
夏の花と言えば
朝顔や向日葵
だけど 私が
夏といって
思い出すのは
何と言っても
実家の車寄せから
中庭とを隔てる
木の門の
姿が見えないくらいに
生い茂りかぶさっていた
オレンジ色の
大きな花の中を のぞけば
そこには
小さな水飲み場のように
たっぷりと溜まった
花の蜜
黒揚羽の好物らしく
何頭もまとわりつくように
飛び舞っていた
朱色と黒の
色の対比も目に鮮やかで
夏といえば
玄関先のノウゼンカズラ と
黒揚羽
子供の頃は
大輪の朱色の花を
髪に飾ったりもしたけれど
この花
強くはないけれど
毒性があるらしいですね
そう言われてみれば
巻きつく相手の姿が見えなくなるほど
生い茂る様子も
大輪の鮮やかな朱色の花も
何やら
見る物を 惑わすような
妖しさを 醸し出しているように
見えなくもない
純和風の実家の庭で
和風とは とても言い難い
姿をしたノウゼンカズラの
巻きついた
木戸のところだけ
ちょっと異質では あった
お華を教えていた
母を差し置いて
我が家の 植物担当だった父は
和風の 楚々とした植物や
野草が好きだったのだけれど
なぜ ノウゼンカズラを
それも
玄関から目立つ箇所に
生い茂らせて
そのままにしていたのかは
今から考えれば 謎
ただ 思うのは
父にとっても
夏の我が家の情景に
なくてはならない
一部になっていたの かも
しれない ってこと
夏に撮った 家族写真には
決まって ノウゼンカズラが
写ってる
なぜか玄関先で
写真を撮ることが多かった
我が家
そういうお家
多くなかったです?
写真を眺めるたびに
まるで 家族の一員のように
家の一部になって
一角を飾る
大輪の朱色の花
それは
ひまわりでも
さるすべりでも
朝顔でも なく
黒揚羽を纏いつかせた
そこだけ
気温が一度くらい
高くなっていそうな
朱色の光を放つ
花の群です