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KDDIの「povo2.0」「UQ」「au」どう違う? どう選ぶ?《2024年4月最新版》

 近年携帯電話料金の新プラン登場が進んでおり、2020年の5Gサービスのスタートから、2021年のオンライン専用ブランド/プランの登場など、毎年のように新プランが登場している。

 今回は、KDDIのauとUQ mobile、povoの3ブランドの料金プランを解説する。おなじみの自宅の光回線とのセット割引や動画配信サービスとセットになったプランなど、新しいプランを中心にご紹介し、この春の「料金プラン見直し」の一助になれば幸いだ。

新しい料金プランを振り返り

 料金プラン見直しの前に、各ブランドの料金プランを振り返る。

自由なプランニングのpovo2.0

 2021年に登場した「povo2.0」。オンライン上でのみ契約できる“オンライン専用ブランド”のひとつで、契約手続きから利用までスマートフォンアプリを利用する。

 新規契約時にプランを選択する必要は無く、「音声通話かデータ通信のみか」と「SIMカードかeSIMか」を決めればOK。音声通話の場合、アプリ上で本人確認(eKYC)をするとすぐに契約できる。eSIMなら申し込みから間を置かずに利用できるので、必要な時に早く利用できるのも大きな特徴の1つだ。

 そして、大きな目玉は「基本料0円」というところ。

 基本プランは、低速のデータ通信こそできるものの、実際に使用する際は「トッピング」を追加すると、高速データ通信や通話定額などが利用できる。

 たとえば、「データ追加1GB(7日間)」(390円/回)というトッピングの場合、データ容量1GBを購入から7日間の有効期限で利用できる。トッピングはほかにも「データ追加3GB(30日間)」(990円/回)や「データ追加20GB(30日間)」(2700円/回)などが用意されており、それぞれ有効期限があるデータ容量が追加される。

 また、24時間使い放題になる「データ使い放題(24時間)」(330円/回)も用意されており、購入から24時間データ通信が定額で利用できる。

 トッピングは、重ねて追加することもできる。「データ追加」トッピングを重ねて追加した場合は、有効期限の短いデータ容量から消費される。「データ使い放題」トッピングの場合は、データ使い放題の有効期限であればデータ容量は消費されない。

 トッピングは、ほかにも「通話定額」トッピングや、動画配信サービスのトッピングが用意されている。なかでも、期間限定で提供されるトッピングのなかには、飲料やからあげ、フライドチキン、ドーナツといったものとデータ容量がセットになったトッピングも登場しており、これまでの料金プランでは体験できなかったサービスが提供されている。

基本プラン概要
項目内容
月額基本料0円
月間データ容量0GB
国内通話料30秒あたり22円
国内SMS利用料送信:1通あたり3.3円(70文字まで)
受信無料
データトッピング
トッピング名料金/回
データ追加1GB(7日間)390円
データ追加3GB(30日間)990円
データ追加20GB(30日間)2700円
データ追加60GB(90日間)6490円
データ追加150GB(180日間)1万2980円
データ使い放題(24時間)330円
通話トッピング
トッピング名月額料金
5分以内通話かけ放題月額550円
通話かけ放題月額1650円
コンテンツトッピング
トッピング名料金/回
DAZN使い放題パック(7日間)1145円
smash.使い放題パック(24時間)220円

中~低容量で実店舗を構えるUQ mobile

 「UQ mobile」では、中~低容量のプランを用意しており、そこまでスマートフォンを使用しないユーザーにおすすめのブランド。

 また、単独の実店舗「UQスポット」や家電量販店や大型スーパーなどの携帯電話販売店、auショップなど実店舗を構えているため、自身での契約手続きに不安があったり、離れて暮らす家族に乗り換えを勧めたりするシーンでも利用しやすい。

 UQには、データ容量20GBに定額通話がセットになった「コミコミプラン」、15GBまでのデータ容量でセット割引が充実の「トクトクプラン」、データ容量4GBでメール中心のユーザーにおすすめの「ミニミニプラン」がラインアップされている。

コミコミプラン

 コミコミプランは、月額3278円で「データ容量20GB」と「1回10分以内の国内通話定額」がセットになった料金プラン。通勤時など外出先で動画視聴や短時間の通話が多いユーザーに便利なプランになっている。

