本日の一品

離れていても位置がわかる、ロック解除できる! 4G LTE内蔵の特定原付「glafit NFR-01Pro」

 特定小型原動機付自転車(以下、特定原付)という言葉を耳にすると、ほとんどの人は「危険な乗り物」「いつ事故を起こすかヒヤヒヤする」といったイメージを持つかもしれない。しかしそれは、キックボードタイプの乗り物を想定しているからではないだろうか。

 自転車タイプの特定原付であれば、タイヤが大きいため路面に多少の凹凸があっても(砂利道も!)危なげなく乗り越えられるし、座って乗車するためキックボードと比べ重心が低くなり安定性が増す。自転車タイプなのだから、当たり前といえば当たり前なのだが。

 モビチェン(原動機付自転車と自転車を切り替えること)できる「glafitバイク GFR-01」を2017年に発売後、同様の乗り物を開発、販売してきたglafitが満を持してMakuakeでクラウドファンディングを始めたのが「glafit NFR-01Pro」(以下、NFR-01Pro)だ。

glafit NFR-01Pro

 NFR-01Proは、自転車タイプの特定原付で、タイヤ径は14インチ。後輪には盗難対策のためのサークル錠が標準装備されている。

 ハンドルは92cm~102cm、サドルは72cm~85cmの高さで可変、48V、9.6Ah容量のリチウムイオンバッテリーを内蔵し、最大46km走行できる。モーターの出力は500Wだ。

バッテリーは取り外して室内で充電できる。集合住宅などで車両を部屋まで移動させられない場合や、出先の電源を借りられるカフェなどで充電する場合に便利だろう
バッテリーを車両から取り外すのには鍵が必要。バッテリーだけが盗まれるリスクはほとんどない
前後ともにディスクブレーキを採用

 そのほかの特定原付同様、モードボタンで電動バイクモードと特例特定原付モード(以下、特例モード)を切り替えられる。

 電動バイクモードでは最高時速20km、特例特定原付モードでは最高時速6kmで走行可能。特定原付の交通ルールを含めた改正道交法に沿った仕様となっている。

電動バイクモードと特例モードを切り替えられる。特例モードでの走行中は「最高速度表示灯」と呼ばれる緑のランプが点滅する。ディスプレイにスピードメーターの表示がないのが気になった

 もっとも、NFR-01Proをユニークな存在としているのは4G LTE通信をサークル錠に内蔵したスマートロックを採用しているというところだろう。

 Bluetoothではなく、携帯電話と同じ通信方式で通信できるので、離れた場所にいてもNFR-01Proのバッテリー状態やロック状態を確認できる。また、どこに停めたのか忘れてしまったときでも車両の位置を正確に把握できるので、見失うことがないというメリットがある。

NFR-01Proのスマートロック。4G LTEのほか、Bluetooth、NFC、GPSにも対応している。マスターキーは付属する黄色いNFCタグだ
NFR-01Proの位置を正確に地図上に表示する。ロックがかかっていれば、リモートで解錠することもできる。家にあるNFR-01Proを(できれば何かしら乗り物の免許を持つ)家族が使いたい場合などに便利だろう
マスターキーのほかに、スマホまたは交通系ICカードなどを2つ解錠用NFCタグとして追加できる

 もう1つ、NFR-01Proの特異な点は、専用スマホアプリでの「交通ルールテスト」合格しないとNFR-01Proに乗れない、ということだ。

 特定原付は「免許不要、16歳以上なら誰でも乗れる」とアピールされているが、免許を持っていない人は基本的な交通ルールを学んでいない可能性が高い。車道の逆走、電動バイクモードでの歩道走行、危険な右折など交通事故を起こす危険運転をしてしまうかもしれない。

 そこで、glafitでは新たな試みとして、たとえお金を出して買ったとしても、専用アプリ内の交通ルールテストに合格しないとNFR-01Proの電源が入らないようにしたのだ。

特定原付を安全に乗るのに最低限必要な交通ルールテストの一部。なお、テストに合格したものの、忘れることがある。その場合は「交通ルールを再確認する」をタップして内容を見直せる

 実は、交通ルールテストに合格しても、それだけでは電源が入らない。自賠責保険証の登録というステップが残っているのだ。そして、自賠責保険加入にはナンバープレート取得が必要なので、乗るためには道交法で定められている手続きを全て行なわねばならないよう仕組み化している。

 「誰でも乗れる」が安全性と引き換えにならないようメーカーとして気を配っていることがよくわかる。

NFR-01Proを乗るためには、「本人確認書類の登録」「交通ルールテストの受験」「車両登録」のステップを踏む必要がある

乗り心地はどうか

 クラウドファンディングのキャンペーンはまだ終わっていないのだが、このNFR-01Proを借りる機会を得たので、実際に乗ってみた。試乗後の感想は、「予想以上にパワフル」というものであった。

 まず、モーターを使っていることもあり、発進がスムーズかつパワフルで驚いた。普段乗っている250ccのバイクより低い“自転車の目の高さ”ということもあり、時速20kmのスピードに驚く。さらに、“上るのに難儀する軽自動車”が続出するような坂道でも、スピードは出ないものの上りきれるパワフルさがあった。

 実を言うと、坂道テストをする前は不安を抱いていた。というのもペダルが付いているものの漕げる仕様ではなく(そもそも特定原付では、漕いではいけない)、人力を追加できない。モーターがフル稼働して焼き切れてしまうのではないかと考えたのだ。危ないと思ったら電源をオフにして通常の自転車のように引いて上がれるだろうという考えもあったが、いずれにしても杞憂に終わった。

坂道チャレンジ。上記の「上るのに難儀する軽自動車続出」の坂道は交通量が多く、周囲の迷惑になると考えたため、動画撮影のために行なった2回目の坂道チャレンジでは“自転車では上りたくないなぁ”と感じる程度の傾斜のある、しかもほとんど車の通らない坂道を選んだ。長い坂道でも危なげなく昇っているのがわかる

 ルールが制定されたばかりであるうえ、キックボードタイプばかりが目立ち、危険な乗り物と捉えられがちな特定原付。乗る人がルールをしっかり確認し、守り、周囲の状況をよく見て迷惑な運転にならないようにすること、また事故を起こしづらい形のものを選ぶことで、市民権を得られるのではなかろうか。

 交通ルールを知らないと電源を入れられず、ほとんどの人が経験したであろう自転車のような形状、かつ出先でも4G LTE通信内蔵で位置を特定できるNFR-01Proは、既存の特定原付が埋められなかった穴をカバーする、楽しくて便利な乗り物だと感じた。

製品名販売元キャンペーン価格
glafit NFR-01Proglafit25万2450円~