以下の内容はhttps://k5963k.hateblo.jp/entry/2025/11/30/104312より取得しました。


台湾有事は日本の「存立危機事態」である:半導体依存が招く世界経済崩壊とIT産業壊滅のシナリオ

www.youtube.com

www.youtube.com

nanobanana pro 以前よりは良くなったけど文字を霞ヶ関ポンチ絵みたいに細かくすると一部文字化け、、、googleさん改良頑張って。

 

 

1. 導入:なぜ「台湾有事=日本の終わり」なのか

 

2025年現在、私たち日本人が直面している最大の地政学的リスク、それが「台湾有事」です。巷では「台湾有事はあくまで他国の戦争であり、日本は中立を保てば巻き込まれない」「存立危機事態と認定するのは大袈裟だ」といった楽観的な意見も散見されます。しかし、経済安全保障と半導体サプライチェーンの専門家としての立場から、結論を先に申し上げます。

台湾有事は、間違いなく日本の存立危機事態であり、さらには世界経済の「心停止」を意味します。

その理由は、軍事的な同盟関係や地理的な近接性だけではありません。現代社会の「血液」とも言える半導体、そしてITインフラの根幹を、世界はあまりにも過度に台湾一国へ依存させてしまったからです。もし台湾が中国共産党(以下、中国)の支配下に入れば、世界最先端の半導体供給は物理的かつ政治的に完全に遮断されます。出荷が継続されたとしても世界中でスパイ機能が組み込まれる可能性の高い台湾製、半導体、IT機器を経済安全保障理由で使用できなくなります。

 

これは単に「iPhoneが買えなくなる」というレベルの話ではありません。日本の自動車産業、医療機器、防衛装備、そして銀行や証券取引所を動かすサーバーに至るまで、あらゆるシステムが停止または信頼性を失い、日本経済は即座に壊滅的な打撃を受けます。

本レポートでは、なぜ台湾有事が日本の存立危機事態に該当するのか、その根拠を「半導体サプライチェーンの数値的分析」「ハードウェア・トロイ(スパイチップ)のリスク」「世界経済への甚大な被害予測」の観点から、徹底的に詳述します。これを読めば、台湾有事を「対岸の火事」と捉えることが、いかに現代のIT産業構造を知らない「情報弱者」的発想であるかが、明確にご理解いただけるはずです。

 

2. 「存立危機事態」の法的定義と経済安全保障の現実

 

まず、議論の土台となる日本の安全保障法制における「存立危機事態」の定義を再確認し、なぜ台湾有事がこれに合致するのかを解説します。多くの人が誤解していますが、現代の「存立危機」はミサイルが飛んでくることだけを指すのではありません。

 

2.1 存立危機事態の定義と「国民の幸福追求権」

 

2015年に成立した平和安全法制において、存立危機事態は以下のように定義されています。

「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」

この定義の核心は、「我が国の存立」と「国民の権利」が根底から覆されるかどうかという点にあります。従来、これは主に軍事的な攻撃による被害を想定して議論されてきました。しかし、21世紀の国家存立は、エネルギーと情報の供給網に完全に依存しています。

もし台湾有事によって、日本の産業活動がすべて停止し、電力網の制御が不能になり、金融システムが崩壊して預金封鎖のような事態になれば、それは国民の「生命、自由、幸福追求の権利」が根底から覆された状態と言えます。高市早苗首相(2025年時点)が国会答弁で示唆したように、中国による台湾封鎖が日本の存立危機事態に発展する可能性は、経済的観点から見ても極めて論理的な帰結なのです1

 

2.2 エネルギーと情報の二重封鎖

 

台湾海峡は、日本のエネルギー安全保障の生命線です。中東から輸入される原油の約9割、天然ガスの多くがこの海域を通過します。CSIS(戦略国際問題研究所)の推計によれば、2022年時点で台湾海峡を通過した物品は約2兆4500億ドル(約360兆円)に達し、これは世界の海上貿易の5分の1以上を占めています3

しかし、それ以上に深刻なのが「情報の封鎖」、すなわち半導体供給の途絶です。石油は備蓄が可能ですが、ジャストインタイムで生産される半導体に国家規模の備蓄はありません。供給が止まった瞬間、日本の製造業は死に体となります。エネルギーが入ってこない上に、モノを作っても動かすための頭脳(半導体)がない。この「二重封鎖」こそが、日本を存立の危機に追い込むメカニズムなのです。