 また、余ったデータ容量は翌月末まで繰り越すことができるため、月によって利用にばらつきがあるユーザーに便利だ。

 なお、1通話あたりの時間制限がない通話定額オプション「通話放題」は+月額1100円、月間データ容量を25GBまで増量するオプション「増量オプションII」は+月額550円で契約できる。

トクトクプラン

 「トクトクプラン」は、月額3465円で15GBのデータ容量が利用できるプラン。通話定額などはセットに含まれていないが、「家族セット割」または「自宅セット割」や「au PAY カードお支払い割」などの割引が用意されているため、自宅回線とのセット契約や家族そろって契約する際には、安価な価格で利用できる。

 割引は、対象の固定回線やホームルーター、電気を契約していると利用できる「自宅セット割」が月額-1100円、家族で対象の料金プランを契約すると利用できる「家族セット割」が月額-550円、au PAYカードで利用料金を支払うと利用できる「au PAYカードお支払い割」が月額-187円。「自宅セット割」と「家族セット割」は重畳適用されず、割引額が大きい「自宅セット割」のみが適用される。

 加えて、月のデータ通信利用料が1GB以下の場合、その月の基本料金から-1188円となる。

 たとえば、「自宅セット割」と「au PAYカードお支払い割」を適用すると、月額2178円となる。1GB以下の利用であれば、その月は990円で利用できる。

ミニミニプラン

 「ミニミニプラン」は、月額2365円でデータ容量4GBが利用できる料金プラン。

 こちらも通話定額などはセットに含まれていないが、「家族セット割」または「自宅セット割」や「au PAY カードお支払い割」などの割引が用意されている。

 たとえば、「自宅セット割」と「au PAYカードお支払い割」を適用すると、月額1078円で利用できる。「家族セット割」と「au PAYカードお支払い割」の組み合わせの場合は、月額1628円となる。

大容量プランや割引が充実のau

 auブランドでは、大容量プランからはじめてスマートフォンを使用するユーザーまで、幅広くラインアップされている。なかには、金融サービスと合わせてお得に利用できる「マネ活プラン」も用意されている。

使い放題MAX

 データ通信が定額の「使い放題MAX 5G/4G」は、月額7238円。

 家族割引「家族割プラス」や自宅の固定回線やホームルーターとのセット割引「auスマートバリュー」、au PAYカードで利用料金を支払うと利用できる「au PAYカードお支払い割」が適用できる。割引額は、「家族割プラス」が2人で月額-550円、3人以上で月額-1100円、「auスマートバリュー」が月額-1100円、「au PAYカードお支払い割」が月額-110円。

 たとえば、3人以上の家族割プラスとauスマートバリュー、au PAYカードお支払い割を適用すると月額4928円で利用できる。

 なお、月のデータ利用量が3GB以下の場合は、その月のプラン料金が-1650円割引される。先述の例で利用データ容量が3GB以下だと、月額3278円になる。

動画配信サービスとのセットプラン

 先述の「使い放題MAX 5G/4G」と動画配信サービスなどとセットになったプランが提供されている。

 たとえば、「使い放題MAX 5G with Amazonプライム」では、AmazonプライムとTELASA(テラサ)がセットになって月額8107円、「使い放題MAX 5G/4G Netflixパック(P)」では、Netflix(ネットフリックス)のベーシックプランとTELASA、Amazonプライムがセットで月額8437円などがラインアップされている。

プラン名価格利用できるサービス
使い放題MAX 5G/4G7,238円
使い放題MAX 5G with Amazonプライム8,107円Amazonプライム
TELASA
使い放題MAX 5G/4G Netflixパック(P)8,437円Netflix(ベーシックプラン)
TELASA
Amazonプライム
使い放題MAX 5G/4G ドラマ・バラエティパック9,108円TELASA
FODプレミアム
U-NEXT(Paraviベーシックプラン ドラマ・バラエティパック専用)
使い放題MAX 5G/4G DAZNパック10,208円DAZN
使い放題MAX 5G ALL STARパック211,187円Amazonプライム
Netflix
Apple Music
YouTube Premium
TELASA
DAZN
GeForce NOW Powered by au
ピッコマWEB

金融サービスの利用でお得なauマネ活プラン

 auの金融サービスを利用すると、トータルでお得に利用できる「auマネ活プラン」が用意されている。プラン料金は、先述の「使い放題MAX 5G/4G」とバンドルプランと同じで利用できるサービス内容もおおむね変わらない。

