【MWC19 Barcelona】

HMD Global、5眼カメラ搭載の「Nokia 9 PureView」を出展

 ノキアブランドの携帯電話を手掛けるHMD Globalは、「MWC19 Barcelona」に合わせ、背面に5つのカメラを搭載した「Nokia 9 PureView」を発表。ノキアブースに実機を展示した。

背面に5つのカメラを搭載した「Nokia 9 PureView」

 PureViewの名称は、かつて、ノキア自身が携帯電話端末を手掛けていた時代に使われていたもの。2012年に登場した「Nokia 808 PureView」は、41メガピクセルカメラを搭載し、1/1.2型とセンサーサイズも高級コンパクトデジカメ並みに大きかった。

 PureViewブランドを冠して復活したNokia 9 PureViewだが、高画質化の仕組みは2012年のNokia 808 PureViewとは大きく異なる。HMD Globalの担当者によると、「コンピュテーショナルフォトグラフィー(コンピューターの演算によって写真を作り出す方法のこと)のために、2つのRGBカメラ、3つのモノクロカメラを搭載した」という。撮影時には、これら5つのカメラを同時に使って映像を記録し、1枚の写真に合成する。

 また、距離を正確に測定するための「TOF(Time of Flight)」も搭載。背面には、これら6つのセンサーとフラッシュ、計7つの円が並ぶ独特なデザインになっている。レンズはZEISSブランドを冠したもので、背面にはそのロゴもあしらわれている。

中央の下から2つがRGBカメラで、ほか3つはモノクロカメラ。ZEISSロゴの左右にはフラッシュとToFセンサーが並ぶ

 これによって、取り込める光の量が10倍と大幅に上がり、暗所撮影に強くなるほか、露出を変えて撮影した写真を合成することで、HDRの効果も得られる。実機で試し撮りしてみたが、撮影後、すぐに撮った写真を開くと、バックグラウンドで合成処理が行われていた。Nokia 9 PureViewには、ハイエンドモデル向けの「Snapdragon 845」が搭載され、メモリ(RAM)も6GBとスペックは十分だが、それでも処理にはある程度の時間がかかってしまうようだ。

暗所でもディテールがしっかり残っており、ノイズも少ない
明暗差の大きな場所でも、白飛びや黒つぶれがない
通常撮影のモードで、深度情報を付与できる
撮ったあと、すぐに写真を開くと、処理の最中であることが分かる

 カメラはボケモードを備えているが、深度情報は通常撮影モードの際に付与される。写真の編集機能で、フォーカスを合わせる場所や、被写界深度を変更することも可能だ。高画質な写真が撮れる端末なだけに、RAW DNGでの撮影もサポートする。カメラは5つとも12メガピクセル、F値1.82とレンズも明るい。

深度やフォーカスの位置は、あとから変更できる

 HMD Globalは、差別化戦略の一環として、グーグルとの協力関係を重視しており、Android OneやAndroid Go Editionを積極的に採用。OSアップデートや、セキュリティパッチの提供も、グーグルのルールにのっとる形で実施している。Nokia 9 PureViewもハイエンドモデルながらAndroid Oneを採用しており、ユーザーインターフェイスは“素のAndroid”に近い。

 チップセットは最新モデルと比べるとやや古いが、ハイエンドモデルとして機能もスペックも充実している。内蔵ストレージは128GB、ディスプレイは5.99インチのQHD+、指紋センサーは画面内に埋め込まれている。大きさは155×75×8mm。重さは172g。スペックが高く、カメラにも強い特徴があるモデルだが、価格は699ドル(7万7440円)と、ハイエンドモデルにしてはリーズナブルだ。グローバルでの発売は3月を予定する。

厚さは8mmで、ハイエンドスマートフォンでは一般的な数値
底面にはUSB Type-C端子を備える