 

3. 世界を支配する「シリコン・シールド」の残酷な数値

 

「台湾が占領されても、他国から半導体を買えばいいではないか」と考えるのは、半導体製造の現場を知らない素人の発想です。ここでは、台湾(特にTSMC)がどれほど圧倒的なシェアを持ち、代替不可能であるかを具体的な数値データで示します。

 

3.1 先端半導体における圧倒的シェア:代替不可能な現実

 

2024年から2025年にかけての統計データは、台湾への依存度が低下するどころか、AI(人工知能)ブームによってさらに高まったことを示しています。半導体はその微細化レベル(ナノメートル:nm)によって性能が決まりますが、最先端分野における台湾のシェアは独占に近い状態です。

以下の表は、プロセスノード別の台湾(主にTSMC)の世界シェアを示したものです。

プロセスノード 台湾(TSMC)の世界シェア 主要な用途 依存の深刻度
3nm (最先端) 約 90% 〜 98% iPhone 16/17 Pro, NVIDIA H100/H200 (AI), MacBook 代替不可能 (Samsungの歩留まり低迷により実質独占)
5nm / 4nm 約 90% 高性能スマートフォン, 自動運転AI (Tesla FSD), データセンター 壊滅的 (米国工場はまだ量産規模に達していない)
7nm / 6nm 約 70% 〜 80% PlayStation 5, Xbox, 一般的なPC向けCPU (AMD Ryzen), 自動車の高度制御 極めて甚大
16nm / 14nm 約 60% 車載SoC, 産業用ロボット, IoT機器, 通信基地局 甚大
ファウンドリ全体 約 66% 上記すべてを含む受託製造全体 世界の工場の過半数が停止

出典:4

この表が示す事実は残酷です。もし台湾からの供給が止まれば、世界のAI開発、スーパーコンピュータ、ハイエンドスマートフォン、そして高度な軍事システムの製造は即座に不可能になります。特に、現在世界中で争奪戦となっているNVIDIAのAIチップは、TSMCの「CoWoS」という特殊なパッケージング技術に依存しており、これは他社では全く代替できません。

米国や日本(ラピダス)が国内生産を急いでいますが、2025年現在、TSMCの規模と技術力に追いつくにはまだ数年〜10年単位の時間が必要です。TrendForceの予測でも、2027年時点でも台湾は先端プロセスで依然として55%以上のシェアを維持すると見られています5。つまり、少なくとも今後5〜10年は、「台湾有事=世界最先端技術の死」という図式は変わりません。

 

3.2 AI・サーバー市場の台湾依存:クラウドの崩壊

 

依存しているのはチップの「製造(前工程)」だけではありません。マザーボードへの実装、サーバーの組み立て(後工程・EMS/ODM)においても、台湾企業が世界を独占しています。

  • AIサーバー: 世界市場の90%以上が台湾メーカー(Quanta, Foxconn, Wistron, Inventecなど)によって製造されています7。GoogleやMicrosoft、Amazonのデータセンターにあるサーバーのほとんどは、ブランドロゴこそ米国企業ですが、設計と製造は台湾企業が行っています。

  • 全サーバー出荷台数: 世界の**約80%**が台湾企業によるものです7

台湾有事が発生すれば、これらの台湾メーカーの工場(台湾および中国本土にある工場も含む)は機能不全に陥ります。結果、世界のクラウドインフラの拡張・更新はストップします。私たちが普段使っているAWSやAzure、Google Cloudといったサービスは、物理的なサーバーの追加ができなくなり、通信量の増大に耐えきれずダウンする可能性が高まります。

 

4. 経済安全保障の悪夢:スパイウェアと「信頼性」の喪失

 

台湾有事が存立危機事態である最大の理由は、単なる「品不足」ではありません。**「信頼できる半導体がこの世から消滅する」**というセキュリティ上の脅威です。ここを理解していない人が、「中国から買えばいい」という短絡的な結論に至るのです。

 

4.1 ハードウェア・トロイ(Hardware Trojan)の脅威

 

もし中国が武力侵攻によって台湾を占領し、TSMCの工場を接収したと仮定しましょう。工場が無傷で残ったとしても、西側諸国(日米欧)はその工場で作られたチップを使うことができるでしょうか?

