レビュー

楽天モバイル、いよいよ本格サービス、最新エリア状況を体験してみた

 楽天モバイルが、8日、いよいよ本格サービスを開始した。月額2980円(税抜、以下同)という料金で注目を集めるなか、ゼロから立ち上がった同社のサービスエリアはどれほど繋がりやすくなったのか。

 今回、本誌では6日夜に東京都内で楽天モバイルのサービスエリア状況をあらためて確認した。同社によれば、8日になってからいきなり利用できる場所が増えるのではなく、これまで、そして今後もどんどん改善を図っているとのことで、6日夜の状況はほぼ8日も大きな違いはないようだ。エリアのなかではごく一部で、サービスエリアのすべてを示すものではないが、楽天モバイルの実力の一端を知る一助になれば幸いだ。

路地裏~大通り、そして大規模オフィス街へ

 今回、筆者は「ケータイ Watch」編集部のある神保町から、東京駅前まで、「Rakuten Mini」を片手に練り歩いた。新型コロナウイルス感染症の影響で、どの場所も普段より人通りが少ないように見受けられ、密集・密閉・密接な場所を避けてエリア状況を確認した。確認は時報への通話で行う。ちなみに筆者自身、神保町まではいわゆる通勤時間を避け、かなり空いた電車で移動した。

 まずスタートした直後のエリアは、小規模なビルが立ち並び、クルマが一台通るのがやっとという道に沿って歩く。途中、2車線、あるいは4車線ある少し開けた通りを渡るところもあったが、神保町~大手町のエリアは見通しがやや厳しい場所が多い。その後、大きな通りと大手町に入ると高層ビルが立ち並ぶ。これも基本的にはビル上に基地局が設置されているであろうエリアだ。

東京駅のグランルーフ周辺で計測したところ

 電波もやや届きにくいか? と考えそうになるが、今回試したところ、屋外を歩く間、通話にはまったく支障がなかった。以前のテストでは、基地局と基地局の境目なのか、屋外でも通話が途切れそうになる場面もあったが、今回はそうしたことはなかった。サービスエリアとされる場所で、同じような状況であれば、不満なく快適に使えるはずだ。

地下やビル内への移動では途切れたり途切れなかったり

 筆者が2019年10月、新宿で試した際には、屋外から地下へ階段を下りると通話が切れてしまった。楽天モバイルでは、自社エリア外で通信できるようにするため、エリア外ではauのサービスエリアに繋がるようにしている。そしてエリア切り替えの際には、通信が途切れてしまうことは、ローミングの仕様によるものとされていた。

地下へ降り、auネットワーク(800MHz帯)へ切り替わっても通話は続いていた

 では今回はどうだったのか。大手町駅周辺や東京駅周辺で試したところ、地下へ降りる階段で、わずかながら途切れない場所があった。楽天では、今春、ローミング仕様の変更を予告しており、実施されればau網へ切り替わる際、切断されることなくスムーズに切り替わるという。その事前に予告されていた仕様変更が一部で徐々に導入されているようだ。

 屋内ではauのローミングとなることがほとんどだが、今回訪れた場所では八重洲口側の地下1F(東京ラーメンストリートなどの周辺)や、東京駅で大手町側~八重洲側をつなぐ通路内では楽天モバイルのネットワークで接続していた。とはいえ、改札前に来るとauネットワークへ切り替わった。

 大手町周辺のビルにも入ったり出たり試してみたが、切断され、auのネットワークに繋がるケースが多かった。たとえばビル1Fのコンビニに入り、大きな窓があるような場所であれば店内でも楽天モバイルの電波が届いていたが、店内の奥のほうなど外から見通せない場所では楽天の電波は届かないことがあった。

屋外で繋がるエリアを実感

 今回テストしたのは、楽天モバイルのエリアのごく一部に過ぎないが、ローミング先のauネットワークとのスムーズな切り替えを体験できる場面、あるいは路地裏や大規模ビル街での繋がりやすさ、地下街での接続など、楽天モバイル自身のネットワーク整備が進んでいる様子を垣間見ることができた。

 楽天モバイルのネットワーク内では使い放題となる一方、auネットワークのローミングとなれば月間2GBになる……のはずが、サービス開始日の8日、「4月22日から5GBになる」ことがアナウンスされた。しかも上限へ達した後も128kbpsに制限されるはずが、急遽1Mbps制限へと変更された。

月5GB/1Mbps、ストレス減?

 これまで予告されてた月間2GB、128kbpsというauローミングエリアの仕様は、楽天モバイルエリア内の使い放題と比べ、大きなギャップがあった。

 2GB→5GBという変更は、使い放題と比べると、まだギャップがあるところだが、通信速度制限が1Mbpsへ緩和されることはストレスをかなり軽減しそうだ。

 1Mbpsであれば一般的なWebサイトやゲームも利用しやすいスピード。高精細な映像コンテンツは厳しいかもしれないが、標準画質の動画ならばそれなりに楽しめそう。

 いわゆる住宅地では、筆者が住む埼玉県南部の街もそうだが、サービスエリア内の都市としてカウントされていれば、屋外では電波が届いているものの、屋内では届かず、au網につながるパターンはまだまだあるはず。都内でも、たとえば地下鉄はauのローミングとなり、従来スペックの「2GB/128kbp」ではかなり厳しい――とお伝えしようかと考えたものの、繰り返しになるが「5GB/1Mbps」であれば、さほど不満は出ないように思える。

 ユーザーにとっては思わぬ改定で、歓迎したいところだが、楽天モバイル自身にとっては、その分、au側へ支払う費用がかさむことが容易に想像できる。2~3年後、積み重なったその費用が楽天モバイルのサービス品質へどのような影響を与えるのか、あるいは与えないのか、決算会見などのタイミングで、キーパーソンからメッセージが出るのだろうか。

 ちなみに楽天モバイルとKDDI(au)のローミング契約は2026年3月末までの予定だ。ただし、「各都道府県ごとに、楽天モバイルの自前エリアの人口カバー率が70%を上回ると、両社が協議し、その都道府県でのローミング提供の継続・終了を決める」とされている。このあたりが楽天モバイル自身のエリア構築にどのような動機付けをすることになるのかも気になるポイント。このあたりも楽天モバイルのキーパーソンから、メッセージが欲しい。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、サービスインにともなうセレモニーは開催されなかったが、サービス開始日にユーザーが不満を覚えそうなポイントへ突然、改善を図った楽天モバイル。エリア拡充は引き続き求められるところだが、三木谷氏は8日、「日本の家計に占める通信費を下げる」とコメントの中で触れた。第4の携帯電話会社として、料金をどこまで引き下げることができるのか。

 2019年9月ごろまで、楽天モバイルはコアネットワークに関する説明は行いつつも、エリア展開の状況を含め、事業の進捗などを開示する機会が、過去の新規参入事業者と比べ極端に少なかったように思える。人と人をつなげるコミュニケーション面でのライフラインを担い、緊急通報など命に関わる場面で重要な役割を果たす立場となるだけに、完全仮想化コアネットワークという技術面に加えて、各地のエリア構築の状況や、ユーザーサポートの体制、継続的な事業運営に関する情報など、事細かな発信にも引き続き期待したい。

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