森沢洋介『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』をやっていると、否定疑問文の例文がほぼ毎回出てくる。
Isn't this book difficult for you?
(この本はあなたにとって難しくないのですか?)
No, it isn't.
(はい、難しくないです。)
Don't you like animals?
(あなたは動物が好きではないのですか?)
Yes, I do.
(いいえ、好きですよ。)
日本人だとつい「Yes/No」を逆に答えてしまいたくなるやつ。
そんなの、昔英語の勉強でやったなあと思い出しつつ答える。
何度もやることで、体に覚えさせようというのだろうが、数ある例文の中でも実にしつこく登場する。確かに覚えてしまう。
最近東京に行く機会があって、久しぶりに神田の古本屋街をめぐった。
その時、店先で100円で売られていた会田雄次『アーロン収容所』の中公文庫版を買った。

ビルマで終戦となり、武装解除を受けてイギリス軍に抑留された記録である。
過酷な状況なのに、文章全体に諧謔みがある。
この中に否定疑問文ではないが、Yes・Noが逆になるのを間違えてえらい目に遭う話が出てくる。
イギリス軍の食糧を、イギリス兵自身がちょろまかしにくる。捕虜となった日本兵が食糧の集積場所の門衛をしているのだが、イギリス兵は「Not keep out(何も記入するな)」と日本兵に命令して持ち出していってしまうのである。
あるときイギリス兵が自動車に乗ったまま「記入するな」と怒鳴った。それに対して私たちの(日本の)小隊長は「イエス」と答えてしまった。すると奴さんは驚いてとんで来て帳面を見ている。「ノー」と言うべきだったのだ。小隊長はそれに気付いたが慌てていただので「イエス、ノー、ノー」と言った。しかしこの省略日本英語は通じない。納得させるまで大分かかってしまった。(p.104)
ちょうど勉強している話だなあと思いながら読んだ。