インタビュー

スマホアプリ「My J:COM」が目指す“スーパーアプリ”の姿とは

 CATVや携帯電話サービスを展開するジュピターテレコム(J:COM)が、1月25日、スマートフォンアプリ「MY J:COM(マイ ジェイコム)」の提供を開始した。豊富な映像コンテンツを展開する同社では、「MY J:COM」を“スーパーアプリ”と位置づけ、同社のサービスをまとめて提供する。

 「スーパーアプリ」と聞けば、コードレス決済アプリを思い浮かべる人がいるかもしれない。しかし「MY J:COM」に決済機能はない。はたして「MY J:COM」はどういった機能を備えるのか。

MY J:COMの主な機能

 その名の通り、J:COMユーザーを主な利用者として提供される「MY J:COM」は、上から「テレビ」「ネット」「サポート」「マイページ」というカテゴリーに分かれてメニューアイコンが並ぶ。

 テレビは放送中、あるいは放送予定の番組をチェックでき、DiXiM Player for J:COMなどの視聴用アプリを別途インストールすることで、「MY J:COM」からスマートフォンで、J:COMのテレビサービスで提供される番組を楽しめる。

 「ネット」は、J:COMの宅内向け固定通信サービスに適した機能で、通信速度が遅い場合など、ワンタップで診断を進めて、通信速度、パケットロス、PINGなどをチェックできる。ここで取得したログは、サポートセンターへもし問い合わせる場合も、ユーザーが同意していれば自動的に活用できるようになっている。サポートセンターが稼働していない夜間にトラブルが発生し、その段階で「ネット」機能を使ってログを残しておけば、後日、あまり詳しくないユーザーであっても、そのデータをサポートに提供でき、トラブルの解析に役立てられる。

 そしてサポートは、J:COMの各種サービスを利用する上で、わからないことがあれば調べられる機能だ。サービスだけではなく、セットトップボックス(STB)やリモコンといったハードウェアに関する情報も用意されている。サポートセンターへ電話せずとも、アプリですぐに解決策を探れるという流れだ。

 2021年1月の無人のデジタル窓口の利用動向は前年同月の約20倍にまで伸びている状況とのことで、同社でもユーザーのニーズを感じており、「MY J:COM」登場で、さらに利用が加速すると見込んでいるという。

ユーザーがたどる道筋を助ける

 スーパーアプリとは、さまざまな機能を統合し、日常のなかで活用できるアプリのことだ。

 「MY J:COM」はコードレス決済機能がない。だが、アプリひとつで、J:COMのサービスをスムーズに使えるようにして、わからない点もサポートする。J:COMとともにある日常のさまざまな場面で役立つことを目指した、という意味で“スーパーアプリを目指した”ことがわかる。その開発にあたっては、実際に決済系のスーパーアプリを研究した。

 その根底には、ユーザーの体験を向上させたいという同社の考えがある。

 もともとJ:COMは、全国各地に拠点を構え、地域に密着した活動を進めてきた。いざとなれば顧客のもとを訪れ、スタッフが直接説明したり、手助けしたりする。そうした環境は、ITやテクノロジーへのリテラシーが高くない人には役立つ場面がある。その環境に加えて、デジタル面での体験を強化することを目指すアプリが「MY J:COM」という位置づけだという。

 2020年8月から開発が進められ、半年でローンチしたとのことで、開発は急ピッチで進められた。実は、J:COMには、50ものアプリが用意されているとのことで、「MY J:COM」がそれらのハブとしての役割を担う。

 「MY J:COM」は、楽しめる要素、サービスを使いやすくする要素、困っているときに役立つ要素、そしてユーザーへの情報提供という4点を軸に開発が進められる。たとえば地域との密着性を活かし、ユーザーの居住する地域のゴミ収集情報、行政からのお知らせといった情報配信も視野に入れる。

 現在も、非加入者でもプレゼントへの応募ができるとのことだが、今後、何らかの機能追加が検討されるという。

 これらの機能拡充で、J:COMのサービス群における中心、ハブを目指し、さらにJ:COMファンが増えるような仕掛けも取り入れたいと担当者。テレビ、ネット、携帯電話とトータルパッケージで提供する同社ならではのアプリとして、今後も進化が図られる。はたして本当にユーザーにとって困る場面に役立つのか、ITリテラシーが高い人でも便利に感じられる機能がどう取り込まれるのか、注目していきたい。