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「爆発の恐怖」への終止符か? 次世代・マクセル半固体電池がモバイルバッテリーの正解かもしれない
2026年2月2日 00:00
昨今、モバイルバッテリーの発火や炎上事件が後を絶たない。大手メーカーによる数十万台単位のリコールも記憶に新しく、利便性と引き換えに我々は常に「火種」をバッグに忍ばせているのが実情だ。
こうした背景から、従来の液体電解質を用いるリチウムイオン電池に代わり、安全性を飛躍的に高めた「リン酸鉄リチウム(LFP)」や「半固体電池」が注目を集め始めている。
これらは発火しにくい構造に加え、サイクル寿命が長いという大きな利点を持つ。現在はまだ従来型に比べて価格は高めだが、市場の拡大とともに価格差は縮まっていくだろう。安全への投資として、この次世代バッテリーをどう評価すべきか。
筆者は今回、コンパクトかつ安価な選択肢として登場した「マクセル(maxell)半固体電池(5000mAh)」を購入した。その実力を詳報したい。
筆者は日頃、バッテリーを酷使するモバイルゲームを嗜む方ではないため、それほど多くの予備バッテリーは必要ない自覚があった。しかし、改めて身の回りを確認してみると、驚くほど大量のモバイルバッテリーが発掘された。
発火事件の報道を受けて以来、念のために「LIPO GUARD(リポガード)」といった防炎袋も導入してみた。だが、ただでさえ嵩張るバッテリーを袋に入れて持ち運ぶのは、機動性を著しく損なう。安全は欲しいが、面倒なのは御免だ。
そこで筆者が辿り着いたのが、電池自体の構造を変えるという選択である。安全性が高いとされるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと、今回紹介する半固体電池を相次いで導入した。
マクセルのパッケージを開封すると、本体のほかにUSBケーブルと取扱説明書が同梱されている。リポガードに入れて使う従来型に比べ、この半固体電池は「裸」のままでも高い安全性が担保されているため、圧倒的にコンパクトだ。
マクセル「MPC-CSSB5000」の外観は、非常にマットで落ち着いた質感だ。重量は実測で134g。容量は5000mAhと控えめだが、その分、手のひらに収まるサイズに仕上がっている。
本体背面を確認すると、PSEマークの横に「5V3400mAh」という記載が見つかった。これは昇圧ロスなどを加味した定格容量と思われる。製造は中国だが、国内老舗メーカーであるマクセルブランドの品質管理には期待したい。
入出力ポートは、最近のトレンドに則りUSB Type-C(入出力兼用)とUSB Type-A(出力専用)の2ポートを備える。
パッケージのスペック表を読み解くと、非常に興味深いデータが並んでいる。最大の特徴は、繰り返し充電回数が約2000回に達することだ。一般的なリチウムイオン電池が約500回であることを考えれば、実に4倍の寿命を持つ計算になる。
ただし、充電時間は0%から100%にするまで、5V/3A以上の入力でも3時間を要する。急速充電の極致を求める製品ではなく、あくまで「安全性と長寿命」に軸足を置いたプロダクトであることがうかがえる。
さて、肝心の実測テストだ。筆者のメインスマホである「Galaxy Z Fold7(バッテリー容量4400mAh)」を用い、「シンプルバッテリーグラフ」アプリでデータを取得した。
残量20%からスタートし、100%に達するまでにかかった時間は124分であった。Galaxy Z Fold7の容量の80%分、すなわち3520mAhを充電した計算になる。半固体電池側の残量は、この時点でほぼ空となった。
リチウムイオン電池の放電効率や電圧変換ロス(一般的に30%程度)を考慮すると、5000mAhの容量から約3500mAhを供給できた本機は、スペックに対して非常に誠実な出力特性を持っていると言える。
また、昨今のスマホの多くは、バッテリーの劣化を防ぐために「80%~90%までの充電」を推奨する機能を備えている。筆者の設定も90%で停止するようにしている。
そこで、90%までの充電時間も確認してみたところ、こちらは96分で完了した。100%まで粘るより28分も短縮できる。
この時の半固体電池側の残量インジケーター(4個のLED)を確認したところ、4個目が点滅しており、残量は25%以下を示していた。計算上は(90%-20%)=70%分の充電(3080mAh)を行ったことになり、インジケーターの挙動とも整合性が取れている。
数日間、この半固体電池を実戦投入して感じたことがある。確かに本機は、同容量のリチウムイオンバッテリーに比べると10%~20%ほど重い。これは、電解質の固体化による材料密度の違いや、万が一の物理的衝撃に耐えうる堅牢な構造を採用しているためだろう。
しかし、その重さと引き換えに得られる安心感は大きい。最も顕著だったのは「温度」だ。スマホへの充電中、従来のリチウムイオンバッテリーであれば、手で触れると明らかな熱を感じるものだが、この半固体電池は驚くほど温度変化が少なく、ほんのり温かくなる程度であった。この低発熱性こそが、発火リスクの低さを雄弁に物語っている。
スペック、重量、温度変化。これらを実体験した結果、筆者は「これこそが家族に持たせるべきバッテリーだ」と確信した。容量優先の重い10000mAhではなく、この5000mAhモデルを家族全員分、買い増すことに決めたのである。
| 商品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| 半固体電池採用モバイル充電バッテリー | 電響社 | 3980円 |
【お詫びと訂正】
記事初出時、発売元をマクセルとしていましたが、正しくは電響社です。お詫びして訂正いたします。













