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経済安全保障の死角と現場の矜持:Lenovo傘下におけるNEC・富士通PCの構造的リスクとDBJの責任に関する包括的調査報告書

https://www.dbj.jp/topics/dbj_news/2017/files/0000028798_file1.pdf

 

参考

bunshun.jp



1. 導入:日本のビジネスインフラを支える「信頼」の二重性

日本のオフィス風景を想起するとき、デスクの上に置かれているパソコン(PC)の多くは、NECの「LAVIE」や「VersaPro」、あるいは富士通(富士通クライアントコンピューティング:FCCL)の「FMV」や「LIFEBOOK」ではないでしょうか。長年にわたり、これら二つのブランドは、日本のビジネス、行政、教育の現場において「信頼性」と「使いやすさ」の象徴として君臨してきました。実際に、その堅牢な筐体設計、日本の高温多湿な環境を考慮した耐久性、そして日本語入力に最適化されたキーボードの打鍵感は、現場のエンジニアたちが注ぎ込んだ「ものづくり」への執念の結晶であり、他国のメーカーが容易に模倣できるものではありません。

しかし、現在これらの「日本ブランド」のPCは、資本構造上、世界最大のPCメーカーである中国Lenovo(レノボ)グループの支配下にあります。NECのPC事業は2011年に、富士通のPC事業は2018年に、それぞれLenovoとの合弁会社へと移行しました1。私たちは日常的に、ロゴこそ「NEC」「富士通」であっても、その実体が中国資本の巨大コングロマリットの一部である製品を利用し、そこに企業の機密情報や個人のプライバシー、時には国家の重要情報を入力しているのです。

本レポートは、島根富士通やNEC米沢事業場といった製造現場が維持する「世界最高水準の品質」と「現場の努力」を最大限に評価・称賛しつつも、中国の「国家情報法」が及ぼす潜在的なセキュリティリスクと、そのリスク構造の中に公的資金を投じ続ける日本政策投資銀行(DBJ)の姿勢について、経済安全保障の観点から徹底的な分析を行うものです。

「現場の善意」と「資本の論理」の間にある深い溝。そして、それを糊塗するかのような政府系金融機関の関与。この乖離こそが、現代の日本の経済安全保障における重大な死角となっている可能性があります。本稿では、入手可能な公開情報と調査資料に基づき、この複雑な構造を解き明かしていきます。

2. 資本の支配構造:Lenovoによる「日本制覇」の完了

まず、現状の資本構成とガバナンスの構造を正確に把握する必要があります。かつて「日の丸パソコン」と呼ばれた両社の事業は、現在どのようなバランスの上に成り立っているのでしょうか。

2.1 NECパーソナルコンピュータ(NECPC)の変遷

2011年、日本のPC市場に激震が走りました。NECがPC事業を分社化し、Lenovoとの合弁会社「NEC レノボ・ジャパングループ」を発足させたのです。当初の目的は、Lenovoのグローバルな調達力(バイイングパワー)と、NECの日本市場への深い理解および開発力を融合させることにありました2

項目 詳細
設立年 2011年(NECとLenovoの合弁開始)
主要株主 Lenovo Group (66.6%)、NEC (33.4%)
生産拠点 山形県米沢市(米沢事業場)
事業構造 Lenovoの持株会社傘下にNECPCとレノボ・ジャパンが並列

当初、NECは一定の株式を保有し続けましたが、財務強化を目的とした株式売却が進み、現在ではLenovoが議決権の過半数(66.6%)を握る支配株主となっています2。これにより、経営の意思決定権は実質的にLenovo側にあり、NECブランドは維持されているものの、そのガバナンスはグローバル企業の論理に組み込まれています。

2.2 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の再編

NECに続き、2018年には富士通もPC事業の構造改革を行いました。2016年に分社化された富士通クライアントコンピューティング(FCCL)に対し、2018年5月、Lenovoが51%を出資し、合弁会社化が完了しました1

項目 詳細
合弁開始 2018年5月
資本構成

Lenovo Group (51%)、富士通 (44%)、日本政策投資銀行 (5%) 1

譲渡価格

合計280億円(Lenovo負担: 255億円、DBJ負担: 25億円)4

生産拠点 島根県出雲市(島根富士通)
経営体制

社長は富士通出身者が継続(発足時:齋藤邦彰氏)4

ここで注目すべきは、Lenovoが過半数の51%を握りつつも、富士通本体が44%を残し、さらに政府系金融機関である日本政策投資銀行(DBJ)が5%を出資するという、NECとは異なる「三者構成」が取られた点です4。この5%の存在意義については後述しますが、形式上は「オールジャパンの関与」を残した形となっています。

