スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

正月早々「Galaxy Book 12.0」を購入!

正月早々「Galaxy Book 12.0」を購入!

 去年購入した「Galaxy Note8」(レビュー記事)を年末年始にイジっていましたところ、「やっぱりデジタルペンで落書きするのは楽しいな~」と思いまして。でもスマートフォンだと、そのサイズから描ける範囲が狭く、ちょっと窮屈。そこでアレコレ考え迷いつつ運命のイタズラが絡んだ結果、サムスンのWindows 10搭載2 in 1 PC「Galaxy Book 12.0」(公式ページ)を買っちゃいました。

サムスンのタブレットPC「Galaxy Book 12.0」。Galaxy Note8などで人気のデジタルペン「Sペン」が使えるWindows PCで、付属のキーボードカバーを使えばノートPC然とした使い方もできます。現在日本で購入できるショップはコストコのみで、実勢価格は13万9800円。ちなみに、10.6インチモデルの「Galaxy Book 10.6」量販店やネット通販でも販売されていて、そちらの実勢価格は9万5000円前後のようです。

 Galaxy Note8によりデジタル落書き熱が再燃したこの年末年始ですが、当初は液晶ペンタブレットを買おうかナと調べていたんですよ。ワコムの「Wacom Cintiq Pro 13」(公式ページ)あたり。お値段は実勢価格で12万円前後。……そうだ、ソレ買ってMacにつないで絵を描こう! みたいな。

 ただ、液晶ペンタブレットの類って、頻繁に使うのでなければ案外邪魔になりがち。PCとケーブル接続して、PC側にもタブレット側にもケーブルが2本くらいつながって、13インチだとA4ファイルサイズくらいあって……ん~むむむ。

 あ、じゃあiPad Proでいいのか。とは思うんですが、「Corel Painter 2018」とかを使ってみたいんですよ。ていうか体験版をマウスで使ってみたら「うわ凄い!」と。昔から凄いソフトでしたけど、怒濤の進化を遂げてますね~。

 やっぱり液晶ペンタブがいいな~。Cintiqか~12万円か~。んーむむむ……あ、Windowsタブレットという手があったか。液晶ペンタブみたいなモンだし、デスクトップPCとつなぐとかしなくても、それ自体がPCだし、デジタルペン対応の製品が非常に多いわけだし……じゃあSurface買おうかナ!

 という流れでWindowsタブレットをアレコレ調べていたら、あっこんなのあるのネと「Galaxy Book 12.0」を発見。わりと発売されたばかり(日本では)。そしてGalaxyシリーズということでSペンが使える。調べるとGalaxy Note8のSペンに非常によく似たペンが使えるようで、書き味的にも期待できそう!

 しかもコレ、付属のキーボードは英語配列。国内でPCを買うときに英語キーボード探しで苦労する筆者ですが、Galaxy Book 12.0ならその問題もなし。英語配列派にとっては、けっこー強めに後押しされる要素ですよコレ。

 じゃあコレだGalaxy Book 12.0! これをヨドバシドットコムでポチッと……売ってナーイ! じゃあビックカメラ……あら売ってナーイ! え? なんで!? ……えええ~、コストコでしか買えないらしい~。

 でも去年末にコストコのマイクロファイバータオルの評判を聞いて使ってみたくてコストコ会員になったから、まあ買いには行けるけど……ん~ちょっと購入テンション下がるなあ。なんでコストコのみ? でも10.6インチだとちょっと小さい気がするしなあ。

 そんなところに届いたのが、だいたい2~3日おきに来るコストコのメルマガ。けっこー欲しいコストコ独自商品があるんですけど……いかんせんデカかったり大量だったり。寿司50貫とか青汁パック168包とかプロテインパウダー1900gとか、そういうノリが多いコストコさん。

 なん、です、がっ! そのとき届いたメルマガは! いつもとはひと味違っていたんでした!

