今日はもう一つの話題、「幸福」。
(著者は臨床心理のクリニックを開業しています。
本は、実際のご自分の経験《ある若い女性のクライエントの具体的な症例、「不眠」》を例に挙げ
前回は「働くこと」「愛すること」という視点から、今回は「幸福」」という視点から悩み、問題を
とらえていきます)
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「〈幸福は複数である ポジティブとネガティブ、そして純粋と不純〉
-幸福とはあらゆる目的の背景に潜んでいる「メタ目的」-
(著者のいう「メタ目的」とは、突きつめて言うなら、人生そのものがいつも「幸福」であることを
誰も望むので、人の行いのすべての背景には「幸福」が潜んでおり、それが目指されている。
また「幸福」とは主観的かつ相対的なものであり、「これがそうだ」というものではあり得ない。
であるから、「幸福」はいろいろ、複数、多様、複雑でなければならない)
シンプルな幸福論(であってはいけない)…
複数の幸福を見出さなくてはいけない。
…
ポジティブとネガティブ
(著者は「本当はポジティブには幸福も不幸も含まれているはずで、ネガティブにもその両方が
含まれているはず」という。つまり「ポジティブな幸福」「ポジティブな不幸」もあれば
「ネガティブな幸福」「ネガティブな不幸」もあるということ。
幸福(白)か不幸「黒」かと割り切るのではなく「あいまいな灰色のグラデーション」が大切)
純粋なポジティブ(ネガティブ)と不純なポジティブ(ネガティブ)があるのではない。
(大切なのは)絶頂的幸福(ではなく)ほどよい幸福。
…
人間を信じる(→そのためには「時間」がとても大事)
無限の神を信じるよりも、有限の人間を信じる方がずっと難しい。…
納得いかないこと、矛盾に満ちていること、絶対に許すことができないこと、
つまり論理的思考では答えの出ないことを、時間がゆっくりと溶かしてくれる。
…
(クライエントの女性は《セラピーを続けるうちに》彼氏と呼べるような男性ができ、
付き合うようになった。そして彼女の心は安定し、不眠症状は一時改善した。
それはよかったのだけど、彼は仕事がうまくいかない不満などがあって、それを彼女にぶつけ
《つまり甘え》、そういう彼を受け止めきれない彼女。
二人の関係には危機が訪れ、彼女の不眠は再びひどくなってきた。
彼は彼女は何でも受け入れてくれる人だとの勝手な、自分にとって都合のいい彼女像を描いていた。
ところが現実の彼女は違う→灰色の彼女 しかし、同じことは彼への彼女の姿、態度でもあった→
灰色の彼
「幸福」は相手の「自分にとっての都合のいい化《理想化》」ではなく、妥協《といっては語弊がある
けど、いい意味で現実をていねいに見ること》にあるのかもしれない)
白と黒が溶け合うと、灰色の彼女(彼)が見えてくる。現実の彼女(彼)が見えてくる。
(→ネガティブな幸せ)
大人になること。これこそがネガティブな幸せの正体です。
大人には大人の平安(ネガティブな幸せ)がある。

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ひと口に幸福、幸せといってもいろいろだということをすごく思った。
それから「ネガティブな幸せ」ということ。
(ここでいう「ネガティブな幸せ」というのは多くの人がそう感じるであろうという、
客観的な表現に違いない。
そもそも幸福、幸せというものは客観的に存在するものではないし、「感じ」という主体的なもの。
「ネガティブ」「ポジティブ」だって自分の感じ方、思い方によって黒白でなく灰色のグラデーション
になる)

現実というありのまま、「いる」を幸福、幸せと感じられることほど、
幸福、幸せなことはない。
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「論理的思考では答えの出ないことを、時間がゆっくりと溶かしてくれる」
心にグッときた。

若葉吹く 風さらゝと なりながら 惟然