
カナダの クリスマスは
家族で過ごす 特別なシーズン
私が暮らしていた女子寮の子達は
みんな 家族の所に帰省して
寮のフロアには ポツンと私一人が
残った
日本に一時帰国するだけの 余裕はないし
ウチに来ない? と 誘ってくれた子も
いたけれど
カナダに来て いろんなことがあり過ぎて
ここらへんでちょっと 静かに
一人の時間を過ごしたかった
私がカナダのママと呼んでいた
寮長さんの コーレルも 旅行に行ってしまい
寮内にはシスターと用務員のおじさんと
通いの料理人のお姉さんと
私だけ
いつもは 女の子達の嬌声の
響き渡る寮内が
しんっと 静まり返って
時折、聞こえるのは
シスター達の
密やかな足音ばかり
カトリック系の寮だったけれど
煌びやかな電飾を飾ることもなかった
玄関ポーチの大きなツリーと
寮内の礼拝堂の飾りつけくらいで
想像していたよりも 質素だった記憶が
けれど 夕食だけは ゴージャスだった
フランスで修行したコックさんが
腕によりをかけて作った
休暇の間の特別な
クリスマスディッシュ
そして イブのメニューは…
チキンが あったことは覚えてる
けど 他は おぼろ
というのも…
おいしそーと
料理をよそおうと
お皿を持ったら
後ろのテーブルについていた
シスターに
「そこのアジア系のあなた
こっちにきなさい」と
手招きされた
お腹空いてるのになあと思ったけれど
渋々お皿を置いて
シスターのところに 行った
そしたら
「あなた、なんて格好をしているの!
今日は特別な日なのに、よくもそんな
みすぼらしい格好をしているわね
だからアジア人は」
うんぬんかんぬん キーキー
○X△🌀○X△\\\٩(๑`^´๑)۶////🌀○X△」
と 30分近く 前に立たされ
お説教
(ちなみに そのシスターは
食事が済んで お茶タイムに入っていた
怒ると消化に悪いのに)
実は 私、普段着で行っちゃったんですよね
寮内で過ごす時の いつもの格好
トレーナーにジーンズ
それがダメだなんて 知らなかった
(けど、手持ちの他の服もみんなこんな感じ)
そのシスターの厳格な顔と
意地悪そうに捲し立てる様子が
わお まるで
少年少女文学全集によく出てくる
一昔前の
いばりんぼうで怒りん坊の女教師みたいだ! と
そちらの方にばかり 意識がいって
怒られている内容は 左から右へと
スルーして
さすが本場の迫力は違う! と
ちょっと面白がってしまっていたけれど
そこにシスターは三人
他の二人は 当のシスターよりも 遅くきたのか
私たちを見ないふりをして
取りなすでもなく
ただ 料理を黙々と食べていた
クリスマスなのに
30分ほどして やっと解放されると
食堂には私だけが残って
料理も残り物になっていた😢
後から
シスターだって普段の地味なお仕着せで
特に着飾ってないじゃない
それに、私が何を着るかは私の問題で
人種は関係ないからっ
何より人を見た目や人種で判断する方が
どうかと思うーーーーっ
なんて反発心がムクムク湧いてきて
せっかくのクリスマスイブを
プリプリして過ごしてしまった。
今から思えば
ケベックでは 原住民との争いも
頻繁に起きていたし
カナダからの独立を
目指すくらいだから
自分たちのアイデンティティを
強く意識していたのかも
しれないし
移民の数も多いから
仕事や生活の面で危機感を抱いている人も
一定数いたのだろうな
と 今は思うけど
だけどさすがに
せっかくのお料理の味を
(寮で食事をとりますよ と、わざわざ
クリスマス滞在届まで出したのに)
ほとんど覚えていないのは
私なりにショック
仲良しだった コックさんが
後から「今年のクリスマスディッシュ
どうだった?」って聞いてきたけど
「美味しかったよー」しか答えられなかった
ごめんなさい
それ以降の冬季休暇期間は
シスターと鉢合わせしないように
時間調整して ごくごく 平和にすぎ
ホリデイシーズンが終わって
寮の女の子たちが帰ってきた
彼女らは私を見るなり
「せっかくのクリスマスなのに、酷いよね」
「あのシスター、誰にでもあんなだから」
「ほんと、恥ずかしい、ごめんなさい」
「気にしちゃだめよ」
次々と 私に声をかけてくる
いや、そんな、まあ この時代に
あんな人がいるんだって びっくりしたけど
(戦前映画の中に入っちゃったかと思った)
だけど 彼女たち…
そもそも なんで知ってるの?
あの場にはシスター達と 私しかいなかったのに?
他のシスターから 聞いたのかな?
それとも 誰か通りがかった?
だけど なんか
嬉しかった
私の事を気にかけてくれて
人種差別的な言動を
恥ずかしいって思う子達が
私の周りにいてくれて
なにしろ カナダで過ごした
クリスマスイブは
時代を遡ったような見ものに遭遇した上に
自分自身が当事者になったのと
女の子達の優しさとで
忘れられないクリスマスになった
***
生きていると
色んなことが あるけれど
でも きっと誰かがどこかで
優しい眼差しを
向けてくれているはずって 思います
I wish you
a Merry Merry
Merry Christmas♡