 ただし、「auマネ活プラン」では、先述の割引の中では「auスマートバリュー」のみ適用でき、家族割引などは適用できない(人数カウントはされる)。

 マネ活プラン限定の特典として「au PAY残高還元特典」が用意されている。au PAYカード(利用があれば年会費無料)の契約で300円、auじぶん銀行の口座保有とau ID登録で300円、プラン料金をau PAYカードまたはauじぶん銀行からの引き落としで支払うと200円の合計最大800円分のau PAY残高が進呈される。au PAY残高はプラン料金の支払いに充てられないが、実質800円分の割引と捉えることもできる。

 au PAYゴールドカードユーザーは、ゴールドカードでプラン料金を支払うと、12カ月間通常の還元率が+10%され定常特典とあわせて合計最大20%ポイント還元される。

 プラン料金以外でも、auのサービスで還元率が上昇するなど、特典が提供される。

 たとえば、ゴールドカードでの決済時につくポイントの還元率が、マネ活プランの契約で+0.5%(200円につき1ポイント、月最大250ポイントまで)となる。

 au PAYでは、au PAY決済時のポイントが、+0.5%(200円につき1ポイント、月最大150ポイントまで)となり、合計1%還元される。

 このほか、auじぶん銀行の円普通預金金利がアップしたり、auカブコム証券のポイント還元率が上昇したり特典が用意されている。

小容量の「スマホミニプラン」

 4GBまでのデータ容量に応じて4段階で料金が変動する「スマホミニプラン」。月額料金は、利用データ容量が1GBまでの場合は3465円、2GBまでで4565円、3GBまでで5665円、4GBまでで6215円となる。

 auスマートバリューや家族割プラス、au PAYカードお支払い割が適用できるため、たとえば、3つの割引(家族割プラスは3人以上)を適用して月の利用データ量が1GB未満なら、2178円で利用できる。

22歳以下のスマホデビューで安価な「スマホスタートプラン」

 フィーチャーフォンからの乗り換えや22歳以下の新規契約時に加入できる「スマホスタートプラン 5G/4G」。20GBのデータ容量で、月額4103円で利用できる。

 先述の割引の中では、au PAYカードお支払い割(-187円)のみ適用できるが、契約翌月から1年間は「スマホスタート1年割」(-1188円)が利用でき、2つの割引で1年間2728円で利用できる。

 さらに、22歳以下の新規契約では、「スマホスタート応援割」が1年間適用できる。3つの割引を組み合わせると、1年間1078円で利用できる。

フィーチャーフォンからの乗り換えユーザーに「スマホスタートプランライト 5G/4G」

 フィーチャーフォンからの乗り換え(au/他社)ユーザーが契約できる「スマホスタートプランライト 5G/4G」。データ容量4GBで月額料金は2453円。

 先述のスマホスタートプラン同様に、au PAYカードお支払い割とスマホスタート1年割(契約翌月から1年間)が適用できるため、1年間は月額1078円で利用できる。

おすすめの料金プラン

 KDDIが提供する「au」「UQ mobile」「povo2.0」3ブランドの料金プランをざっくりとご紹介してきたが、実際にどれを選べばいいのか? 今回は、利用方法にあわせて筆者なりのベストプランをご紹介しよう。

22歳以下のスマホデビュー

 22歳以下ではじめてスマートフォンを持つ場合におすすめなのが、auの「スマホスタートプラン」だ。割引の適用で、1年間1078円でデータ容量が20GB利用できるので、比較的安価に利用できる。

 また、家族にauユーザーがいれば、請求をまとめられるほか、家族割プラスのカウントにも含まれるため、たとえば父母に加え子供が契約すると、父母の家族割プラス割引額もアップする。

がっつり動画を見る・自宅にWi-Fi環境がないユーザー

 スマートフォンで動画や生配信を見ることが多いユーザーは、auの「使い放題MAX」やサービス付きのバンドルプランがおすすめ。外出先でもデータ容量超過の心配なく利用できる。たとえば、旅行滞在先のホテルのWi-Fiが遅くても、サービスエリア内であれば5Gの高速通信が利用できる。

 また、自宅に固定回線がないユーザーや、Wi-Fi環境がなかったり、あっても遅かったりするユーザーも、サービスエリア内であれば、“ギガ”を気にせず5G通信で動画配信などを楽しめる。

