いま住んでいる家はアパートだ。
3年前、わけあってそれまでのマンションから引っ越した。
マンションは新築物件で、駅のすぐ近く、バリアフリーで住みやすいとの宣伝
(にウソはなく気に入ってはいたけれど)に惹かれ、いずれは母を引き取り同居の
つもりだったから25年前に購入して住んでいた。
(ところが人生は分からない。皮肉でもある。
住み始めて数年で、母でなく自分自身がバリアフリーの恩恵に与ることになろうとは)
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住むとこは、安い家賃でそのときどきの家族の生活が営めるだけの広さがあれば
よいと思い、若いころからずっと小さな借家ぐらしを続けてきた。
「マイホーム志向」はなかった。
だから、いまのアパート暮らしは私たちの性に合っている。

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いまのアパートは2階建てで6軒の造り。私たちの家は1階だ。
日当たり良好。景色も正面(表)は、視線の下の方はすぐ前の小さな道路を隔て
2両だけのこの地域の生活を支えて走る私鉄電車の線路、上の方は線路の向こうの
家々と広々とした空が見え、気持ちがいい。伸びやかになる。
小さな駅も杖突く私が歩いて5分もかからない。
ともかくホント、気に入っている。
だが唯一つ、難点があった。買い物がしにくいこと。
というのは、近くに食料品店やスーパー、コンビニなどが一つとしてない。
(ここは古くからの落ち着いた静かな街だが、昔からの田畑はドンドン宅地造成され、広い平地
エリアは新しい家が林立。
だから人口は多いはずだ。なのに店がない。不思議?…
面白がって「名探偵コナン」になったつもりで推理してみると、「新しい家が林立」でも、
ほとんど若い共働き家庭ばかりで、昼間は閑散状態だ。
食べものなど生活必需品は職場近くに店があり、通勤に車を使っている《今どきの新築住宅は
余裕ある駐車スペース付き》のなら夕方、夜も買い物は大丈夫。ということになれば、
新規開店の側からすれば、お客は少なく、商売は成り立たないだろう
との判断からだろうか?)
いちばん近いスーパーは歩いて40分。
(電車に乗って何駅か行けばそんなに歩かなくてもすむけれど、そっちは選択しない。
遠くても、時間がかかっても散歩を楽しむ気分の私たちは、道ばたや民家の庭先に草花、
木に咲いた花など見つけて愛で、写真に撮って楽しむ。
《だから実際は1時間かかる》)
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で、ここからが本題だ。

先日、パソコンの終了ボタンを押しながら、「あ~ぁ、ムダな時間を過ごした」
とツレがのたまう。
何のことかというと、ネットの「住宅情報検索」だ。
(もちろん、将来「買い物難民」にならぬため。
但し、いまのアパートの居住条件を下げることなく近くに食料品店があることだ)
で、私は「ムダな時間じゃない」と返した。
(エラそうに「そもそも人生にムダなどありゃせん」に始まり、ここより気に入ったのが
見つかったらそれはそれでいいし《また引っ越す苦労を想ったらウンザリだけど》、
見つからなかったら、「やっぱりこのアパートはすばらしい!滅多にないほど恵まれている」
という思いがますます高まり、固まり、どっちみちいい」とのたまった)

老後とは 死ぬまでのこと 花木槿 草間時彦