2.3 共通化するサプライチェーンとODMの活用

資本の統合は、必然的にサプライチェーンの統合を招きます。Lenovoの最大の強みは、世界シェア1位の規模を生かした部品調達力です。NECや富士通のPCも、CPUやメモリ、液晶パネルといった主要部品の調達においてLenovoの購買網を利用することで、コスト競争力を維持しています5

しかし、これは同時に「製造・開発の外部化」も意味します。NECや富士通の一部モデル、特に低価格帯の製品については、Lenovoのグローバル生産体制(中国や台湾のODM:Original Design Manufacturer)との統合が進んでいます6。Compal(コンパル)などのODMメーカーで設計・製造された製品に、日本向けの設定や品質基準を適用して出荷するケースも増えており、かつての「純国産」とは異なるプロセスが含まれている事実を見逃してはなりません。

3. 現場の矜持:世界に誇る「Made in Japan」の砦

資本が中国に移ろうとも、日本の現場で働くエンジニアや工場作業員たちの「品質へのこだわり」はいささかも揺らいでいません。むしろ、グローバル競争の中で生き残るために、その技術力は研ぎ澄まされています。ここでは、島根富士通とNEC米沢事業場という二つの拠点における、驚異的な現場の努力を詳述します。

3.1 島根富士通:スマートファクトリーの到達点

島根県出雲市にある島根富士通は、FCCLのノートPC生産拠点であり、業界内でも「自動化と匠の技が融合したスマートファクトリー」として名高い存在です。

圧倒的な実装能力と自動化

島根富士通の強みは、プリント基板(マザーボード)の表面実装(SMT)から最終組み立て(アセンブリ)までを一貫して行っている点にあります4

  • 高速・高密度実装: 実装ラインは24時間体制で稼働し、年間最大37億点もの部品実装が可能です7

  • 混流生産: 1つのラインで複数の異なる機種を同時に流す「混流ライン」を実現しており、17本の組立ラインのうち6本がPCとタブレットの両方を生産可能です8

  • ロボット活用: 最終検査工程では、アームロボットとパラレルリンクロボットを活用し、基板分割や検査を完全自動化しています。また、垂直多関節ロボットが自ら治具を取り替えて基板の向きを変えるなど、柔軟な自動化が推進されています9

品質は工程で作り込む

「検査で不良を見つける」のではなく、「工程内で不良を出さない」という思想が徹底されています。プリント基板の実装プロセスごとに画像検査機(AOI)を設置し、部品の微細なズレやハンダの状態を全数検査することで、後工程への不具合流出を阻止しています7。これにより、島根富士通はPC累計生産数5000万台を視野に入れるほどの高品質な量産体制を維持しています10

3.2 NEC米沢事業場:トヨタ生産方式のIT的進化

山形県米沢市にあるNECパーソナルコンピュータの米沢事業場は、開発・生産・サポートが一体となった拠点であり、NECブランド(および一部のThinkPad)の品質の要です。

変種変量生産の極致

米沢事業場の最大の特徴は、法人顧客の多様なニーズに応えるBTO(受注生産)能力です。

  • 2万種類のカスタマイズ: 約2万通りもの構成の組み合わせに対し、最短3日(翌々日出荷)での納品を実現しています2

  • カンバン方式のデジタル化: トヨタ生産方式の「カンバン」にQRコード技術を組み合わせ、部品の在庫を極限まで圧縮しながらも欠品を出さない高度な管理システムを運用しています2

  • 一品一様の生産: 生産の約半分が「1台のみの仕様」であるにも関わらず、生産リードタイムを2日間に短縮しています11

ThinkPad品質への貢献

特筆すべきは、Lenovoのフラッグシップモデルである「ThinkPad X1」シリーズの一部生産や、「ThinkPad P1」の開発を米沢事業場が担当している点です11。これは、Lenovo本社が米沢の技術力と品質管理能力を高く評価し、自社の最高級ラインを任せている証拠です。日本の現場が持つ「軽量化ノウハウ」や「微細加工技術」は、中国の量産工場では代替できない価値を持っています。