答えは**「NO」**です。絶対に使うことはできません。

その理由は「ハードウェア・トロイ」のリスクです。これは、製造工程において設計図にはない微細な回路を悪意を持って埋め込む攻撃手法です8

  • 仕組み: 数十億個のトランジスタの中に、わずか数十個の悪意あるトランジスタを紛れ込ませます。電子顕微鏡でも発見は極めて困難です。

  • 機能: 通常時は何もしませんが、特定の信号(例えば特定のウェブサイトへのアクセスや、特定の日時)を受信すると作動し、システムをシャットダウンさせたり(キルスイッチ)、暗号鍵を外部に送信したり(バックドア)します。

  • 事例: 2018年のBloombergの報道(スーパーマイクロ事件)では、中国の工場でサーバーのマザーボードに米粒大のスパイチップが仕込まれた疑惑が報じられました10。この真偽には議論がありますが、技術的に「可能」であることはセキュリティ専門家の共通認識です。

中国共産党の影響下にある工場から出荷された半導体には、いつ自衛隊のレーダーを無効化し、電力網をブラックアウトさせる機能が仕込まれているかわかりません。したがって、経済安全保障上、これらを使用することは許されず、世界市場から台湾製半導体(=中国占領下製半導体)は完全に排除されます。つまり、**「物理的に工場が稼働していても、西側世界にとっては供給がゼロになったのと同じ」**なのです。

 

4.2 「焦土作戦(Broken Nest Strategy)」と技術者の流出

 

米国陸軍大学校の論文などで提唱された「ブロークン・ネスト(壊れた巣)」戦略は、中国にTSMCを無傷で渡すくらいなら、自爆あるいは破壊してしまえという抑止戦略です11

TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)会長自身も、CNNのインタビューで「軍事侵攻が起きれば、TSMCの工場は稼働不能になる(Not Operable)」と明言しています13。最先端の半導体工場は、日米欧からのリアルタイムの材料供給(日本のフォトレジストなど)、装置のメンテナンス(オランダASMLのEUV露光機など)、ソフトウェアのアップデートがなければ、数日と持たずに稼働停止します。

中国が工場を占領しようとした瞬間、以下のいずれかのシナリオが確実に発生します。

  1. 遠隔無効化: ASMLや米国の製造装置メーカーが、リモートで装置をロック(キルスイッチ)し、再起動不能にする。

newswitch.jp

 

遠隔監視ができるということはネットワークつながっているから遠隔ロックもできると思います。台湾侵攻すれば全世界の半導体製造装置が中国全ての装置を制裁でロックかける予感。。。

あと半導体製造装置はしょっちゅうメーカーによるアフターサービス(調整等のフィールドエンジニアリングサービス)がないとすぐに動かなくります。

単純な部品は互換パーツなどもありますが肝となる部品は他にはまねできません。

つまり、保守パーツの出荷禁止は大打撃です。

 

新規装置出荷禁止より、保守パーツ出荷禁止の法が大打撃です。

ある意味、経済的な核兵器のようなものです。簡単には使うものではありませんが、台湾侵攻やレアアース輸出禁止など来た場合は、日本にも超強力な切り札があります。

核兵器同様に滅多に使うものではありませんが、紛争の抑止力にはなり得ます。

これと同じ話です。

trafficnews.jp

  1. 物理的破壊: 台湾軍または米軍による工場の爆破、あるいは中国軍の攻撃による巻き添え。

  2. 人材の逃避: 半導体製造のノウハウを持つエンジニアが国外へ脱出、あるいは協力を拒否。

どちらに転んでも、世界への供給は完全にストップします。「中国が占領すれば、今まで通り生産してくれる」というのは、半導体製造の超高度なエコシステムを理解していない妄想に過ぎません。

 

5. 日本産業の「隠れた」台湾依存:メイド・イン・ジャパンの虚構

 

「うちは国産(メイド・イン・ジャパン)だから大丈夫」「部品は米国製を使っている」と主張する経営者がもしいるなら、それは自社のサプライチェーンを全く把握していない証拠です。日本の主要産業がいかに台湾という土台の上に成り立っているか、ティアダウン(分解)視点で分析します。

