以下の内容はhttps://kafkafinancialgroup.hatenablog.com/entry/2025/12/01/030820より取得しました。


決算数字は、「AI CAPEXがEPSを溶かしている」というストーリーを裏付けていない

ざっくり整理すると、note は次のようなストーリーを描いています(要約・意訳です)。 1. アメリカ株(特にS&P500)は、実体経済から乖離したリターンを出してきた • アメリカ株のリターンは、米国GDP成長率を大きく上回ってきた。 • その背景には、ネットワーク効果と無形資産を握った巨大テック(Mag7)がある。 2. Mag7とインデックスマネーによる「集中」の結果、世界中の資本がS&P500に集まり過ぎている • 米国株は世界株式のうち≒6割(近年はもっと)を占める。  • しかし米国のGDPは世界の約4分の1程度に過ぎない。  • パッシブ運用が主流化し、インデックスに入っている銘柄だけにフローが集中する。 3. 投資人口の拡大(NISAなど)で、「参加するだけで勝てる」ゲームになりつつある • 皆が同じインデックスを買い、同じ銘柄が上がり続ける。 • 消費を削って株を買う社会実験が本格化している。 4. AI投資競争が、ビッグテック同士の「総力戦」にルールを変えつつある • これまでビッグテックは暗黙に棲み分けて「共存と繁栄」をしてきた。 • しかしAGIをめぐる競争は敗者=死、という恐怖を生み、際限ない投資競争を招いている。 5. OpenAIとStargateプロジェクトが、その象徴になっている • OpenAIはStargateプロジェクトとして、最大5,000億ドル規模のAIインフラ投資を掲げる。  • SoftBankOracle、OpenAIらが関わり、Nvidiaは最大1,000億ドル規模の投資とチップ供給。  • OpenAI自身は400億ドルの資金調達(バリュエーション5,000億ドル)など、桁違いのレバレッジを取りつつある。  6. その結果、S&P500のPERは23倍まで上昇し、かつてのドットコムバブル水準に接近している • 過去30年平均17倍 → いま23倍近辺、という記述。 • ここ数年の上昇はEPSではなく、マルチプルの拡大によるものだ、と主張。 7. AI投資でEPSが溶け始めると、「S&P500神話」は崩壊しうる • ビッグテックがAIインフラ投資の負担に耐えられず、EPSが減速・悪化する。 • インデックスとMag7への過度集中が、逆回転のトリガーになりうる。

  1. まず、マクロ指標のファクトチェック

2-1. 米国株の「世界シェア」は? • UBSのリターン年鑑によると、米国株の世界株式に占める比率は2023年時点で約60.5%。  • 2024〜25年はさらに上昇し、グローバル株式の7割前後を米国上場株が占める、という推計も出ています。 

→ 「米国株が世界の大半を占める」描写は、むしろnoteより現実の方が激しい、という感じです。

2-2. 米国のGDPシェアは? • 世界銀行系データでは、米国の名目GDPは世界の約26%前後。 

→ 「GDP 25〜26%に対して株式時価総額60%以上」という大きな乖離は、データとして正しい。

2-3. S&P500の利益率 • FactSetによると、Q3 2025のS&P500純利益率(ブレンド)は13.1%で、2009年以降で最高水準。  • 情報技術セクターは約27.7%と、利益率の高さを維持。 

→ ここは note の「高収益企業の集積体になっている」という認識と整合します。 「利益率はすでにピークアウトして崩れ始めている」という描写があるなら、それは現時点のファクトとはズレます。

2-4. S&P500のバリュエーション • FactSetの最新レポートでは、S&P500の12カ月先PERは22〜23倍程度(2025年秋時点)。 • 2025年11月7日時点で22.7倍。  • 10年平均18.6倍、5年平均20倍なので、明らかに割高ゾーン。 • 一方で、「9月末22.8倍 → その後22.7倍程度」と、“バブル暴走”というより高値圏で横ばいという感じ。

→ note の「PER23倍/ドットコムバブルに接近」というニュアンスは大筋合っているが、 「いままさに加速中」ではなく、高めの水準でヨコヨコというのが近いです。

  1. Mag7と「インデックスの集中」はどこまで事実か

3-1. Mag7のウェイト • Mag7(Alphabet, Amazon, Apple, Meta, Microsoft, Nvidia, Tesla)の合計時価総額は、 S&P500の35〜37%程度を占めている。  • 2025年11月時点で、MarketWatchやMotley Foolが「37%前後」と報じている。 