3.3 国内BIOS開発という最後の防衛線

ハードウェアの製造だけでなく、PCのセキュリティの根幹であるBIOS(Basic Input/Output System)の開発においても、現場の抵抗と努力が見て取れます。

FCCLやNECPCは、BIOSの開発を可能な限り日本国内(川崎や米沢、大和研究所など)で継続することにこだわっています6。

BIOSはOSが起動する前にハードウェアを制御する最下層のプログラムであり、ここに脆弱性やバックドアがあれば、あらゆるセキュリティソフトが無効化されます。FCCLは、BIOSが攻撃を受けた際に検知し自己回復する機能を独自に実装するなど14、「親会社がどこであれ、中身の信頼性は日本側で担保する」という技術者たちの強烈な責任感が発揮されています。

4. 不可視のリスク:中国国家情報法と構造的脆弱性

現場がどれほど高品質な製品を作り、技術的なセキュリティ対策を講じても、一企業の努力だけでは解消できない国家レベルの構造的リスクが存在します。それが、中国の「国家情報法」と、親会社Lenovoに対する法的強制力です。

4.1 国家情報法:抗えない法的義務の正体

2017年6月に中国で施行された「国家情報法」は、中国企業および中国国民に対し、国の情報活動への協力を法的に義務付けました。

中国国家情報法 第7条

「いかなる組織及び個人も、法に基づき国家情報活動に支持、援助及び協力し、知り得た国家情報活動の秘密を守らなければならない。」

また、第10条では、国家情報工作機関が必要に応じて必要な方式、手段、ルートを用いて、国内および国外で情報活動を行うことを認めています。

Lenovoは香港に登記されたグローバル企業であり、表向きは「中国政府の影響を受けない」と主張するかもしれません。しかし、実質的な本社機能、主要な研究開発拠点、そしてサプライチェーンの中枢は中国本土(北京など)にあります。中国共産党の指導下にある中国の法体系において、「国家安全保障上の理由」を持ち出された場合、企業が当局の要請(データの提供、アクセス権の付与、特定の脆弱性の放置など)を法的に拒否する手段は存在しないに等しいというのが、各国の情報機関やセキュリティ専門家の共通認識です。

「レノボというメーカーをあなたは信用できますか?」

という問いではなく法律の壁があるので、

「中国共産党をあなたは心の底から信用していますか?」

という問いです。

おそらく下記の問題も、レノボというメーカーではなく、中国共産党が主導したものと考えます。セキュリティ問題は発覚したとき信用問題につながり、販売に与えるダメージが大きいので、利潤を追求する一企業が小銭ほしさにやるとは損得で考えづらいです。

4.2 「Superfish」事件の教訓とサプライチェーンリスク

Lenovo製品に関しては、過去に「Superfish」と呼ばれるアドウェアがコンシューマー向けPCにプリインストールされていた事件(2015年)があります15。

このソフトウェアは、ユーザーのブラウザ通信(HTTPS)を傍受するために、自己署名のルート証明書をインストールし、セキュリティ機能を無効化するものでした。これにより、パスワードや銀行口座情報が第三者に漏洩するリスクが生じました。

この事件は、以下の2点を浮き彫りにしました。

  1. 出荷段階での汚染: メーカーが出荷する時点で、すでにシステムに脆弱性が組み込まれている可能性がある。

  2. ガバナンスの欠如: セキュリティよりも広告収入やデータ収集を優先する意思決定が、グローバル本社レベルで行われるリスクがある。

NECや富士通のPCにおいて同様の事案は確認されていませんが、親会社でこうしたインシデントが発生した事実は、ガバナンスに対する懸念材料として残り続けています。

4.3 「民軍融合」と技術流出の懸念

中国政府は「民軍融合(Military-Civil Fusion)」戦略を推進しており、民間企業の技術を軍事強化に利用することを国策としています。Lenovo傘下のNECPCやFCCLが保有する、日本の高度な製造技術、小型化技術、品質管理ノウハウが、親会社を通じて中国の軍事産業や監視技術に応用されるリスクも否定できません。

現場の日本人エンジニアが開発した技術が、巡り巡って日本の安全保障を脅かす技術の礎となる──この「意図せざる技術移転」のリスクは、資本関係がある以上、完全に遮断することは困難です。

