社会人11年目、在米7年目。今年は
- ZJITの開発を始めた
- エスプレッソマシンを導入した
- 子供がUSの小学校に通い始めた
という感じの一年だった。
仕事
YJITでできる性能改善の幅が構造的な理由で頭打ちになりつつあるという問題意識から、新メンバーのMax (@tekknolagi) を交えて2025年2月にチームで集まった時に次世代YJITのデザインの議論をし、ZJITの開発が始まった。1月の段階ではMaximeはRubyの動的な機能をある程度制限したサブセットに対してAOTするようなデザインを推していたが、Rubyのセマンティクスを制限するべきではない & しなくても高速化できるという僕のpushbackもあり、普通にJITを作り直す方向で話がまとまった。
YJITのどの最適化がRailsアプリに対して大きな影響があったかは大体覚えていたので、リリースするころまでにそれらを全て移植しYJITと同じくらいの速度にすることを個人的に目標にしていたが、間に合わなかった。ローカル変数や脱最適化の扱いがかなりアグレッシブになっているおかげで、新しく考えたSSA IR上で実現したいセマンティクスを成立させた上でテストを全て通すことに半年かかり、レジスタアロケータへの負荷も大幅に増えたコード生成に対応するべくバックエンドの作り直しとデバッグにも2か月、YJITに実装済みの最適化をZJITに全て移植しきるには時間が全然足りなかった。
その目標をどうにか達成しようとして時間の使い方をZJITの実装にかなり振り切った生活をしていた関係で、本番環境もあまり触らなくなり、チーム外とのコミュニケーションも大分おろそかになったためか、今年上半期の査定は過去最低の評価であった。下半期はJITチームに新人がかなり流入してきて、半分以上のメンバーがオンボーディングが必要な状態になったのだが、その方面での貢献が認められたのか、下半期の査定ではかつてないほど昇給した。このまま円安が続くなら、いつか年収1億円になるかもしれない。
発表
子供ができて数年はオンラインの登壇以外はRubyKaigiしか行かなくなって、コロナも収まってきてオンラインの登壇機会も途絶えてからはほぼRubyKaigiでしか発表しない人間に2022~2024年あたりはなっていたのだが、子供が大きくなってきた & 学校に預けている時間が大幅に伸びたのもあり、今年は発表の回数がここ数年よりは少し多くなった。
- RubyKaigi 2025: Deoptimization: How YJIT Speeds Up Ruby by Slowing Down
- REBASE 2025: ZJIT: Building a New JIT Compiler for Ruby
- San Francisco Ruby Conference 2025: ZJIT: The Future of Ruby Performance
- Rubyリリース30周年パーティー: ZJIT: The Ruby 4 JIT Compiler
RubyKaigiでYJITの話をした後、他の3回はZJITの話をした。REBASEはシンガポールで行なわれた言語処理系関係の国際会議内で開催されたイベントで、オーガナイザから招待してもらってトークをしたのだが、アカデミックな国際会議で登壇の機会をもらったのは初めてで、良い経験になった。Rubyを知らないオーディエンスに対して話をするのが思ったよりうまくいかず、内容は散々な上に時間も余らせてしまった。サンフランシスコでRubyistに対して同じトークをした時は、時間の使い方も完璧で、ウケも良かった。東京で4年ぶりに日本語で話したら、盛り上がりすぎてどんどん早口になり、これも時間は余ってしまった(内容的には満足)。
執筆
去年の記事の最後で「まだ世に出せてない活動」と言及したのはとある執筆活動のことで、今年も進捗はしたのだが、プライベートの時間でやらないといけない雑務や他にやりたいことが当初想定していたよりも多く舞い込み続け、期待していたほど進んでいないというのが実情である。今年ブログの記事がこれだけなのも、何か書くならそっちを優先したかったからである。ここ数ヶ月は登壇やらRuby 4.0のリリースやらで何かと忙しくしていたが、それらは一旦落ちついたし、締切は2026年上旬に設定されているので、ここからがんばりたい。
OSS
現在もGitHub Sponsorsが20人ほどいる(本当にありがとうございます)ので、Shopify業務外でのOSS活動も仕事のカテゴリにいれておくが、上記のような理由からここに時間をかける余裕はあまりないものの、いただいている費用に見合うだけのメンテナンス活動はやっていた気がする。主にxremap、たまにhamlでパッチをマージする作業をせっせとやっていて、その2つは僕への依存度が高めな状態が続いている。sqldefは元々アクティブなメンテナが他にいたが、今年は @gfx さんが加わり、ものすごいペースで開発を継続してくださっているので、僕が見ていた時よりもかなり良い状態になっている。ありがとうございます!