→ 「7社で指数の1/3〜4割」という表現は事実に即しています。

3-2. Mag7 vs “S&P493” • Washington Post は「S&P493(Mag7を除いた493社)は、ここ数年パフォーマンスも利益成長も弱い」と報告。  • FactSetによれば、Q3 2025のMag7の利益成長率は18.4%、他の493社は11.9%。  • 直近ではMag7の成長率はやや鈍化したものの、依然として指数全体を上回っている。

→ 「Mag7だけが世界を引っ張っている」という描写は大枠で正しいが、 2024〜25年にかけては、493側の利益も徐々に復活してきているのが実像です。

3-3. パッシブ vs アクティブ • 米国株式ファンドにおけるパッシブのシェアは、60%近辺に達しているという調査が多い。

→ note の「パッシブとアクティブの比率が逆転し、プロもパッシブに従属させられている」という構図は、 方向性としてかなり現実に近い。

  1. AI投資競争とOpenAI / Stargate ― 数字を整理する

ここがあなたが特に気にしている部分です。

4-1. 実際に起きていること(構造) • Stargate LLC は、OpenAI・SoftBankOracle・MGXなどによる最大5,000億ドル規模のAIインフラ投資ベンチャー。 • 2029年までに5,000億ドルを投じる計画で、最初の1000億ドル程度を即時投下する構想。  • OpenAI自身は、最大400億ドルの資金調達(SoftBank主導、評価額3,000億ドル)、その後のセカンダリ取引で評価額5,000億ドルに到達。  • Nvidiaは、最大1,000億ドルの投資とデータセンター向けチップ供給で関与。 

つまり: • 5,000億ドルは「国家級インフラ計画の総投資枠」であって、OpenAI単体の借金ではない。 • OpenAI本体の資金調達は、今のところ数十億〜数百億ドル規模。 • 大部分のCAPEXは、Oracle / SoftBank / MGX / Nvidia / 公的支援などが分担する。

noteはここをやや「OpenAIのレバレッジ」として一体化して描いており、 数字の桁感は近いものの、負債の“誰が負うのか”という構造がぼやけています。

4-2. 「AI CAPEXがEPSを溶かす」という主張の危うさ

ここが、あなたの世界観と強くぶつかるポイントです。 • CAPEXは、損益計算書の「投資」ではなく貸借対照表の「資産」になる。 • もちろん減価償却金利負担はEPSを圧迫するが、 • 同時にレベニュー(売上)とプライシングパワーがついてくれば、EPSはむしろ増える。 • 既に観測されている数字を見ると、 • Alphabet Q3 2025:売上高1,023億ドル、純利益350億ドル、純利益率≒34%。  • Google Cloudも営業利益35.6億ドル、営業利益率23.7%で過去最高水準。 • Microsoft:インテリジェントクラウド部門は2桁成長+高マージンを維持。  • AWS:売上・営業利益とも2桁成長、営業利益率30%超えという報道。  • Nvidia:データセンター売上は前年同期比で数十%成長、営業利益率も非常に高い。 

→ つまり 「AI CAPEXが始まってから数年経っても、ビッグテックのEPSはむしろ過去最高圏」 です。

note の「これからEPSが溶ける」という懸念は、 • 「CAPEXが売上成長を上回ってしまう」「価格競争で単価を下げざるを得ない」という前提を強く置いたシナリオであり、 • 現状の決算数字を見る限り、それが既に起きている事実ではない。

ここが、あなたらしい反駁の核心になります。

  1. Googleが終わる」は、決算を読む限りかなり無理筋

ニュース的な事実だけを冷静に並べます。

5-1. Alphabet(Google)の直近決算 • Q3 2025 • 売上高:1,023億ドル(前年同期比+16%) • 純利益:350億ドル前後(約+33%) • 純利益率:約34% と、S&P500平均13%の約2.5倍。  • Google Cloud:売上成長+営業利益23%台と、AIインフラの中心でちゃんと儲かっている。