5. 日本政策投資銀行(DBJ)の罪:経済安全保障との矛盾

本レポートにおいて、Lenovo以上に厳しく問われるべき存在が、日本政策投資銀行(DBJ)です。FCCLの発足時、DBJは5%の出資を行いました1。この出資には、当初「外資への流出に対する監視役」や「日本ブランドの維持」といった大義名分があったと推測されます。しかし、現状の経済安全保障環境において、この出資は重大な矛盾とリスクを孕んでいます。

5.1 「お墨付き」によるリスクの不可視化

DBJは、日本政府が全額出資する金融機関です。そのDBJが株主として名を連ねている事実は、官公庁や地方自治体、重要インフラ企業、そして一般消費者に対し、「政府系銀行が出資しているのだから、セキュリティ上も安全なのだろう」という誤った安心感、いわゆる「お墨付き」を与える効果を持っています。

しかし、実際の出資比率はわずか5%です。株式会社において、重要事項の決定に対する拒否権(特別決議の否決権)を持つには、通常3分の1超(33.4%以上)の議決権が必要です。5%の株主であるDBJには、Lenovoが決定した経営方針(例えば、開発拠点の完全中国移転や、特定のサプライヤーの強制など)を法的に止める権限はありません。

つまり、DBJは**「リスクを止める権限」を持たないにも関わらず、その存在によって「安全性」を演出する役割**だけを果たしてしまっている恐れがあります。これは、調達担当者の危機意識を鈍らせる「モラルハザード」を引き起こしかねない、極めて無責任な状態と言えます。

5.2 公的資金と経済安全保障推進法の乖離

日本政府は2022年に「経済安全保障推進法」を制定し、サプライチェーンの強靭化や基幹インフラの安全性確保に、1兆円規模の予算を投じています16。

特定重要物資には半導体などが指定され、信頼できる供給源の確保が国家課題となっています。また、基幹インフラへの重要設備の導入には事前審査が導入され、リスクのあるベンダーの排除が可能となっています。

その一方で、政府系機関であるDBJが、中国国家情報法の適用を受ける可能性が高い企業の傘下にあるPCメーカーに出資し、その利益の一部が中国側へ配当として流れる構造を維持していることは、政策的な整合性を欠いています。

DBJは出資の際、「金融機関の立場から合弁事業の持続的発展に貢献する」と述べていました19。しかし、経済安全保障環境が激変した現在、DBJが具体的にどのような方法で情報の流出を防ぎ、技術移転を監視しているのか、その実効性は外部からは全く見えません。もし有効な手立てを講じていないのであれば、DBJの資金は「日本のPC市場を中国資本が円滑に支配するための潤滑油」として機能してしまったとの批判を免れません。

6. 調達現場の実態と対策:NIST SP800-171への対応

こうした構造的リスクの中で、現場と顧客はどう動いているのでしょうか。

6.1 政府・自治体の調達動向:排除しきれない現実

防衛省や警察庁などの機微な情報を扱う省庁では、調達機器に対する要件が厳格化しています。しかし、入札結果を確認すると、現在でも富士通やNECブランドの機器が多く落札されています。

  • 事例: 2024年の防衛省関連の入札においても、富士通(および関連会社)が「陸自クローズ系クラウド基盤」や「通信電子器材」などの案件を落札しています20

  • 背景: 官公庁のシステムは長年NECや富士通のメインフレームやサーバーで構築されており、ベンダーロックインの状態にあるため、PC端末だけを他社(例えばDellやHP、Panasonic)に切り替えることが運用上困難なケースが多いのです。

6.2 現場の苦悩とNIST SP800-171対応

この矛盾する状況下で、富士通やNECは、米国防総省のセキュリティ基準である「NIST SP800-171」への対応を強力に推進しています22。

NIST SP800-171は、サプライチェーン全体でのCUI(重要管理情報)の保護を求める厳しい基準です。富士通は、自社製品やサービスがこの基準に準拠していることをアピールし、また顧客企業の準拠支援サービスを提供することで、「ハードウェアの出自」という弱点を「厳格な運用管理」でカバーしようとしています。

