ケータイ用語の基礎知識

第913回:AirPlay 2 とは

ネットワーク経由で映像や楽曲を再生

 「AirPlay 2」は、iPhoneやiPad、MacのiTunes上にある楽曲や動画といったコンテンツを、ネットワーク経由で他のデバイスへ配信するストリーミング技術です。

 たとえばiPhone内のプレイリストに登録されているコンテンツを、AirPlay 2対応のスマートテレビやミニコンポ、ワイヤレススピーカー、AVアンプなどで再生できます。Apple Musicに加入していれば、クラウドからダイレクトに曲を再生することもできます。

 iPhoneを手がける米アップル社による技術で、iPhone/iPadではiOS 11.4から対応しているほか、iOS 12.3では、対応再生機器にiPhoneやiPadに含まれる写真や音楽などを直接表示もできるようになりました。

 AirPlay 2対応製品は、Apple製のゼロコンフィグレーションネットワーク技術「Bonjour」を利用しており、同じLANなどで接続していればMac上のiTunesやiOSデバイスに自動認識されます。そして画面の機器名にチェックボックスが現れ、チェックしたデバイスはAirPlay 2の管理対象となり、iPhoneやMacからそれぞれ独立して音量調節などが可能になります。

 ちなみにAndroid搭載のスマートフォンでは、グーグルが「Google Cast」という技術を搭載し、対応機器でスマートフォン上の映像や音楽を視聴できるようになっています。

最大の特徴はマルチルーム再生

 Airplay 2は、その名の通り、かねてより提供されてきた「AirPlay」の後継規格です。

 そのAirPlay 2の最大の特徴は「マルチルーム再生」ができることでしょう。iPhone/iPadやMacといったデータ送信元から、対応TV、アクティブスピーカーなど複数のAirPlay 2対応デバイスへ、音楽を同時に送信できるようになったのです。

 家中の複数のスピーカーで同じ音楽を再生することも、部屋ごとに別々の音楽を楽しむこともできます。AirPlay 2 対応のスマートテレビにビデオをストリーミングするのも思いのままです。iPhoneやiPadが再生ソースであればSiriを使って、これらをコントロールすることも可能です。

 もうひとつのAirPlay 2の強化点としては、「バッファ機能の強化」が挙げられます。かつてのAirPlayでは秒単位での先読みバッファしか持っていませんでしたが、AirPlay2では「分単位」でバッファリングを行っています。

 これにより楽曲や映像再生時に音声・映像データだけでなく「同期するための信号」を送ることもできるようになり、結果として、快適な操作レスポンスや厳密な「画と音の同期」が得られるようになっています。

 そのためマルチルーム再生、つまり、異なる部屋違うデバイスで同じ映像・音楽を再生して、いずれのデバイスで再生した映像・音楽もほとんどズレを生じることがありません。

 たとえば、映像のデータソースをMacに持ち、AirPlay 2で、Macでは映像のみ再生、Apple TVで音声のみ再生というふうにバラバラのデバイスで再生してもそのズレを感じることがないのです。

 AirPlay 2の仕組みによって、iOS 11/tvOS 11以降とAirPlay 2対応デバイスの組み合わせでは、では電話の呼び出し音を鳴らしつつ音楽再生を続けることも可能です。

日本ではまだ対応デバイスは少ない

 AirPlay 2に対応しているデバイスは、まだ数は少ない状況です。

 ストリーミング先のデバイスとして「Apple TV 4K、または Apple TV HD(tvOS 11.4 以降)」や、AirPlay 2のラベルや、「Works with Apple AirPlay」と記載されているスピーカーが挙げられます。

 海外では、これにアップルのスマートスピーカー「HomePod」などが加わります。

 基本的には、iPhone・iPadまたはMacがストリーミング元になり、ストリーミング先はApple TVとアップル製品であれば、使いやすいサービスと言えます。

 ただ、サードパーティ製の対応デバイスも増えてきています。AirPlay 2対応スピーカーとして「DENON ネットワークCDレシーバー CEOL RCD-N10」「SONOS Amp」などが発売されています。スマートテレビでは、海外の場合、LG、ソニー、サムスンなどのメーカー製品が登場しています。日本でも今後、登場することを期待したいところです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)