以下では、「金先物のロールオーバーコスト」とは何かを説明し、2025年9月16日時点での具体的なロールオーバーコストを計算します。計算に用いる限月は、大阪取引所で取引されている金先物ではなく、流動性が高いCOMEX(ニューヨーク先物取引所)の12月限(Dec 2025)から翌1月限(Jan 2026)への乗り換えを例にしています。調査時点は2025年9月17日(日本時間)です。
ロールオーバーコストとは
- 先物価格は満期(限月)までの残存期間が長いほど一般的に高くなる傾向があり(コンタンゴ)、逆に短いほど高い状態をバックワーデーションという。
- 先物型ETNやETFは、決済期限が来る前に期近の先物を決済し、次の限月の先物を新規に建てる(ロールオーバー)ことでポジションを維持する。
- ロールオーバー時に期近の価格と期先の価格に差があれば、その差額分がコスト(あるいは利益)となる。このコストは対象指標に組み込まれるため、長期保有すると基準価額が減価する要因となる。
計算例(2025年9月16日終値)
調査時点でのCOMEX金先物の主要限月価格は、米ドル/トロイオンスでおおむね次のとおりでした(TradingChartsより確認、約定値は遅延10分程度):
| 限月 | 清算価格 (USD/oz) | 説明 |
|---|---|---|
| 2025年12月限 (Dec 25) | 約 3,704.62 | 最も取引が活発な限月(期近) |
| 2026年1月限 (Jan 26) | 約 3,717.82 | 次限月(期先) |
ロールオーバーは、期近の12月限を売却し、期先の1月限を買付ける取引で行われます。 このときの差額は下記のように計算できます。
- コスト(ドル) – 期先契約の価格から期近契約の価格を引く: 3,717.82 − 3,704.62 = 13.20 ドル/oz
- コスト率(%) – コストを期近契約価格で割る: 13.20 ÷ 3,704.62 ≈ 0.36%
したがって、長期ポジションを維持している投資家は12月限から1月限に乗り換える際に 約13ドル(約0.36%) のロールオーバーコストを負担します。反対に、ショートポジションの投資家は同額のロール益を得ます。
Monetary Metalsが公開している「Gold Roll Costs」の3年チャートでも、期近から期先へ乗り換える際の損益(1契約あたり)が概ね –15〜–17ドルの範囲で推移していることが確認でき、今回の計算結果(約–13ドル)と近い水準にある。
年間コストの目安
金先物は通常2カ月ごとに主要限月が存在するため、1年間で5〜6回のロールオーバーが必要です。上記の例のように1回あたりのロールコストが約0.36%だと仮定すると、年間ではおよそ 2.0〜3.0%程度 のマイナス要因となります。実際のロールコストは金利環境・保管コスト・需給状況により変動し、コンタンゴが強い局面ではコストが大きくなり、バックワーデーションになるとプラスの寄与になる場合もあります。
まとめ
- ロールオーバーコストは、期近先物を決済し期先先物を新規に建てるときに生じる価格差のことであり、コンタンゴ状態で長期保有すると指数の減価要因になる。
- 2025年9月16日現在、COMEX金先物の12月限と翌1月限の価格差は約13.20ドル/ozで、期近価格に対して約0.36%のロールオーバーコストとなる。
- 年間換算すると数%のコストに相当するため、金先物やそれを参照するETN/ETFに投資する際は、ロールオーバーによるコストも考慮する必要がある。
上記は直近の具体例に基づく計算です。別の期間や限月で計算したい場合は期間を指定していただければ再計算します。