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ソフトバンク、2020年度の業績予想を上方修正――売上高5兆円超えの見通し

 ソフトバンクは、2021年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は3兆8070億円(前年同期比+1990億円、+5%)、営業利益は8416億円(同+465億円、+6%)、純利益は4338億円(同△28億円)となった。

 売上高をセグメント別にみると、ヤフーが+15%と法人が+8%でこれら2部門が売上高を押し上げた。営業利益のセグメント別も同様に、ヤフーが+15%と法人が+21%となった。

売上高
営業利益
純利益

 2020年度の通期業績予想の進捗率をみると、高い進捗率となっていることから、通期予想の上方修正を実施する。期初予想4兆9000億円としていた売上高を5兆1000億円(+2000億円)に、営業利益を9700億円(+500億円)に、純利益を4900億円(+50億円)に修正する。

代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内 謙氏

 同社代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内 謙氏は、上方修正の理由として「法人のテレワーク関連ビジネスの予想を上回る利益貢献」や「巣ごもり需要でのヤフーのeコマースの成長」「モバイルの契約数の順調な推移」「流通事業で行政の大型ICTプロジェクトを受注できたこと」を挙げた。

 「アナリストからは、利益性を心配されているが、ポーションはうまく狙っていたパターンで事業の多様化が進んできた」(宮内氏)ことから、非通信事業の成長がソフトバンク全体の成長を押し上げた格好だ。

強い伸びを見せた法人部門

 法人事業では、テレワーク需要が追い風となって、営業利益が前年同期比21%増益を達成した。宮内氏が社長に就任したときから約倍増した形となり「これからも期待している」とコメント。特にクラウドとIoT、セキュリティが増収を牽引した。

 「技術と法人が一体となって進んでいる。5Gが本格的になると、この領域が爆発すると予想」(宮内氏)しており、今後もデータセンターといった“クラウドコンピューティング”などに力を入れていく。

 また、デジタルを活用した「コミュニケーション革命」も進めていく。ソフトバンクが行ってきた「業務の自動化に向けたデジタルオートメーション」で効率化やコスト削減してきたノウハウを、日本のさまざまな企業に広げていくという。対法人の営業についてもデジタル化し、対面で面談できない今だからこそデータをベースにした遠隔での営業活動を行っていく。

宮内氏

 対法人の営業では、デジタル人材と法人サポート部隊を育成し、企業の個別課題を解決していくという。

 宮内氏は、「ネットワークだけ、スマホだけ、データセンターだけから、企業のビジネスモデルをデジタルと掛け合わせて変革していく。ソフトバンクの持つノウハウを、コンサルタントからサポートまでのソリューションとして提供していく。」と紹介した。

5Gネットワーク一番乗りを目指す

 基地局整備を続けている5G通信サービスだが、2020年度末に約1万局、2021年度末には5万局を整備し、人口カバー率90%を超えることを目指す。「5Gスマートフォンや企業のデジタライゼーションに先行投資していく」(宮内氏)とし、今後も投資の手を緩めない。

 また、宮内氏は「5G通信は、多数同時接続から自動運転、スマートシティ、物流関係、倉庫のオートメーション化などに関連し、来年から再来年にかけて、あらゆるものが一気に動き出す」とコメントし、今後もほかの企業などと取り組んでいくとした。

コンシューマ事業は増収維持

宮内氏

 コロナ禍で厳しい予想をたてていたコンシューマ事業については、増収を維持し、営業利益も堅調に推移した。

 スマートフォンの累計契約数はソフトバンクとワイモバイル、LINEモバイルの3ブランド合計で前年同期比8%増を達成している。特に、1月は前年同月比5割増しで新規契約数が伸びている。宮内氏は「学割ユーザーの伸びが好調」とコメントしている。

 また、楽天モバイルの新料金に関しては「ワイモバイルも負けていない」(宮内氏)とし、固定通信や家族で契約するユーザーが多いと明らかにした。

 また、ワイモバイルで今後5G通信サービスをスタートさせることにあわせ、iPhone 12シリーズを新たにワイモバイルブランドで取り扱うと発表。「ソフトバンクはおとなしいと言われがちだが、しっかりと攻撃を仕掛けていきたい」とコメントした。

 なお、iPhone 12の既存周波数のNR化(4G周波数を利用した5G通信サービス)への対応について、宮内氏は「3月末~4月くらいのソフトウェア更新で対応するかも……」と漏らした。