ニュース
「Lenovo Tech World Japan」開催、全AIを束ねる「Qira」や“画面が伸びるThinkPad”・フォルダブルスマホのモックを披露
2026年2月17日 20:00
レノボは17日、「Lenovo Tech World Japan 2026」を開催し、次世代のAI戦略「ハイブリッドAI」の展望を明らかにした。同社は「Smarter AI for All」というビジョンを掲げ、個人向けデバイスから企業向けサーバー、クラウドに至るまで、あらゆる領域にAIを浸透させる方針を示した。
個人と組織のデータを守る「ハイブリッドAI」
レノボのアジア太平洋地域プレジデント、アマール・バブ氏は、現在のAI環境がクラウド、企業、個人の3層に分かれていると説明した。同社が提唱する「ハイブリッドAI」は、これらを最適に組み合わせるコンセプトだという。
特にセキュリティの観点では、スマートフォンやパソコンといった個人デバイスや、企業のオンプレミス環境でデータを処理する重要性を説明した。すべてのデータをパブリッククラウドに預けるのではなく、手元のデバイスで推論を実行することで、個人のプライバシーや企業の機密情報を守りながらAIの恩恵を受けられる環境を実現する。
2030年には推論が市場の75%に
レノボ・ジャパン代表取締役社長の檜山太郎氏は、AI市場が「学習」から「推論」へと大きくシフトしている現状について説明した。同社の予測では、2030年までにAI投資の75%が推論関連になるという。
これまでAIはデータセンターでの大規模な学習が中心だったが、今後は消費電力の効率化やデータ転送量の削減を背景に、パソコンやタブレット、エッジサーバーなど、ユーザーに近い場所での推論がビジネス競争力の鍵になると見込まれる。
FIFAとのパートナーシップも
スポーツ分野では、FIFAとの公式テクノロジーパートナーシップについても説明された。2026年の男子ワールドカップおよび2027年の女子ワールドカップにおいて、レノボはAIを活用した運用支援を担う。
たとえば、3Dリアルタイム再構成技術によるVARの高度化や、審判のカメラ映像をAIで補正する技術などの導入が予定されている。
AIエージェント「Qira」とデバイスの連携
個人向け施策として、CES 2026で発表されたAIエージェント「Qira(キラ)」が紹介された。Qiraはスマートフォンやスマートウォッチ、パソコンなど複数のデバイスを横断して動作し、ユーザーの視覚・聴覚情報や利用状況をもとに、個々のライフスタイルに適応する。
Qiraは単一のAIモデルではなく、複数のAIモデルやエージェントを統合する「オーケストレーションレイヤー」として位置付けられる。マイクロソフトのCopilotやOpenAIのChatGPT、グーグルのGeminiなど、用途ごとに存在するAIを連携させ、タスクに応じて最適なAIを選択・活用する司令塔の役割を担う。
その基盤となるのが、ユーザー固有の「コンテキスト(文脈)」。デバイスの利用履歴や個人の記憶、経験といった情報をナレッジベースとして蓄積し、それをもとに最適なAIモデルを選択する仕組みを採用している。
また、こうした個人データはクラウドではなくユーザーのデバイス内で保持・暗号化される。独自の同期技術「BlobSync」により、外出先ではスマートフォン、オフィスではパソコンといったように利用するデバイスが変わっても、安全にパーソナライズされたAI体験を継続できる。まずは英語版から提供され、日本語版の展開も予定されている。
大和研究所が開発するAI時代の新ハードウェア
日本の大和研究所による研究開発も紹介された。同研究所は「ThinkPad」誕生以来、設計・デザインを担ってきた拠点であり、近年はAI時代に適したデバイスの研究を進めている。
その一例として、CES 2026でも展示された「ThinkPad Rollable XD」が紹介された。通常は13インチのノートパソコンだが、画面上部に触れると有機ELディスプレイが縦方向に約50%伸び、16インチ相当まで拡張できる。
画面が上方向に拡張されることで視線移動が自然になり操作性が向上する。また、パソコンを開かなくてもボイスコマンドで操作できるシーンを想定し、天板側にもタッチ対応の液晶ディスプレイを搭載した。
デモでは、天板のサブディスプレイを使ってQiraと音声対話を行い、スケジュール確認やリマインダー設定を行う様子が披露された。対面翻訳機能も想定されており、天板ディスプレイを活用することで、リアルタイムで翻訳結果を視覚的に表示できるという。
レノボは、大和研究所を通じて日本発のイノベーションを世界に展開するとともに、「Qira」によって分散したAI体験を統合し、信頼性の高い新たなデジタル体験の提供を目指すとしている。
CES 2026で発表されたスマートフォンなどの展示も
このほか、カメラとマイクを備えたウェアラブルデバイス「Project Maxwell」も披露された。視覚情報のデータ化やリアルタイム翻訳、聴覚障害者向けの音声文字起こし、視覚障害者向けの画像音声解説などの活用例が紹介された。これらはクラウドを介さずデバイス上で推論を行うことで、リアルタイム性とセキュリティの両立を図る。
また展示コーナーでは、Maxwellのほか、同社初の横折りフォルダブルスマートフォン「motorola razr fold」のサンプル(モックアップ)なども展示されていた。



































