◇ねこ森町の伝説◇
満月の十五夜には不思議なことが起こります。
まるいお月さまが空のてっぺんに昇ったならば、
どんぶら川のそばにあるススキ野原に行ってごらんなさい。
水の上できらきら跳ねる月の光がまるい玉になって、
いくつもススキ野原に転がってきます。
大きな玉。小さな玉。
月の玉はころころ転がって、ススキの中に隠れます。
地面にもぐってしまう前に集めましょう。
たくさん収穫できた年は、みんな幸せになるでしょう。
★参照 ➽ 【ねこ森町】十五夜さんと月の玉
・・・・・
今年の中秋の名月は満月ではありません。
月の玉が降ってくる可能性はとても低い。
けれど、ねこ森町の王様は気づいてしまったのです。
ピコポコピーン☆

そして、中秋の名月の日。
少し欠けた月が地平線から姿を現すころ。
「みなさ~ん、手袋はいきわたりましたか」
ねこ森町、どんぶら川のほとりに小次郎くんの声が響きます。
阪急さんのビニールで作った手袋を手に手に、
猫たちが振り返りました。
小次郎くんは集まった猫たちに王様の言葉を伝えます。
「ご存じの通り、今年の名月はまんまるではありません」
みんな野生の勘で知っています。満月は明日なのです。
今年は月の玉がたくさん降る年ではありません。
そこで、王様であるOさまはひらめきました。
「月の玉が降らないなら、自分たちで作ればよいのです」
ざわざわざわ。
猫たちはこそこそひそひそ、ささやき合いました。
えー、どういうことー。
そんなこと、できるのー。
ざわざわざわ。
「静粛に!」
みんなの視線が自分に向いたのを確認すると、小次郎くんは胸を張りました。
もちろん本物の月の玉を作ることはできません。
しかし月の粉さえ手に入れば、よく似たものが作れるのです。
月の光を粉にしたものを、清らかな水で練り練りこねこね。
まるいお団子の形にまるめて、冷たい水にさらすとあら不思議。
月の玉そっくり、月団子のできあがりです。
えー、月の粉ですってー。
そんなの、どこにあるのー。
ざわざわざわ。
実はすでにOさまが手配済み。
猫たちよ、見て驚け。語り伝えよ。
「さあ、お空を見るのです!」
しゃんしゃんしゃん……。
夜空の奥から鈴の音が聞こえてきます。
くりすます?
猫たちのはてな顔がびっくり顔に変わります。

月の方から、ソリがやってきました。
大きな荷物を載せています。
ソリを引くのはトナカイではなく、ヴォルパーティンガー。
角と羽としっぽの生えた幻獣ですが、本体はうさぎ。
月のうさぎとは交流があるのです。
しかしヴォルパー、いつの間にこんなに増えたのでしょう。
しゃんしゃんしゃん。

「でわでわ、みなさん」
Oさまが大きな袋に手をかけてにっこり笑いました。
「この粉でお団子を作るのです」
袋の中には月の粉がどっさり。
ふんわりさらさら。ほのかに光っています。
鼻を近づければ、ほわんと幸せな香り。
おずおずと、年寄り猫がたずねました。
「あのう、この粉はだいじょうぶですか」
月からの直輸入、成分不明の謎の粉。
各方面的にどうなのでしょう。
心配そうな猫たちに、Oさまは堂々と宣言しました。
「完全無欠の合法です」
そのへんの抜かりはありません。
しかるべき機関から許可はとってあるのです。
安心安全、月うさぎ製粉『月の粉』。
月がゆっくりと昇ってゆきます。
どんぶら川に向かってずらりと並んだ猫たちが、
お団子作りを始めます。
ねこねここねこね、とんとことん。
こねこもこねこね、てんつくてん。
自分の毛が入らないよう気をつけて。
異物混入、ダメ、絶対。
おいしいお団子ができたなら、
まずはお月様にお供えしてお礼をします。
それからみんなで食べましょう。
名月を眺めて団子の宴かな
残ったお団子は人間へのお土産にしましょうか。
もしもお家のテーブルに小さなお団子があったらば。
猫たちからのプレゼントかもしれません。
*****
^・ω・^ お月見楽しみ。

^・△・^ ペソも行くー。

^・_・^ サバに鼻水をつけないで。

^・ω・^ ホウ酸団子と間違えないでね。