  • 未知の脅威検知技術: 攻撃者の行動パターンに着目した検知技術の開発24

  • ログ分析とフォレンジック: 長期間のログ保存と高速分析による証跡管理24

これらは、現場のエンジニアたちが「親会社のリスク」を技術力で封じ込めようとする、涙ぐましい努力の表れとも言えます。

7. まとめ

中国Lenovo傘下にあるNECと富士通のパソコン事業は、日本の製造業における「現場の圧倒的な強さ」と、グローバルな「経済安全保障リスク」が同居する、極めて複雑なパラドックスの中にあります。

島根富士通やNEC米沢事業場で働く人々、そしてR&Dセンターのエンジニアたちの技術力と品質への誠実さは、世界でもトップクラスであり、日本のモノづくりの底力を証明しています。彼らは、与えられた環境の中で最大限の「安全」と「品質」を提供しようと奮闘しており、その成果物であるPCそのものの性能は高く評価されるべきです。

しかし、その努力の背後には、「中国国家情報法」という抗えない法的リスクと、それを不可視化させてしまう「DBJの出資」という構造的な問題が横たわっています。現場の努力だけで、国家レベルの情報漏洩リスクを完全に封じ込めることには限界があります。

特にDBJの姿勢は問題です。5%という微々たる出資比率で「日本ブランド」を演出し続けることは、結果として国民や企業のリスク認識を歪め、経済安全保障上の脅威を増大させている可能性があります。

今後の展望として、以下の点が重要となります。

  1. DBJの出資見直し: DBJは出資の継続是非を含め、リスク管理の実効性を国民に説明する責任があります。

  2. ゼロトラストの徹底: ユーザー企業や官公庁は、「NEC・富士通だから安心」という神話を捨て、ハードウェアさえも信用しない「ゼロトラストアーキテクチャ」を前提としたシステム構築を行う必要があります。

  3. 国産回帰の模索: 重要インフラや国防用途に限定した、真に信頼できるサプライチェーン(完全な脱・特定国依存)を持つ特注ラインの構築や、そうした製品への適正な価格転嫁を社会が許容する必要があります。

「現場の誇り」を守りつつ、「国家の安全」をどう確保するか。私たちは今、その難しい問いを突きつけられています。

個人使用PCならまだしも、法人の大量導入を考えると生産能力的にNECブランド、富士通ブランドを避けて通ることは十分な量を調達できず、運用が難しい面があります。

しかしそのまま放置は経済安全保障の問題があります。

一個人ではどうしようもないのでDBJの無責任体質改善も含めてこれら重要な問題への日本政府の積極駅関与が期待されます。

 


Q&Aセクション:Lenovo傘下PCに関する10の疑問

以下は、本レポートのテーマに関連して、ユーザーや調達担当者が抱くであろう重要な疑問点と、それに対する専門的な回答です。

Q1. 中国資本になったことで、NECや富士通のPCの品質は落ちましたか?

A1. 品質面での低下は見られず、むしろ現場の努力により維持・向上されています。

島根富士通やNEC米沢事業場では、開発・製造・品質保証の多くを日本国内で継続しており、トヨタ生産方式の導入や高度な自動化、熟練工によるチェック体制が機能しています。Lenovoの資本が入ったことで部品調達力(バイイングパワー)が強化され、コストパフォーマンスと品質のバランスは高水準で維持されていると評価できます。特に島根富士通の自動化ラインや米沢のBTOシステムは世界的にも先進的な事例です。

Q2. 「国家情報法」は具体的にどのようなリスクがありますか?

A2. 有事の際や当局の要請があった場合に、データの提供を拒否できなくなるリスクです。

中国の国家情報法(第7条)は、中国の組織・国民に対し国家情報活動への協力を義務付けています。平時は問題なくとも、国際情勢が緊迫した際などに、親会社であるLenovoを通じて、日本の子会社が保有する技術情報、顧客データ、あるいは製品にバックドア(遠隔操作用の裏口)を設けるよう指示された場合、企業統治の観点からこれを拒否することが極めて困難になる法的構造が存在します。これは企業の善意とは無関係な法的強制力です。

Q3. 日本政策投資銀行(DBJ)が出資しているなら、安全ではないのですか?