 

5.1 自動車産業:トヨタでさえ走れなくなる

 

現代の自動車は「走るコンピュータ」です。1台あたり数千個の半導体が使われていますが、その中でも走行制御や安全機能を司る「マイコン(MCU)」の依存度は深刻です。

  • ルネサスエレクトロニクスの実情: 日本の半導体大手ルネサスは、車載マイコンで世界トップクラスのシェアを持ちます。しかし、その最先端製品(40nmプロセス以下、特に28nmなどの微細品)の製造は、実はTSMCに委託しています14。自社工場で作っているのは比較的古い世代のチップのみです。

  • 世界の車載マイコン: ルネサスだけでなく、NXP(オランダ)、インフィニオン(ドイツ)といった車載半導体大手も、製造の多くをTSMCに委託しています。結果として、世界の車載マイコンの約**70%**がTSMCで製造されているとのデータもあります15

過去のコロナ禍における半導体不足で、日本の自動車工場が何度も停止したことを思い出してください。あの時は「遅れているだけ」でしたが、台湾有事が起きれば、不足どころか「供給ゼロ」になります。代替生産ラインを立ち上げるには、マスクの再設計、試作、安全性テストを含めて数年単位の時間がかかります。その間、トヨタ、ホンダ、日産といった日本の基幹産業(雇用数550万人)は、車を1台も作れない状況に陥ります。輸出産業が壊滅すれば、日本経済は外貨を獲得できなくなり、円の価値は紙切れ同然になります。これが「国の存立に関わる危機」でなくて何なのでしょうか。

 

5.2 「国産」PC・サーバー・ゲーム機の中身

 

「メイド・イン・ジャパン」を謳うノートPCやサーバーであっても、その中身は台湾への依存で満たされています。

  • マザーボードと受動部品: PCの基盤となるマザーボードの設計・製造は台湾系メーカー(ASUS, Gigabyte, MSIなどのOEM部門)が独占的です。また、チップを載せる基板(サブストレート)やコンデンサなども台湾サプライヤーのシェアが高い分野です。

  • 任天堂とソニー: 日本が誇るゲーム産業も同様です。Nintendo Switchの心臓部(NVIDIA Tegra X1)も、PlayStation 5のメインプロセッサ(AMD製カスタムチップ)も、製造しているのはTSMCです16。台湾からの供給が止まれば、ハードウェアを売ることができなくなり、任天堂やソニーのゲーム事業は即座に停止します。

 

5.3 iPhoneのサプライチェーン

 

日本で圧倒的なシェアを持つiPhoneも、台湾有事の影響を直撃します。最新のiPhone分解レポートによれば、Aシリーズチップ(TSMC製)はもちろんのこと、ディスプレイ技術やカメラレンズ、筐体の製造に至るまで、台湾企業の関与率は極めて高いです18。Foxconn(台湾企業)の中国工場が有名ですが、その管理と部材調達の頭脳は台湾にあります。台湾有事で台湾本社機能が麻痺すれば、中国工場もコントロールを失います。

 

6. 世界経済への衝撃:10兆ドル(約1500兆円)の損失

 

台湾有事が引き起こす経済的損害は、リーマンショックやコロナ禍を遥かに凌駕します。これは比喩ではなく、主要経済機関による冷徹な試算の結果です。

 

6.1 ブルームバーグ等による衝撃的な試算

 

ブルームバーグ・エコノミクスなどの研究機関は、台湾有事が発生した場合の経済損失をシミュレーションしています。

シナリオ 経済損失額 世界GDPへの影響 備考
台湾有事(戦争) 約 10兆ドル (約1500兆円) -10.2% リーマンショック(-5.9%)を遥かに超える
台湾封鎖 (Blockade) 約 5兆ドル -5% 戦闘がなくても経済は半減

出典:19

  • 台湾経済: -40% の壊滅的打撃。

  • 中国経済: -16.7% の打撃。貿易停止と制裁による。

  • 米国・日本: 数%〜10%近いマイナス成長。

世界GDPの10%が蒸発するということは、大恐慌以来の経済的カタストロフィです。サプライチェーンの寸断は、あらゆる物価の高騰(コストプッシュ・インフレ)と、生産停止による失業の増大(スタグフレーション)を同時に引き起こします。

