- 0.はじめに
- 1.仕事のこと
- 2.体力が続かない
- 3.離れてみてわかったこと
- 4.仕事で何を目指すのか
- 5.競プロで何を目指すのか
- 6.そしてまた日常が始まる
- 7.終わりに
- 8.おまけ(その後のこと)
0.はじめに
昨年の2023年2月1日にAtCoder株式会社に入社しました。おとぎ話にたとえるならば、「めでたしめでたし」と全てが円満に終わって、その後は読者の想像にまかせることになるのだと思います。しかし、それがスタートであるというのは、ある程度の人生経験があればきっとわかるのではないかと思います。
前だけを見て走り続けた1年でした。
1年経ってやっと少しだけ周りの景色を見る余裕ができました。このまま後14年、定年までこの速度で走り続けられるのだろうか。そう思ったとき、私の足は前へ進まなくなってしまいました。そして立ち止まった私は、この1年間、四六時中AtCoderのことを考えていたのをやめてみようと思ったのでした。それがゴールデンウイークの10連休の始まりでした。
1.仕事のこと
1年間AtCoderでどんな仕事をしていたのかを書いてみようかと思います。どれも周りの方の協力なしにはできあがらなかったものばかりです。しかしその一方で、自分がいなければスタート、もしくは完成しなかったものなのではないかと思っています。
- AHCラジオ
- AtCoder始め方動画
- AtCoderPV
- あーだこーだー11周年記念 企業対抗TeamBattle
- AtCoder Junior League
- AtCoder Daily Training
- Python入門 AtCoder Programming Guide for beginners (APG4bPython)
忙しかったけれども楽しかったから何の問題もなかった。
…はずでした。
2.体力が続かない
一番の問題は、体力が持たないことでした。
原因で思い当たるものはいくつかあります。一番端的なものを言えば、睡眠不足です。これまでは朝や夜の自由時間に趣味の競プロに時間を費やしていました。ところが眠いので、朝は2度寝をするようになりました。夜も帰宅時間が遅い日には疲れてしまって寝支度をすると眠ってしまいます。
自由時間が減って、以前よりも競プロにかけられる時間が減りました。精進をしなければ競プロの成長は見込めません。また、仕事をする上でも競プロは密接につながっていて、やらないことは考えられません。好きな競プロが何となく重いなと感じ始めていました。競プロが好きだからAtCoderに入社したのに、もしかすると競プロが好きではなくなってしまったのかもしれない。
漠然とした不安が自分の中でふくらみ始めていました。
3.離れてみてわかったこと
AtCoderはずっと動き続けているサービスなので、昼夜を問わず多くの人が使っていて、いろいろなトラブルが起きます。また、それぞれの役割に応じて、一般的な勤務時間以外に仕事をしている人もいます。
私自身、Xを見ていても、困っている人や不具合を見つけた人を見れば気になって社内に報告したり、自分に関係があれば自分自身が対応をするといったことをしていました。
しかし、最近は尽きることのない要望に、自分が疲れてきているのを感じていました。自分のできることの少なさに対するむなしさ、とでも言えばよいのでしょうか。これ以上精神が疲弊する前に、今の状況をリセットをしたいと思いました。
仕事から離れるために、ゴールデンウィークの10連休の間、会社のSlackとXを見ないようにすることにしました。旅行中は家族との時間を大切にすることにして、ABCに出るのをやめようと思いました。
最初は会社のSlackが気になってしょうがありませんでした。依存だなと思いました。AtCoderを大切に思う気持ちと依存する気持ちを切り離したいと思いました。
通知を切って、朝や夜の空いた時間に確認するだけにしようと心がけました。次第にSlackが気にならないようになりました。疲労も少しずつ回復しているようでした。いつのまにか常に張り詰めた状態で仕事に意識が向いていたのかもしれません。
久しぶりにマンガを読みました(コミックスにすると50冊分くらい)。家族で団欒をしました。
自分の時間ができて、競プロの復習をしました。競プロに対して重くなっていた気持ちが少しずつ軽くなっているのを感じました。
やっぱり問題を解くのは楽しいな、と。
4.仕事で何を目指すのか
AtCoderでの仕事は無尽蔵にあります。自分がやろうと思えばいくらでも。
私がこれまでやってきたことのいくつかは、傍から見れば完成度の低いものがあると思います。それでも自分の中で大事にしている基準があります。
それは次の2つです。
- ずっと続けることができるものを作り出すということ。
- 無いよりある方が良いものを世に送り出すということ。
自分より有能で、自分より良いものを作り出すことができる人*1がいるとわかっている状態で新しいことを始めることには、正直なところストレスを感じています*2。それでもやるのには理由があります。
お金をかけたり、外注をすれば、もっと良いものになるかもしれません*3。しかしその分時間がかかったり、お金もかかります。途中で新たなアイデアが出たとしても取り入れることが難しくなります。私がいるだけでできあがる何かであれば、私がいる間はより良いものになるように改善しながらそれを続けることができます。仕様が固まれば、ボタンを押すだけで継続できるようにすることもできます。
AtCoderがこれからも無料でコンテストを開き続けられること、ユーザの満足度を上げること、それが入社してから今も私が抱き続けている目標です。
5.競プロで何を目指すのか
競プロの問題を解くのは楽しいです。でも、もっと上を目指したくなってしまいました。ABCで「もっといろいろな問題を解けるようになりたい」、「もっと短い時間で解けるようになりたい」、そう思っています。
- 自分はまだ成長できるのか
自分自身にずっと問い続けています。
もう無理な気がする。目も見えなくなってきたし、記憶力も衰えてきた気がする。理解力もさらに鈍くなった気がする。
疲れているときに心の中に膨らんでくるマイナスな気持ちをどこかで吹っ切らないといけないと思いつつも、思い悩む日が続いていました。
ゴールデンウィークに休むことで心に少し余裕ができ、やっぱり競プロが好きだと思う自分がいました。だからまた、こつこつと問題を解き続けたいと思います。
6.そしてまた日常が始まる
長かったゴールデンウィークも今日で終わりです(これを書いているのは2024年5月6日です)。悩みが消えたわけたわけではありませんが、それでも再び前へ進もうという気持ちになりました。これから先は、走るというよりはしっかりと地に足をつけて、一歩ずつ前に進んでいきたいと思います。
7.終わりに
また明日からは仕事と競プロの両立に励む私がいることでしょう。何も変わらなかったなあと思いつつ、それでも時々こんな風に立ち止まることは必要な気がしました。
2年目に入っても私の競プロへの気持ちもAtCoderに対する気持ちも何も変わらないことに感謝しています。
そして、AtCoderの社員になれてよかったと思います。
8.おまけ(その後のこと)
7まで書いて、公開しようかどうか、約一か月の間悩んでいました。ほめてもらいたいだけなのではないだろうか。暗い話すぎるのではないだろうか。まだ結論の出ない話を公開する意味があるのだろうか。
それでも、同じように悩んでいる人がいるかもしれない。うまくいかない話ほど人は読みたいのかもしれない、と思うようになってきました。
公開しようと気持ちが変わったのは、メンタルが完全に戻っていない状態で不安に思いながら参加したAHC033が、とても楽しかったからです。好きだという気持ちが確かにそこにありました。また、Xのスペースで久しぶりに競プロerの方たちと交流して、いつまでもこの場所にいたいなあと思いました。
自分のできることは限られているけれど、それでも、続けることに価値がある、今もまだそう思い続けています。
3年前に書いたものです。
去年入社したときの話です。