A3. DBJの出資は「安全性」を技術的に保証するものではありません。

DBJの出資比率はFCCLに対して5%に過ぎず、経営の重要事項決定に対する拒否権(通常33.4%以上が必要)を持っていません。DBJの存在は、金融面での支援や事業継続性の観点からはプラスですが、セキュリティリスクをコントロールする権限、及び技術的能力はほぼありません。むしろ、政府系銀行が出資していることで過度な安心感を与えてしまう「お墨付き効果」の副作用が懸念されます。

Q4. 官公庁は現在もNECや富士通のPCを使っていますか?

A4. はい、広く使用されています。

入札情報20などを確認すると、現在でも防衛省や地方自治体を含め、多くの公的機関で富士通やNECブランドのPCが調達されています。これは既存システムとの互換性やサポート体制の維持が理由です。ただし、特に機密性が高いシステム(クローズ系など)においては、サプライチェーンリスク管理の一環として、より厳格な審査や、ネットから切り離した運用などの対策が取られていると考えられます。

Q5. BIOSを日本で開発していることは、なぜ重要なのですか?

A5. BIOSはPCの最下層で動作するため、ここが汚染されると防御不可能だからです。

OS(Windowsなど)やウイルス対策ソフトが起動する前にBIOSが動作します。もしBIOSに不正なプログラムが仕込まれると、OS上のセキュリティソフトでは検知できず、PCを完全に制御されたり、情報を盗まれたりする恐れがあります。FCCLなどがBIOSの自社開発(内製化)や独自の実装にこだわるのは、この「最後の砦」をブラックボックス化させないためです。

Q6. 「スーパーフィッシュ(Superfish)」事件とは何ですか?

A6. 2015年にLenovo製PCにプリインストールされていた危険なアドウェアの問題です。

このソフトは、広告を表示する目的で搭載されましたが、暗号化通信(HTTPS)を傍受するための「自己署名証明書」を勝手にインストールしていました。これにより、パスワードやクレジットカード情報などが第三者に盗み見られる脆弱性が生じました。NECや富士通の製品で同様の事案は確認されていませんが、親会社のガバナンスに対する不信感を招いた象徴的な事件です。

Q7. 経済安全保障推進法によって、これらのPCは規制されますか?

A7. 直接的な販売規制はありませんが、基幹インフラへの導入には審査が必要になる場合があります。

PCそのものが即座に規制対象になるわけではありませんが、同法では「特定社会基盤役務(基幹インフラ)」の安定提供確保のために、重要設備の導入時に政府が事前審査を行う仕組みがあります。サプライチェーンに懸念がある場合、実質的に導入が推奨されない、あるいはリスク低減措置(外部通信の遮断など)が求められる可能性があります。

Q8. 個人ユーザーとして、NECや富士通のPCを使う際に気をつけることは?

A8. 過度な心配は不要ですが、基本的なセキュリティ対策は必須です。

一般的な個人利用において、特定の個人情報を狙ってスパイ行為が行われる可能性は低く、現場の品質管理も徹底されているため、製品としては非常に優秀で使いやすいものです。ただし、プリインストールされている不要なソフトは削除する、OSやBIOSのアップデートをこまめに行う、セキュリティソフトを導入するといった基本的な対策は、どのメーカーのPCであっても不可欠です。

Q9. NECや富士通の現場社員は、この状況をどう思っているのでしょうか?

A9. 「日本のブランドを守る」という強い気概と、複雑な思いが共存していると推測されます。

各種インタビューや報道からは、現場のエンジニアたちが「親会社がどこであれ、自分たちが作るものは日本品質である」という強いプライドを持っていることが読み取れます。彼らは技術的な工夫や厳格な検査によって、資本構造上のリスクを技術力でカバーしようと日々努力しており、そのプロフェッショナリズムは高く評価されるべきものです。

Q10. 今後、完全な「純国産PC」が復活する可能性はありますか?

A10. 経済合理性の観点からは極めて困難ですが、安全保障の観点からは特殊用途でのニーズが高まっています。

PCの部品(CPU、メモリ、SSD、液晶)の多くは海外製(米国、台湾、韓国、中国)であり、サプライチェーンの完全国産化はコスト的に不可能です。しかし、重要データの処理に特化した端末や、政府・防衛用途に限定して、信頼できるサプライチェーン(同盟国や国内)のみで構成・検証された「高セキュリティPC」への需要は高まっており、一部の国内メーカー(Panasonicなど)や、NEC・富士通内でも特定用途向けのラインでそうした回帰が強まる可能性はあります。




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