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ダイソーのUSB 3.2 Gen2/USB PD 240W対応USB Type-Cケーブルを試してみた
2026年3月4日 00:00
以前、ダイソーのUSB 3.0/USB PD 100W対応USB Type-Cケーブルを試す記事を書きました。その記事では、パッケージに書かれている仕様と、ケーブルに内蔵されているICチップ「eMarker」の内容に齟齬があったことを指摘しましたが、その後製品は改良され、現在は正しい情報を記録したeMarkerを搭載する製品が販売されているそうです。
ところで2025年12月頃より、ダイソーは新たなUSB Type-Cケーブルの販売を始めています。それが今回取り上げる製品です。そちらは、データ通信がUSB 3.2 Gen2、最大10Gbpsに対応するとともに、USB PDの最大通電容量が240Wとされています。今回、遅ればせながら実際の製品を購入しましたので、前回の記事同様にケーブルの素性をチェックしてみたいと思います。なお、販売価格は550円でした。
まずはじめに、パッケージの表記を確認します。パッケージ表には、ケーブル両端がUSB Type-Cであることや、ケーブル長が1mであることに加えて、データ通信がUSB 3.2 Gen2、データ転送速度が最大10Gbps、USB PDの通電容量が最大240W、eMarkerを内蔵していることを明記しています。また背面には、USB PDに関して対応電圧が5~48V、対応電流が最大5A、最大電力が240Wと記されています。この内容を見る限り、かなり高性能なUSB Type-Cケーブルと言っていいでしょう。
ケーブルは、見た目は以前取り上げたUSB 3.0/USB PD 100W対応ケーブルとほぼ同等という印象です。コネクタ保護部分が比較的大きなところや、ケーブルがやや硬めといったところもほぼ同等です。唯一大きく異なっているのが、今回のケーブルではコネクタ部分に「240W」という表記が彫り込まれている点です。これによって、一目でUSB PD 240Wに対応することがわかるようになっています。
では、ケーブルの素性はどうでしょうか。まずはじめにUSB CABLE CHECKER 2を利用してチェックしてみました。すると、USB 3.2の項目ランプのうち、CCと、TX1±/RX1±(コネクタを反転させるとTX2±/RX2±)だけが点灯します。 これは、USB Type-Cケーブルで設定されているUSB 3.x用の全8本のデータ通信用信号線のうち半分の4本のみ結線され、残りの4本と、サイドバンド信号線(SBU1/SBU2)2本が結線されていないことを示します。
つまり、今回も全ての信号線が結線されたフルスペック(Full Featured)ケーブルではないわけです。以前取り上げたUSB 3.0/USB PD 100W対応ケーブルでも同様の仕様でしたが、その仕様は今回も変更されていないということになります。USB 3.x準拠のUSB Type-CケーブルはFull Featuredケーブルしか定義されていませんから、今回のケーブルもこの点を満たしていないことになります。
次に、eMarkerの内容はどうでしょうか。FNIRSIのUSBテスター「FNB58」でチェックしてみたところ、データ通信はUSB 3.2 Gen2対応、ケーブル長は0~1m、最大電圧50V、最大電流5Aであることが確認できました。この内容は、以前取り上げたUSB 3.0/USB PD 100W対応ケーブル内蔵のeMarkerとほぼ同じです。これは、その時と同じケーブルを、仕様を修正して改めて販売したものなのか、とも思いましたが、ケーブル長の情報が異なっていましたので、全く同じものではないでしょう。また、さすがに240Wの電力が流れても問題なく利用できることを確認した上で販売しているはずです。製品パッケージの表記とeMarkerの内容に齟齬は見られませんし、今回はその点は安心していいでしょう。
とはいえ、USB 3.2 Gen2準拠としておきながらFull Featuredケーブルではないという点は問題です。本来USB 3.2 Gen2対応を謳うのであれば、Full Featuredであることが求められますから、これは欠陥ケーブルと言われてもしかたがないでしょう。
ちなみに、データ通信用の信号線が半分しか結線されておらず、サイドバンド信号線も結線されていないことから、DisplayPort Alternate Modeには対応できず、映像出力用ケーブルとして利用できません。実際にノートPCのDisplayPort Alternate Mode対応USB Type-Cポートとディスプレイをこのケーブルで接続してみましたが、当然映像は表示できませんでした。
それでも、データ通信速度は最大10Gbpsの速度が問題なく発揮されるようです。前回と同じようにUSB 3.2 Gen2x2対応で、リード・ライトとも最大2000MB/sの通信速度を誇るSanDiskのポータブルSSD「Extreme Pro ポータブルSSD 2TB」を利用して通信速度をチェックしてみたところ、リード、ライトとも1000MB/s超えを確認しました。データ通信用の信号線が4本しか結線されていないため、USB 3.2 Gen2x2の速度は当然発揮できませんが、最大10Gbpsの速度が発揮される点は間違いないと言えます。
今回チェックした限りでは、確かにパッケージ表記と製品には大きな齟齬はないように見えます。少なくとも、以前取り上げたパッケージ表記とeMarkerの情報が異なるUSB 3.0/USB PD 100W対応ケーブルよりは安心して利用できそうではあります。
とはいえ、本来10本ある信号線のうち4本しか結線されていないという点は、最大10Gbpsのデータ通信が行えるとしても、USB 3.2 Gen2対応Type-Cケーブルとして求められる仕様を満たしていませんので、表記に偽りあり、となります。事実、通常のUSB 3.2 Gen2対応Type-Cケーブルなら問題なく行えるはずのDisplayPort Alternate Modeでの映像出力が行えませんから、映像出力用途を期待してこのケーブルを購入するのは避ける必要があります。
これが、信号線が全て結線されたFull Featuredケーブルであったなら、非常にコストパフォーマンスに優れる製品と言えたのは間違いありません。それだけに、今回も一部仕様に問題がある点はとても残念です。この問題を頭に入れ、そこに納得できるのであれば購入してもいいですが、個人的には今回もあまりお勧めできないという結論です。そのうえでダイソーさんには、USB Type-Cケーブルの仕様をよく理解し、誰もが納得できる正しい仕様の製品を販売してもらいたいと切に願います。