 

6.2 日本経済への具体的打撃プロセス

 

日本において「存立危機事態」が現実化するプロセスは以下の通りです。

  1. 製造業の全停止: 自動車、電機、精密機械の工場が、半導体と部品の枯渇により数週間以内に操業停止。

  2. 金融システムの麻痺: 銀行のサーバーや証券取引所のシステムは常時メンテナンス部品を必要とします。台湾からの供給停止により、システムの安定稼働が脅かされ、金融取引が制限される可能性があります。

  3. 超円安とエネルギー危機: 有事のドル買いにより円が暴落。同時にシーレーン封鎖でエネルギー価格が高騰。日本は「モノを買えない」「電気代が払えない」という二重苦に陥ります。

  4. 社会的混乱: スマホの故障が直せない、インターネットがつながらない、車が動かないといった事態が日常化し、社会インフラとしての機能が維持できなくなります。

 

7. 情報弱者への反論:IT産業の現実を知れ

 

「台湾有事は存立危機事態ではない」「ただの局地紛争だ」と主張する人々は、現代のIT産業がどれほど複雑かつ、台湾という一点に集中して組み上げられているかを理解していません。彼らは「情報弱者」であり、危機管理のプロフェッショナルではありません。

 

7.1 「代替生産」という幻想の打破

 

彼らはよくこう言います。「日本にはラピダスがある」「アメリカにはインテルがあるから大丈夫だ」と。しかし、これは現場を知らない空論です。

  • ラピダス(Rapidus): 北海道で建設中ですが、量産開始目標は2027年です。しかも、最初からTSMCの最先端に対抗できる歩留まり(良品率)を出せる保証はどこにもありません。工場が建っても、そこで働く熟練技術者やサプライチェーンが整うにはさらに時間がかかります。

  • インテル・サムスン: 両社とも先端プロセス(3nm/2nm)の開発と量産において、技術的なトラブルや歩留まりの低迷に苦しんでいます。TSMCが持つ圧倒的なキャパシティ(生産能力)と技術的安定性を、有事の際に即座に肩代わりすることは物理的に不可能です。

TSMCの月間生産能力は数百万枚(12インチ換算)に及びますが、これを代替できる工場は地球上のどこにも存在しません。

 

7.2 「中立」という選択肢の不在

 

「日本は中立を宣言して、中国と仲良くすればいい」という意見もあります。しかし、IT社会において中立は不可能です。

あなたが使っているスマホ、会社のPC、銀行のATM、これらが動いているのは「台湾製の半導体」があるからです。中国が台湾を攻撃した瞬間、日本がどちらの味方をするかに関わらず、**「物理的に部品が入ってこなくなる」**のです。中立を叫んでも、工場は動きませんし、スマホは直りません。

また、経済安全保障の観点から、中国が支配した台湾から半導体を買うことは、米国同盟国である日本には許されません。つまり、台湾が落ちた時点で、日本経済の心臓は止まるのです。これを「存立危機」と呼ばずして、何と呼ぶのでしょうか。

 

8. まとめ

 

以上の詳細な分析から、結論は明白です。

  1. 台湾有事は日本の存立危機事態そのものである: エネルギー供給の遮断と、産業の血液である半導体の供給途絶により、日本国家の存立と国民の生活基盤は根底から覆されます。

  2. 世界経済の心停止: TSMCという心臓部が止まることで、世界のIT産業、自動車産業は壊滅し、10兆ドル(約1500兆円)規模の経済損失が発生します。これは世界恐慌レベルの衝撃です。

  3. 経済安全保障の崩壊: 中国共産党の影響下にある半導体は、ハードウェア・トロイ(スパイ機能)のリスクにより、世界中の重要インフラで使用不可能となります。

  4. 「国産」の脆弱性: 日本の主力産業である自動車やゲーム産業も、その深層部で台湾製半導体に依存しており、台湾有事はこれら産業の即死を意味します。

「台湾有事は関係ない」と考えることは、自分たちが使っているスマホ、乗っている車、預金している銀行のシステムが、台湾という土台の上に成り立っている事実から目を背けることです。台湾有事は、日本の平和と繁栄が、いかに薄氷の上に成り立っているかを突きつける現実なのです。私たちはこの現実を直視し、抑止力を高めるための備えと、サプライチェーンの多重化を(間に合わないとしても)死に物狂いで進める必要があります。


 

台湾有事と半導体リスクに関するよくある質問 (Q&A)

 

Q1. 台湾有事が起きると、私の持っているiPhoneはすぐに使えなくなりますか?

