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「ドコモの料金半額なら株主増えるのでは」、NTTの株主総会に株主還元強化を求める声

 NTT(持株)が第39回定時株主総会を開催した。会社提案の余剰配当金ならびに取締役の選任に関する議案が可決された。

IOWN・6G、標準化の道

 出席した株主からは「IOWN」の先行きについて懸念する質問があった。NTTグループが進めるIOWNや6Gに関する研究開発は、ITU(国際電気通信連合)で標準化が決まったものではないことから、かつての「mova」で採用された通信規格「PDC」のように日本のみの採用で留まる可能性が指摘された。

 NTT 川添副社長はIOWNについて、極めて大きなチャレンジとして現在でも複数の事業者と連携しているもののまだ十分ではないとも語る。ITU 電気通信標準化局の局長にドコモ出身の尾上誠蔵氏が就任したことから、連携してIOWNの標準化などを進めていきたい考えを示した。

NTT法改正で安保リスクは

 同社では、NTT法の改正について研究開発成果の普及責務が撤廃されたことで他事業者との連携を強化することができたるようになったとその意義を示す。一方で、安全保障上の懸念を示す株主の姿もあった。同法見直しの議論では政府保有の義務を見直す動きもある。

 NTT 廣井副社長はこれについて「政府が国益の観点から検討する課題。しかし我々としても国のインフラが守られるよう対策してほしいと述べている」と主張。加えて市場に影響が出ないよう配慮を求めているとも回答した。

株主還元に提案「ドコモの料金半額」

 NTTでは2023年に株式分割を実施。1株25分割として、投資家の負担を軽減することでより多くの出資を募る狙いだった。

 しかし、ある株主は、公募増資の噂を背景に株価が下がっていると指摘。一定数以上の株式を保有する株主を対象に、スマートフォンを買い替える際の「手数料無料化」「ドコモ光50%割引」「ドコモの基本料金半額」などでNTT株が売られにくくなると対策を提示した。株式を売られにくくすると同時に、新たにNTT株を求める人が増えることを見込んだ考えだ。

 ほかに、会場からは株式分割に伴い、配当金に関する事務作業の増加によるコスト増や100株から優待制度の対象とする現状は過剰ではとする声もあった。

 廣井副社長は「株価が株主の期待に応えられていない点は大変厳粛に受け止めている」としたうえで、各方面から意見をもらっているとしつつ「業績の見通しが弱いのが大きな原因」と株価低迷の要因を説明。一方で業績は堅調な推移ともしており、成長分野で積極的に投資、既存事業で効率化を進めて業績を回復させ、株価上昇につなげていくとした。

 島田社長も「NTTグループ各社の社長も、中期戦略を気合いを入れて進めていくと方向性を合わせた。株主のサポートで業績を高めて株価を上げられるように一生懸命努力する」と語った。