これで「OpenAIに殺される側」と断じるのは、さすがに決算数字と合いません。

5-2. 他のプレーヤーも、「ちゃんと儲かっている」 • Microsoft • Azureを含むクラウド部門は2桁成長+高い営業利益率を維持。  • Amazon / AWSAWSは売上・営業利益とも2桁成長、営業利益率30%超と報じられている。  • Nvidia • データセンター売上が爆発的に増え、粗利益率・営業利益率とも歴史的高水準。  • Visa • 2024年度:純利益率50%前後という超高収益体質を維持しながら、売上・利益ともに2桁成長。 

あなたの言葉で言えば、

「AIとデジタル化の中枢にいる企業は、実際にEPSを伸ばしながらCAPEXを飲み込んでいる」

というのが現状です。

  1. 「S&P500以外」にも利益の山は普通にある

note の世界観は、やや「S&P500 vs 日本の個人投資家」という絵に寄りすぎています。

あなたの視点からは、もっとレイヤーを分けて見るべきです。

6-1. 日本株TOPIX企業の利益は普通に伸びている • 大和AMのレポートによると、 • TOPIX構成の3月決算企業の7–9月期経常利益は前年同期比+29%、純利益+32%。 • ソフトバンクGを除いても+21%、+24%。  • 通期会社計画の上方修正企業も多く、25年度・26年度のEPSコンセンサスは上方修正中。 

→ 「米国S&PだけがEPS成長している」というのは、すでに事実ではありません。 日本企業も、構造改革と円安を背景に、かなりしっかり利益を伸ばしている。

6-2. 半導体サプライチェーンNvidiaだけでなく、TSMCSamsung・SK hynix・ASMLなど “LLMを支える半導体の川上〜装置メーカー” は、欧州・台湾・韓国などに分散しています。  • これらの多くはS&P500ではなく、台湾・オランダ・韓国などの指数構成銘柄。

6-3. 決済ネットワーク・取引インフラ • Visa / Mastercard / Adyen / PayPal / Stripe(未上場)など、 「世界の決済配管」を握る企業群 も、LLMとは別次元で高ROE・高利益率を維持。 

あなたの投資観(「構造で見る・数字で確かめる」)からすると、

「世界の成長エンジンはS&P500だけでなく、 • 半導体サプライチェーン • グローバル決済ネットワーク • 日本の製造業+ガバナンス改革 にも普通に広がっている」

という認識の方が、現実に近いはずです。

  1. あなたの世界観で、note 全体を再構成するとこうなる

ここからが本題の「反駁」です。 単に否定するのではなく、あなたの見方で筋道を引き直します。

7-1. レイヤー1:「事実としての構造」 1. 米国株の時価総額シェア ≫ 米国のGDPシェア • これは事実であり、「世界の期待が米国の無形資産・テクノロジーに乗っている」状態。 2. S&P500の利益率は歴史的高水準(純利益率13%超)  • これは、Mag7を中心とする高収益ビジネスの集積体になった結果。 3. Mag7の指数ウェイトは35〜37%で、明らかに集中している  4. パッシブ比率は高まり、価格発見機能は弱っているが「完全に死んだ」わけではない • 493社のEPSも11〜14%成長しており、企業の選別は続いている。 

→ このレベルまでは、note とあなたはかなり合意している。

7-2. レイヤー2:「AI投資がEPSを壊す」という仮説への反論

note 側の仮説は:

Stargate級のAI投資は、ビッグテックのEPSを溶かし、 それに依存してきたS&P500神話を崩壊させる」

ですが、あなたの視点からはこう整理できます。 1. CAPEXだけ見ても意味がない • 重要なのは、投資額 −(価格と数量が生む追加キャッシュフロー) のバランス。 • 実際に、Alphabet / Microsoft / AWS / Nvidia はCAPEX拡大後も利益を過去最高水準に乗せている。  2. Stargateの5,000億ドルは「国家級インフラ枠」であって、1社の損益ではない • 負担はOpenAIだけでなく、OracleSoftBank・MGX・Nvidia・エネルギー会社・自治体などに広く分散している。  3. AIインフラは、一種の“新しい公共投資”でもある • 送電網や鉄道・高速道路と同じで、最初はリターンが見えにくい。 • しかし、その上のアプリケーション・生産性向上・新ビジネスで利益が回収される構造。 4. LLM自体の成長性に強気なら、「インフラとプラットフォームは長期的な利益源」 • あなたの前提は「LLMは人類の生産関数そのものを変える」であり、 • その視点から見ると、AIインフラ投資は長期EPSの源泉であって、「EPSを溶かすだけのコスト」とは見なせない。

