているので、その承認は規約では一級上の機関、つまり共産党中央委員会が行なっているはずです。
砂川さんは支部に属していたので、ふつうは支部が決定するはずですが、なぜか党県常任委員会が決定し、中央委員会が承認しているのです。
ここでも、この異常な決定は、単に「一地方の一支部の狂ったバグ」ではなく、中央トップが承認して決めた、党幹部のご意向であり、組織全体が陥っている深刻な病理の顕現であることがわかると思います。
なぜ他の団体の話なのに共産党を除籍されるのか?
私がこの除籍理由で気になるのは、これは民青同盟の話だという点です。
民青同盟と日本共産党は完全に別団体です。
民青同盟での行動が、なぜ日本共産党での除籍理由になるのでしょうか。
どこかの団体でのルール違反が日本共産党における処分や追放の理由になるという奇妙な話です。
例えば、私が俳句サークルに所属しているとしましょう。
私が俳句サークルの会則に違反したら、私はそれを理由に共産党を除名されたり除籍されたりするのでしょうか。
ただし党規約の42条には
各種の団体・組織で、常任役員の党員が三人以上いる場合には、党グループを組織し、責任者を選出することができる。
党グループは、その構成と責任者の選出について対応する指導機関の承認をうけ、またその指導をうけて活動する。活動のなかで、その団体の規約を尊重することは、党グループの責務である。
党グループは、支部に準じて、日常の党生活をおこなう。
とあります。
しかし民青同盟福岡県委員会に対応した党グループは存在しませんでした。この規約の適用を受けないことは明らかです。
また、第29回党大会決定には党が国民運動に参加するさいの「四つの原則」が提起され(この原型は昔からありましたが)、その一つに
それぞれの組織の性格と目的を尊重して、組織の前進・強化のために力をつくす。
というのがあります。
私は砂川さんはこの原則にそった、非常に忠実な活動をしていたと思いますが、仮にこの原則(党大会決定)に反した活動をしていたとしても、42条ではこれを規約上の責務にしていたのは党グループだけだったのですから、砂川さんがただちに規約違反に問われるものではないはずです。
そして、「仮に…」「仮に…」と仮定を何重にもしていきますが、仮に規約42条や29党大会決定を強引に適用するにしても——そして、これがもっとも肝心な点ですが——そもそも民青の規約を踏みにじっていたかどうか、当の民青がまだ「調査中」だったのに、共産党福岡県委員会は、砂川さんを除籍してしまったのです。その団体が何も結論を下していないのに、先んじて勝手に共産党が外から「民青の規約違反だ!」と決めつけるなんて、その方がよっぽどその団体の自主性をないがしろにしていないでしょうか?*5
もう、どこからどう見ても乱暴きわまる決定だったと言えます。
私は、砂川さんの除籍について、私同様に「カジュアル除名」として除籍を濫用している点、人権侵害に声をあげたのにそれを規約違反だとされた点だけでなく、上記の点からも、不当なものだったと考えています。
そして、ある点では私の時以上に、破綻しまくった雑なストーリーを押しつけて、あたら若い有望な活動家を潰して叩き出したという点において、党中央をふくめた骨がらみの深刻な組織の病理を露呈した追放劇だったのではないでしょうか。