「猪目」の一般的な意味
『ばけばけ』冒頭で出てきた松野家の兜にあった、逆さのハート型、「猪目(いのめ)」。この形の一般的、史実的な意味と、ドラマ内で託されてる隠れた意味を考察してみようと思います。
まず、「猪目」の由来ですが、ググった結果出てきた上位の結果では、猪の「目」に由来するとしているものばかりでした。
ですが、個人的には猪の「鼻」の形に由来するんじゃないかという気がするんですが……。
猪の画像色々。↓
まあ、ここでは権威に従って猪の目ということにしておきましょう。
さて、この猪目ですが、火除けの意味があるようです。
↑の記事では、猪は陰陽五行では、水性のものとされるから、だそうです。
一番上の長谷寺の記事では、招福、災難よけの意味もあるようです。
合印(あいじるし)としての猪目
さて、日本では合戦の時、個々人の武装が個性的なので、敵味方の区別がつけづらく、これを解消するため、家紋よりも簡単な形を軍装の中に取り入れました。これを「合印(あいじるし)」と言います。高位の武士では兜の飾りにしたり、足軽などは、陣笠などに描いたりしたようです。
↓オークションに出てきた松江藩の陣笠。
略式の印とはいえ、命のかかった戦さで使う物ですから、縁起のよいものが選ばれたのでしょうね。
↓の記事では、加賀藩も猪目を合印にしていたことが書かれています。(主なテーマは彦根藩についてですが。)
幕末になって、軍装は洋式に変わっていきますが、そこでも合印は使われ、松江藩は袖に猪目を入れたようです。
その軍服姿の小泉湊氏(ドラマ中の雨清水傳のモデル)の写真が残ってます。
小泉せつの実父、八代目弥右衛門の湊とチエ。松江藩での番頭は家老中老に次ぐ重責で有った。文久元年と安政二年の給帳に小泉弥右衛門の名も見える。父・湊と祖父・真種であろうか。
— SAMURAI-GUN (@balanceofpower8) 2025年9月23日
湊の幕末期の軍装は西洋式になっており、ガンベルトと軍扇が時代を感じさせ、袖には松江藩の合印・猪目が見える。 pic.twitter.com/PerF6sbiu0
参考文献
— SAMURAI-GUN (@balanceofpower8) 2025年9月23日
歴史図書社:雲藩職制
恒文社:文学アルバム小泉八雲
松江市資料調査課:松江藩松平家の給帳
写真が載ってるのはこの本でしょうか↓。
現代の目から見ると、ハート型を連想してしまいますが、当時の人は、猪のように引かない覚悟を、この形に見ていたのかもしれません。
ドラマ中での猪目に託されたものを考察する
そうは言っても、猪目を「逆さになったハート」として見てしまう現代人の感覚もあることはあるわけで、ひょっとしたら制作側は、そこも考えて、一話目にこの猪目を出したのかも、とも私は考えてしまうわけです。
「ハートの逆」。ハートは愛情の意味がありますから、それの逆、失恋とかね。
でも失恋はハートの破れた形「💔」で示されることもありますが。
あとは個人的な考えですが、「愛情が裏目に出ること」を意味しているのではないかと私は思うのです。
松野家が破産したきっかけの事業に、司之介さんが乗り出したのは、先生になりたいというトキちゃんの願いに応えるためでした。
雨清水家の傳さんも、お姫様育ちのタエさんを守りたいという気持ちも強かったでしょう。けれどそれは「結果として」タエさんと息子の三之丞くんを時代の流れから取り残させ続け、傳さんの死後、二人を松野家よりひどい窮状に追い込むことになってしまいます。
でもその時の決断として、それが間違いだったかと言われればそれは難しいわけで……。
相手のためを思う愛情からの行動でも、間違うことはある、それでも愛情だったことに変わりはない、というようなことがテーマとしてあるのかな? と、私は考えてます。
猪突猛進、の意味の方が強いのかもしれませんが(汗)
では。
『ばけばけ』ガイドブック2巻、1月29日発売予定だそうです。↓(表紙が出たのでリンク貼り直しました。)
第1巻↓
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