生活
ダイエット
ほとんど運動せず食べたいものを食べる生活をしていたら、7月頭に体重が瞬間風速で98kgに達してしまい、近所に独立記念日の花火を見に行った時に @nahi さんに「ちょっと痩せた方がいいんじゃないか」という趣旨のことを言われ、そこから健康のためにダイエットを始めた。今回日本に帰省する直前は75kgを切った状態で安定していたので、一番太っていた状態から半年で23kgは痩せたことになる。
始めた当初、家族が少しの間留守にしていた関係で運動を自由にすることができ、定期的にランニングをしたりしていたのだが、家族が帰ってきてからは運動は難しくなり、食事制限だけでダイエットを継続した。最終的には、朝ご飯を抜き、家で飲むコーヒーにはミルクや砂糖は入れず、ソフトドリンクもゼロカロリーのものだけを飲み、間食は1日0~200kcal目安に抑えれば、毎週安定して痩せる状態になった。旅行などで少し良いものが食べられる環境にいる時は食事制限を解除して太ったりしたのだが、帰ってから元の食事制限を再開すると、割とすぐ体重が戻ることがわかったので、日本に一時帰国している今も好きに外食をしている。

エスプレッソマシン
今年になるまでエスプレッソマシンを触ったこともなかった僕だが、@draftcode さんが引っ越しをする際にエスプレッソマシンを譲ってくださり、そこから家でエスプレッソマシンでコーヒーを作る生活になった。一式譲っていただいたので、何も買い足さずとも使える状態だったが、もらったグラインダを故障させて買い直したり、自分好みのガジェットを買い足したりしているうちに、5~10万円くらいは自分でもコーヒーにお金をかけたような気がする。でも本体であるエスプレッソマシンは自分で買ったらその10倍の金かかるので、買ってる人たちはすごい。
最初はカフェラテだけを作っていたが、上述の通りダイエットを始めてからはコーヒーにミルクをいれなくなった。たまにエスプレッソそのままも飲むが、基本的にはアメリカーノにして飲んでいる。ダイエットコーラは家にあると飲みすぎる関係で買ってくることを妻に禁止されたので、家で飲める低カロリーの飲み物としてはアメリカーノが一番おいしい。
歯科矯正
2023年に始めた歯科矯正が、今年の早い段階で終わり、そこから夜はリテイナーをつけて暮らしている。歯科矯正をやることを決めた段階では、歯科矯正が終わった後も一生リテイナーをつけ続けないと歯列が維持できないことは全く把握しておらず、思わぬところで不便な生活になってしまったなという感じがある。とはいえ、リテイナーを使う生活にも慣れて、あまり気にならなくはなった。
レーシック
ひげの永久脱毛と歯科矯正で、見た目に影響のある人体改造を2つ経験したが、それはどちらも妻の希望があって選んだ選択だった。たまには純粋に自分の欲求だけで改造を施したいという気になり、日々の不便を解消できるレーシックをやることを決意した。事前の検査はもう済ませて、今は手術日を待っている段階で、年明けの頭に実際の手術を行なう予定。あと2週間もせず眼鏡生活も終わりである。
子供
今年夏に5歳になった子供は、4月に年度が始まる日本では幼稚園年中の年齢なのだが、8~9月に年度や学年が切り替わるアメリカでは1つ上の学年になっており、かつアメリカでは日本の幼稚園年長にあたるkindergartenは小学校の一番下の学年で行なわれるため、今年から小学校に通っている。元々週3の午前中だけ預けていたプリスクール生活から、週5で午後まで預けられる小学校生活に変わり、子供が家にいる時間が一気に短くなった。
学校の関係で英語に触れる時間の方が長くなっても、英語と日本語両方使える状態にしてあげたいという思いから、これまでは家で日本語だけを喋っていたため、kinderに入学した8月の段階では、英語はかなり遅れている状態だった。そこから4か月経った今は、英語を話す学校に長く通うようになり、それとは別にくもんでも英語の読み書きを勉強するようになってからは、英語はかなり上達している。くもんの宿題は毎日親が付き添って消化しているが、英語の発音をフォニクスで説明したりしていると、親も結構勉強になる。これからも親子でがんばっていきたい。
2026年は
今やってる執筆やZJITが、世に出す段階では自分が納得できる形にできるといいなと思う。来年もよろしくお願いします。