コストコから送られてくるメールマガジン。これは1月4日に届いたメルマガです。高品質でお買い得なものがたくさんあるんですが、少人数家族だと量的に買いにくく……あ! なんですと! Galaxy Book 12.0が5000円オフですと! ※画像はコストコメールマガジンより抜粋。

 まさに「液晶ペンタブが~Galaxy Bookが~」と悩んだり迷ったりしていた、そのときにこのメルマガ。しかも明日から4日間のみのセール! これはGalaxy Book 12.0狙いの人が大量に押し寄せて速攻でゲットされちゃう予感! 明日行かねばコストコに! 在庫払底する前にお得に買わねば! ってわけでした。

 実際は在庫豊富であり、多くのお客さんはコストコでノートPCは買ってなくて食品とお酒とか買っている年明け。そんな中、筆者はGalaxy Book 12.0だけ買うという、正月早々マニア気味なおっさんなんでした。

 そんなこんなで購入に至ったGalaxy Book 12.0。使い始めてまだ半月少々といったところですが、このマシンすご~くイイです♪ 落書きっていうかお絵描きマシンとしてとても快適。まずまず高めのスペックがありますので、もちろん仕事にも向きます。てなわけで以降、Galaxy Book 12.0の使用感などについて書いてみたいと思います。なお、詳細スペックやハードウェア概要やベンチマークなどのレビュー記事はPC Watchの「Hothotレビュー」(該当リンク)にありますので、そちらも参考になさってください。

Sペンの書き味はGalaxy Note8くらい良好!

 Galaxy Book 12.0を買って帰った瞬間開梱して光に近い速度でセットアップを完了し、まず試したのはGalaxy Book 12.0付属Sペンの書き味です。ちなみに、Galaxy Book 12.0とGalaxy Note8のSペンは、機能的に互換性がある「ほぼ同種のSペン」で、Galaxy Note8付属のSペンでGalaxy Book 12.0を操作することができ、その逆も可能です。

 で、Galaxy Book 12.0付属Sペンのすが、Galaxy Note8付属Sペンよりも太め長めで、鉛筆やシャーペンなど一般的な筆記具に近いサイズ感です。ペン先のサイズはどちらもデジタルペンとしては極めて細い0.7mm。Galaxy Book 12.0にもGalaxy Note8にも、工場出荷時の付属Sペンには「柔らかいほうのペン先」(硬いペン先も付属しています)がセットされています。

Galaxy Book 12.0に付属するSペン。自然に握れるサイズ感です。
比較するとGalaxy Note8のSペンは「手帳用ペンみたいに細く小さい」ことがわかります。Galaxy Note 12.0付属Sペンは一般的な筆記具とだいたい同じサイズですね。
ペン先は柔らかいタイプがセットされています。これとは別に、硬いタイプのペン先も付属していて、交換して使えます。
付属キーボードカバーに装着して使えるペンホルダーも付属しています。向かって左側の定位置に貼って使います。

 肝心の書き味ですが、Galaxy Note8付属Sペンとだいたい同じで、「ヌルッ、ギュッ」と書ける感覚がナイス♪ 書くときに適度な抵抗感があり、紙のノートにボールペンを当てたときのような柔らかさもあり、違和感なく書いたり描いたりできます。なお、ペン先を付属の「硬いほう」に交換すると普通一般のWindowsタブレット付属ペンの書き味っぽく「コツコツ、ツルツル」という感触になります。

 ほか、ペン先と描かれる線のズレもほぼ感じられず、追従性も十分高い。ディスプレイが有機ELで、物理的に画面表面と表示面の距離が近いというのもあるのでしょうか、ペン先を画面に近づけたときに表示されるポインターとペン先の位置が非常に精密に一致しているという印象があります。これはGalaxy Note8でも同様です。

 細かな印象としては、Sペンの書き味はGalaxy Note8付属Sペンのほうがより柔らかいという感じです。ペン先自体を比べると、なんだか全く同じものだという気がしますが、ペン軸の太さが違うからか、Galaxy Book 12.0付属Sペンのほうが若干書き味が硬いという印象です。

 個人的にどちらが好みなのかと言われれば、断然Galaxy Book 12.0付属Sペン。普通の筆記具とだいたい同じサイズ感なので書きやすいです。書き味の柔らかさとしてはGalaxy Note8付属Sペンのほうが良いと感じますが、その差以上に「手にしたとき違和感のないサイズ感」があるGalaxy Book 12.0付属Sペンが使いやすく感じられます。なので、最近ではGalaxy Note8もGalaxy Book 12.0付属Sペンで使っています。