→ したがって、 「AI投資競争=S&P500神話の終わり」という結論は、あなたの世界観とは両立しない。

7-3. レイヤー3:「インデックス投資バブル」という物語への距離感

note が強く打ち出しているのは、

「みんながS&P500を買うからS&P500が上がる」 「神話が共認された結果としてのPER23倍」

という、フロー起点の物語です。

あなたの立場からは、次のように整えるのが自然です。 1. フローは確かに相場を押し上げるが、長期リターンは結局“利益”に収束する • S&P500の過去15年のリターン加速は、前半はEPS成長、後半はマルチプル拡大。 • しかし、現時点での利益率13.1%という「実際の利益」が支える部分も大きい。  2. 「フローだけで上がっている」という言い方は、利益成長を軽視し過ぎ • Alphabet、Nvidia、Visa、日本企業の利益成長率を見ると、 “ちゃんと稼いでいる企業”に資本が集中している側面も強い。 3. 本当に危険なのは、「S&P500一択」という思考停止であって、インデックスそのものではない • あなたのポートフォリオ設計は、 • S&P500 • NASDAQ100(AIプラットフォーム) • JPX400(日本の実体経済・ガバナンス改革) • 新興国株(人口・インフラ) などを構造別に並べる「コア&サテライト」。 • 「どのインデックスも万能ではない」が、 だからといって「インデックス=悪」でもない。

  1. 最後のまとめ:あなたらしい結論

ここまでを、あなたの世界観で一度文章としてまとめると、こんな感じになると思います。

1.  米国株は、確かに世界の実体経済から見て“厚い”評価を受けている。

 株式時価総額の60〜70%を占めながら、GDPシェアは26%前後に過ぎない。  S&P500のPERは22〜23倍で、歴史的に見ても割高圏だ。 2. しかし、その背景にはMag7を中心とする“利益の集中”がある。  S&P500全体の純利益率は13%を超え、過去15年で最高水準だ。  AI前夜の幻想ではなく、実際に稼いだ利益の塊として今日の指数がある。 3. インデックスとパッシブフローは、市場構造を確かに歪めている。  フローだけを見て売買する投資家が増え、価格発見機能は弱まった。  ただし「S&P493」のEPSも2桁成長しており、企業の選別そのものが完全に死んだわけではない。 4. AI投資競争、とくにOpenAI / Stargateは、規模としては歴史級のプロジェクトだ。  5,000億ドルの投資枠、Nvidiaによる最大1,000億ドルのコミットメント。  だが、それはOpenAIの損益に丸乗りしているわけではなく、  OracleSoftBank・MGX・米国政府・電力会社など、広く分散された国家級インフラ投資だ。 5. いま観測できる決算数字は、「AI CAPEXがEPSを溶かしている」というストーリーを裏付けていない。  Google Cloudは過去最高の営業利益率を出し、Nvidiaは歴史的な利益水準を維持し、  AWSMicrosoftもAIサービスを抱えながら高収益のままだ。 6. S&P500神話に本当に欠けているのは、「世界はS&Pで全部表現される」という思い込みへの疑いだ。  半導体サプライチェーン、日本企業の利益モメンタム、新興国のインフラ需要、  そしてVisaのような決済ネットワーク。  それらはS&Pの外にも内にもまたがって存在している。 7. 私は、LLMとAIインフラの成長に強気だ。  それは、いま起きているCAPEXが“EPSを破壊するだけのコスト”ではなく、  10〜20年スパンの生産性と利益の源泉になるという前提を置いている、ということだ。 8. だからこそ、私が疑うべきなのは  「S&P500を積み立てておけばそれでいい」という安易な神話であって、  「株式の長期リターンは最終的に利益成長に収束する」という原則そのものではない。 9. 私は、世界の利益構造をレイヤーで分解する。  AIプラットフォーム、半導体インフラ、決済ネットワーク、日本の実体経済新興国の人口ボーナス。  このレイヤーごとに、S&P500・NASDAQ100・JPX400・新興国ETFなどを組み合わせる。  それが、「S&P神話」を超えた、私なりの10年ポートフォリオ設計だ。




以上の内容はhttps://kafkafinancialgroup.hatenablog.com/entry/2025/12/01/030820より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14