がっつり動画を見る“一人暮らし”のユーザー

 先ほどがっつり動画を見るユーザー向けには「使い放題MAX」をご紹介したが、一人暮らしの場合はよりお得な「auマネ活プラン」をおすすめする。

 「auマネ活プラン」では、「使い放題MAX」と同じ料金同じサービスが利用できるが、家族割プラスが利用できない。一方で、au PAYやau PAYカードなどauの金融サービスの特典が提供されるため、1人で契約する“家族割プラスの恩恵を受けられない”ユーザーにはこちらがおすすめだ。

少しでも料金を抑えたい/日々の利用にばらつきがある

 少しでも料金を抑えたいユーザーや、使い方が日によって変わるユーザーには、povo2.0がおすすめ。

 プランを自由にプランニングできるほか、「データ使い放題(24時間)」などをうまく組み合わせると、利用にあわせた納得できる料金プランを設計できる。

 たとえば、普段は自宅や職場のWi-Fiで利用しているけど、「今日だけ“推し”の配信がある/サッカーの中継がある」場合には、普段は低容量のトッピングを購入しておき配信のある日だけ「データ使い放題」のトッピングをするとよいだろう。

 また、データ容量超過後は、再びトッピングを購入すれば高速通信できるので、「月末に備えて動画視聴を我慢」したり「データ容量の超過で来月まで低速通信で我慢」したりする必要はない。利用データ容量にあわせて課金される仕組みではないので、データ容量が超過しても、追加請求なども発生しないので、お財布事情にも合わせやすい。

動画よりもSNSやネットサーフィンが中心

 動画配信もたまに見るけれども、SNSやネット検索でメインに使用しているユーザーには、povo2.0やUQ mobileがおすすめ。

 povo2.0では、利用容量にあわせてトッピングできるので、月にどれくらい容量を使うかわからない場合でも、たとえば「データ追加3GB(30日間)」から初めてみて、足りなそうであれば、次は容量が多いトッピングにしてみるなど手軽に試行錯誤できる。

 オンラインでの契約や回線開通手続きに不安があるユーザーには、実店舗があるUQ mobileがおすすめ。「コミコミプラン」であれば、月額3278円で「データ容量20GB」と「1回10分以内の国内通話定額」がセットになっているため、多くのユーザーに適したプランになっている。

 また、トクトクプランやミニミニプランでは、自宅回線とのセット割や家族割引などが用意されているので、家族まとめて乗り換えたりすると、より安価に利用できるだろう。

フィーチャーフォンからの乗り換え

 これまでフィーチャーフォンを使用しており、今回はじめてスマートフォンに機種変更するユーザーには、auの「スマホスタートプラン/スマホスタートプランライト 5G/4G」がおすすめ。

 どちらも、乗り換えユーザー向けには1年間の割引が利用できるので、ライトプランの場合はデータ容量4GBを月額1078円で利用できる。

 回線契約はもちろん、スマートフォンの利用方法に不安がある場合も、auショップなどではスマホ教室などが展開されており、ショップで気軽に相談できるだろう。

音声通話をよく利用する/音声通話しか利用しない

 これまではデータ通信の利用方法を中心に紹介してきた。一方、音声通話も多かったり、そもそも音声通話しか利用しなかったりするユーザーもいるだろう。

 UQ mobileのコミコミプランを除き、今回紹介したプランには通話定額サービスが備わっていない。このため、通話頻度が多いユーザーは、「まずデータ通信の頻度」で料金プランを絞り込み、そのプランに「通話定額オプション」を付けるかたちでプランを組み立てるのがおすすめだ。

 povoでは、「5分以内かけ放題」を月額550円、時間制限なしの「通話かけ放題」を月額1650円で提供している。

 UQ mobileでは、トクトクプランとミニミニプラン向けに、月合計60分までの通話定額「通話パック60」が月額660円で、1回10分以内の通話定額「通話放題ライト」が月額880円で、時間制限がない「通話放題」が月額1980円で、コミコミプラン向けに時間制限がない通話放題を月額1100円で提供されている。

 auでは、1回5分以内の通話定額「通話定額ライト2」が月額880円で、時間制限なしの「通話定額2」が月額1980円で提供されている。

 もし、データ通信をほとんどせず、音声通話しかしない場合は、povo2.0を契約し、先述のかけ放題トッピングを購入することもできる。データ通信が必要になったタイミングで都度データトッピングを購入することもできるので、安価にかつ使いやすく利用できるだろう。

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