ペンの機能とアプリ

 Galaxy Book 12.0付属Sペンにはサイドボタンがあります。ペン先を画面に近づけた状態でこのボタンを押すと、初期設定では「エアコマンド」が表示されます。Sペンを活用するためのサムスン独自機能で、ノート(Samsung Notes)の作成や表示、画面の部分・全体キャプチャとそこへの書き込み・保存といった、各種機能のショートカットを使えます。Galaxy Note8にも同様の機能がありますが、Sペンのみの操作でシームレスに手書きメモなどを取っていけるという機能ですね。

Sペンのサイドボタンを押すと、画面の右や左(そのときのSペンの位置による)にエアコマンドが表示されます(左)。中央は「ノートを作成」でノートに書き込んでいる様子ですが、手書き以外にも手書き文字入力を含むテキスト入力や、音声や画像の貼り込みも可能。右は画面表示の一部分を選択してキャプチャ+メモ書き込みができる「スマート選択」を使っている様子です。画面全体のキャプチャ+メモ書き込みは「キャプチャ手書き」で行えます。

 Sペンのサイドボタンは、使わない設定にもできます。使い方やSペンの握り方によっては「サイドボタンが反応して鬱陶しい」ということもあると思いますので、そういう場合は「Book設定」で「何もしない」に設定。また、サイドボタンで「Windows Ink ワークスペース」(Microsoftの解説ページ)を呼び出す設定にもできます。

「Book設定」ではGalaxy Book 12.0用のオプションを設定できます。Sペンのサイドボタンの設定もここで変えられます。中央はSペンのボタン設定を「Windows Ink」にして使った様子。付箋などを手軽に使えて便利です。

 エアコマンドにするかWindows Ink ワークスペースにするか? ですが、率直なところ、Galaxy Book 12.0のエアコマンドはGalaxy Note8ほど強力ではないので、筆者としては付箋がちょっと便利と思われるWindows Ink ワークスペースのほうがいいかな、と。エアコマンドのノートも便利ですが、ずっと高機能なOneNote(公式ページ)が無料で使えたりしますし、Windows Ink ワークスペースから最近使ったアプリなんかも呼び出せますので、Sペンの活用幅がより広がります。

お絵描きは?

 さて、どちらかと言えば「デジタル落書きしたいな~♪」みたいな方向性でこのGalaxy Book 12.0を買ったわけですが、結果から言えば筆者的に大正解でした。12インチの画面は落書きにおいて十二分に広く、また処理性能的にも各種お絵描き系アプリなどを使ってもほとんどストレスがありません。

左は「SketchBook」アプリ(試用版)、右は「Corel Painter 2018」を使っている様子。どちらもほとんどストレスなく使えます。

 購入当初、プレインストールされていた「SketchBook」アプリをちょちょちょっとイジってみたところ、「これは画材として十分イケるな」と思い、次いで「Corel Painter 2018」を試用。大きな問題なく十分快適に使えたので、「Corel Painter 2018」の正規版を購入して使っています。現在は鋭意「Corel Painter 2018」の機能を学習しつつ落書きしている感じです。

 そんなふうなライトユースですが、感じたことを書いてみますと、「Corel Painter 2018」は起動時間が少し長いという気がするものの起動してしまえばだいたい快適。ペンの描画の追従性は十分高く、前述のようにペン先と描画軌跡のズレも感じられないので、自分の動作が素直に画材に伝わって画面上に残るという使い勝手です。描いたものについてPCやアプリを言い訳にできず、自分のテクニック不足がありのままに画面に現れてしまう、とも言えましょう。

 とか言いつつも、少し言い訳っていうか残念な感触を言えば、重い処理が絡むと思われる描画ツールを使うと、ちょっと描画の追従性が悪いです。たとえば「Corel Painter 2018」のペンとして「厚塗りペイント」を選び、素早くペン先を動かしながら描くと、一瞬遅れて描画されます。ほかにも「描画のタイムラグが少しあるペン」はいくつかあるようです。これは恐らく、より高性能なPCで「Corel Painter 2018」を使えば解消するものでしょう。

 でも、そういう「重めのペン」で素早くペン先を動かすようなことをしなければ、全然問題ないレベル。プロの方だとどうかわかりませんが、筆者などの素人・落書きレベルですと「道具は十分上等だから、あとはどんどん描くのみ♪」と気持ちが前に進みます。

 あと画面の光沢。明るめの環境で使うと、ときどき映り込みが邪魔に感じられます。まあ落書きなので、そんなに神経質に「んも~邪魔!」と思うほどではありません。でもノングレアな画面だったらもっと使いやすいと思います。

