
たぶん意味分からない人が多いと思うので解説。
結論から言うと、この技術は「計算そのもの」ではなく、「データの移動(お使い)」にかかっていた無駄なエネルギーを極限までカットしました。
イメージしやすいように、「料理人」と「冷蔵庫」の関係で例えてみます。
1. 今までのコンピュータ(=要領の悪い料理人)
現在のコンピュータ(CPUやGPU)は、実はものすごく「要領の悪い働き方」をしています。
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料理人(CPU):計算をする人。包丁さばきは超一流。
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冷蔵庫(メモリ):データが入っている場所。少し離れたところにある。
今までのやり方では、料理人(CPU)は、「玉ねぎを1個切る」ために、毎回離れた冷蔵庫まで走って玉ねぎを取りに行き、切ったらまた走って冷蔵庫に戻す、という作業を繰り返しています。 実は、コンピュータが使っている電気の90%以上は、この「冷蔵庫への往復(データの移動)」に使われていて、実際に料理(計算)をしている時間はごくわずかだと言われています
いくら料理人の腕(計算能力)を上げても、往復に時間がかかっている限り、全体のスピードも燃費も良くなりません。これがこれまでの限界でした。
2. 新しい技術(=ベルトコンベア式の調理台)
今回話題になっている技術(Flow ComputingやEdgeCortixなど)は、この「往復」をなくすための工夫です。
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冷蔵庫に行くのをやめる: 料理人の手元に、食材が次々と流れてくる「ベルトコンベア」を作りました。料理人は一歩も動かず、目の前に来た食材をただ「切る」ことだけに集中します。
3. なぜ「150倍」もの差が出るのか?
ここで重要なのが、「移動」は「作業」よりも圧倒的にエネルギーを使うという事実です。
コンピュータの世界では、「データを計算する(切る)」エネルギーに比べて、「データを遠くから運んでくる(走って取りに行く)」エネルギーは、数百倍も大きいことが知られています。
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これまで:エネルギーの99を「移動」に使い、1を「計算」に使っていた(合計100)。
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これから:移動がほぼゼロになるので、エネルギーの1だけで同じ仕事ができる。
これまで「99」も浪費していた「移動の無駄」がなくなれば、同じ電気の量で100倍、あるいはそれ以上の仕事ができるようになります。これが「電力効率が150倍になる」という魔法のようなカラクリです。
つまり、新しい半導体は「ものすごく計算が速い天才」を作ったのではなく、「天才に雑用(移動)をさせない完璧な環境」を作った、と考えると分かりやすいかと思います。