A1. すぐに使用不能にはなりませんが、修理はできなくなります。iPhoneの心臓部であるAシリーズチップは100% TSMC製であり、交換部品の供給が止まるためです。また、iCloudなどのクラウドサービスを支えるサーバーも部品不足で増強できなくなり、通信障害やサービスのダウンが頻発する可能性があります。

Q2. 日本にはルネサスやキオクシアなど半導体工場がたくさんありますが、それでもダメなのですか?

A2. はい、不十分です。日本の工場は「メモリ(記憶)」や「パワー半導体(電力制御)」には強いですが、スマホやPCの頭脳となる「先端ロジック半導体」の製造能力はほぼゼロです。これらは台湾に完全に依存しており、日本の工場では代替生産できません。

Q3. 中国が台湾を占領したら、TSMCの工場を使って世界中にチップを売るのではないですか?

A3. その可能性は低いです。第一に、日米欧が経済制裁を行い、中国製チップの輸入を禁止するでしょう。第二に、ASML(オランダ)などの製造装置メーカーがリモートで装置をロックしたり、保守部品の供給を止めたりするため、工場自体が数週間で物理的に稼働できなくなると予想されます。

Q4. 「存立危機事態」になると、自衛隊はどう動くのですか?

A4. 存立危機事態と認定されると、日本が直接攻撃されていなくても、集団的自衛権を行使して米軍等を支援することが法的に可能になります。具体的には、米艦防護、機雷掃海、燃料補給などの後方支援、さらには状況に応じてより直接的な関与も選択肢に入ります。

Q5. 台湾有事はいつ起きる可能性がありますか?

A5. 専門家の予測は分かれますが、中国軍の近代化が完了するとされる2027年や、それ以降が特に危険視されています。しかし、偶発的な衝突により「明日」起きるリスクも常に存在します。習近平指導部の政治的判断次第であり、合理的な予測が通用しない領域です。

Q6. 私たち個人ができる備えはありますか?

A6. 物理的な備え(食料・水の備蓄)に加え、円安やインフレによる経済的混乱に備えて資産を外貨や金などに分散すること、また仕事で使うPCやスマホなどの予備機を確保しておくことなどが考えられます。デジタル機器の価格は有事の際に数倍に跳ね上がるでしょう。

Q7. 中国も経済的ダメージを受けるなら、戦争なんてしないのでは?

A7. それが「経済合理的」な判断ですが、歴史上、独裁国家は経済的損得よりも政治的野心やナショナリズム、メンツを優先して戦争を始めることが多々あります(例:ロシアのウクライナ侵攻)。したがって、「損をするからやらないだろう」という楽観論は通用しません。

Q8. トヨタなどの日本企業は対策をしていないのですか?

A8. 対策は進めています。TSMCの熊本工場(JASM)誘致などがその一例です。しかし、車1台に使われる数千〜数万点の部品すべてを「脱台湾」することは極めて難しく、完全な対策には10年単位の時間が必要です。現状では、有事が起きれば生産停止は避けられません。

Q9. インターネットやサーバーが止まると、具体的に何が困るのですか?

A9. SNSやYouTubeが見られなくなるだけでなく、銀行のATMが止まる、クレジットカード決済ができなくなる、病院の電子カルテが参照できなくなる、物流の追跡ができずスーパーに商品が届かないなど、社会インフラ全体が麻痺し、日常生活が送れなくなります。

Q10. このレポートの主張は少し極端で、恐怖を煽りすぎではありませんか?

A10. 決して極端ではありません。ブルームバーグやCSIS、各国の防衛省などの公的なシミュレーションに基づいた「最悪ではあるが十分に起こり得るシナリオ」です。リスク管理(危機管理)の基本は、最悪の事態を直視して準備することにあります。「大したことない」と高を括ることこそが最も危険な態度です。




以上の内容はhttps://k5963k.hateblo.jp/entry/2025/11/30/104312より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14