先日紹介した、NHKの「思春期のあなたと オランダのジェンダークリニック」を見ました。
NHKオンデマンドで見られます。
2025年4月4日まで見られます。
多様な性自認を持つスタッフによるクリニック
生まれた時の性別とは、違う性だと精神が感じる、「性別違和」。それを訴える人を診断する、オランダのジェンダークリニックのドキュメントです。
番組中では、よくわからなかったのですが、このクリニックは思春期~二十代前半ぐらいまでの人を専門に見るところだったのかな? オランダに他にも同様のクリニックがあるのか、ここだけなのかはよくわからない感じでした。
カウンセリングで当人の身体と違う性自認が持続的なものか見定めて、体を精神の性に近づける処置(ホルモン投与など)をする病院につなぐか判断するのが役目のようでした。
中心になるのはシスジェンダー(生まれた時の性別と精神の性別が同じ人)で異性愛者の心理学者の男性。心理学者で、スタッフのリーダー格っぽい。
スタッフは他にもいて、同じくシスジェンダーであるけれども、同性愛者の人とか、トランスジェンダー(生まれた時の性別と精神の性別が違う人)、一度性別適合手術を受けたけれど、ノンバイナリー*1だと自認する人など、様々な人がチームになって、一人一人の患者(というべきなのかどうか)を見ていきます。
思春期外来と、ジェンダーの問題とが重なる人を診るところなので、苦労は相当なものなのだと思います。
望んだ性になることの代償や、その他の問題
トランスジェンダーの未成年者が、その解決として、体の方を精神に合わせる「二次性徴抑制療法」を受けるかどうかというのは、「将来、子供を持つかどうか」という選択を10代のうちにしなければならないという、重い決断が絡みます。
二次性徴を抑制するということは、生殖能力は失わざるを得ないんですよね。だからこそ慎重な判断が必要になってきます。
その一方で、生まれたままの身体の性でいることが耐えられない、そのことで精神が自殺の手前まで追いつめられる子の例も出てきました。(直接本人は出てきてないと思いますが、会議のシーンで話し合う箇所がありました。)
また、その精神が、性別違和以外に問題ないという人ばかりではなく、知的にやや障害があるという子の例もありました。これもまた難しい、というか私は想定してませんでした。
そして、性別違和の問題とかに関わらず、どんなクリニックや、施設にもついて回るであろうお金の問題(予算が苦しいこと)などを書いていました。
個人的に気になった点
個人的に日本人として気になったのが、「三人称代名詞(彼、とか彼女など)をどう読んで欲しいかはっきりさせるかどうか」というのを、チームの議題として話し合うところ。これはヨーロッパ系言語(と言えるほど語学を知りませんが)特有の問題だなと。
日本語だと、その場にいない人物を示すのに「あの人」とか、「○○さん」で割と解決する問題だという気が私にはするのですが*2。
こうした、文化的に男女をはっきりさせる必要のあるところと、日本のように、にごすというか、そこまで厳密に区別をしない文化とで、ジェンダー問題に違いが出るのかな? と思いました。
あとは、精神の性に身体を合わせる結論を出す例が多いのがちょっと気になりました。中にはカウンセリングしているうちに、やっぱり身体の性別でいい、と結論付ける子(思春期ならなおさら)もいるんじゃないかと思いました。
しかし、もうクリニックは予約を入れるのにかなり先になってしまう、という苦しい状態であることがチラッと映っているので、本当に「身体が『異性である』ことがイヤだ」という子しか来ないのかなとも思いました。(尺の都合*3で切られたのか、本当に、身体の性でいいと思える子が、まれにしかいないのか、気になります。)
あと、性別移行には、スポーツ参加の問題も絡むと思うんですけど、やっぱり尺としてはそこまで扱えなかったのかな、という印象です。
「病理検査のようなもので結論は出せず、カウンセリングを繰り返して見定めるしかない」というような言葉が作中に出てきましたが、そのことの困難についての、家族を含めた当事者と、カウンセラーたちの苦悩に焦点を当ててまとめてありました。
最後に、私自身は性別違和ではありませんが、家族の方の都合で、福祉や医療に最近お世話になることが増えました。番組中、いろいろと制約がある中、手を尽くそうとするスタッフさんたちの会議を見ながら、私たちのケアをしてくれてる方々もこうなのかなと、頭の下がる思いを持ちました。
では。
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*1:男性、女性どちらでもないという自認の人。ソース
ノンバイナリーとは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
*2:私はあまり社会経験がないので、違うかもしれません
*3:49分