 いや~しかし、タブレットPCにアプリ入れれば、何の苦労もなくソレが画材になる時代なんですね~。とてもラク。しかも当然、このPCは仕事にも使える。ビジネス用のタブレットと考えると14万円弱は高価な感じですが、気分良く使えるペンタブでありビジネス用PCでもあると考えると、なんか納得しやすい気もします。

タブレットでありノートPCであり、スマホとも連携

 話の順序が逆ですが、Galaxy Book 12.0は2 in 1のモバイルPCです。タブレットPCとしてもノートPCとしても利用できるWindowsマシン。またGalaxy Book 12.0の場合、キーボード部分が本体カバーとしても機能するあたりも特徴的です。以下、利用スタイルを写真で見てみましょう。

Galaxy Book 12.0はタブレットスタイルでもノートPCスタイルでも使えます。ノートPCスタイルでは、画面の角度を3段階に変えることができます。
キーボードを裏返せば、自立させた状態のタブレットとして使えます。この状態でも画面角度は3段階に変更可能。さらに立て掛け方を変えれば、ペン書きしやすい角度になり、液晶ペンタブレット感覚で使えます。
脱着可能なキーボードカバーは、文字通りキーボードであり本体表裏を覆うカバーになります。ただし、本体もキーボードカバーも少し重めで、両方合わせると1.2kg弱になります。

 それとこのキーボード、かなり打鍵感が良いと感じられました。机上に置いて使うと、キーボード自体の剛性感も高いですし、ストロークも1.5mmとそこそこありますし、キーピッチが19mmでアイソレーションという点もいい感じ。英語配列という点も筆者にピッタリ。なお、キーボード左側には付属のペンホルダーを貼って使えますが、なんかちょっとスマートさに欠け、ペンの保護性においても微妙に残念。なので、付属ペンホルダーは使っていません。

キーボードカバーのキーボード部分と、キーボード裏面の定位置に貼り付けて使うペンホルダー。キーボードはとても使いやすく感じられますが、ペンホルダーは微妙という印象です。

 ほかは、まあ、わりとフツーなWindows 10タブレットですが、筆者的にちょっと興味深く感じられた要素がひとつ。「Samsung Flow」というサムスン独自の機能(アプリ)です。これはPCとスマートフォンをBluetoothで連携させることにより、通知を共有できたり、写真などのコンテンツを転送できたり、スマートフォンでPCのロック解除ができたり、あるいはスマートフォンのテザリングをより手軽にPCから利用できたりするというものです。使用条件は、PC側はとくにないようですが、スマートフォン側はわりと新しい世代のサムスン製端末でしか使えないようです。

Galaxy Book 12.0とGalaxy Note8をBluetoothペアリングさせてSamsung Flowを使っている様子。スクリーンショットは、Galaxy Note8の通知がGalaxy Book 12.0にも表示されたものです。このほか、Galaxy Note8でGalaxy Book 12.0のロック解除ができたり、画像をインテントで送信できたりします。

 筆者はおもしろがって使っている感じのSamsung Flowですが、ビジネス用途にGalaxy Book 12.0をバリバリ使いたいサムスン製スマートフォンユーザーにとっては強力な機能になるかもしれません。Galaxy Book 12.0を使っているとき、スマートフォンへの通知も表示されますので、スマーフォトンがバッグに入っていたりしても連絡をよりクイックに受け取れます。スマートフォンで撮った写真をPCに転送して資料に貼り込むといったこともスムーズ。スマートフォンのテザリングをPCからの操作だけで超手軽に利用できたりするのもナイス。

 ただ、筆者の場合はメインに持ち歩いているスマートフォンがiPhoneで、メインのノートPCはMacBook。Galaxy Note8はよく持ち歩くんですが、Galaxy Book 12.0はお絵描き中心のサブ端末で主に室内利用。Samsung Flowの恩恵を受けるユーザー像とはちょっと違うかも、という感じなんでした。

 てな雰囲気のGalaxy Book 12.0。筆者としては、すっごくお絵描きしやすい液晶ペンタブレットとして快適に使えており、十分仕事にも役立ってくれるWindows PCにもなるので、かなり満足度の高い一台となっています。コストコだけでしか買えないというのがネックですが、興味があればぜひ一度実機に触れて、さらにSペンで書いたり描いたりしてみてください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。