大仏頂陀羅尼について その壱 - 持寶庵のブログでは、大仏頂陀羅尼の尊格は諸説ありますが、白傘蓋仏頂であろうと書きました。
ただ、陀羅尼を訳した部分を見ますと、
仏頂白傘蓋の大反呪詛女尊よ,大千手・千頭・一兆眼女尊よ,光輝ある踊り手よ,大持金剛の三界曼茶羅女尊よ,オーム.吾に声祥あれかし. ※1
とあります。
こちらのお姿は、チベット密教の白傘蓋仏母という人気のある女性尊ではないかと推測されます。
日本では白傘蓋仏母の情報が少ないので幾つか解説されているHPを掲載します。
特に馬場崎研ニ氏のHPには、非常に美しい御尊形とお働きの分かり易い説明文がございます。
日本人チベット・タンカ絵師 馬場崎研二ホームページ v7.70より
☆作品カタログ・作品画面☆0320 v8pp
白傘蓋仏母とは【】2009年10月31日 更新 - 意味・解説 : 考古用語辞典 Archeology-Words
第2部 河口慧海の請来品 -仏教美術資料-
企画展 第2部より
身色は霊山のように白く、千の頭を持ち、千の目を有する。右第一手には法輪(ほうりん)を持つ施無畏印(せむいいん)、左の第一手に宝幢(ほうとう)で飾られた白傘蓋を持ち、左右千足で一切の悪魔を踏む。身には種々の宝珠の装身具を付け、良い天衣(てんね)の上着と下着を纏う。

白傘蓋仏母像
(余談ですが、現代の中国や台湾で描かれる白傘蓋仏母の足下では、信仰の形が変わったのか魔物を踏みつけるのではなく、動物や人が守られるように描かれています。)
さて、白傘蓋仏母には鎮護国家の功徳があり、そこに注目してお祀りされた歴史的人物がいらっしゃいます。
詳細はチベット学者の石濱裕美子氏の下記論文をご覧ください。
パクパの仏教思想に基づくフビライの王権像について
http://echo-lab.ddo.jp/Libraries/日本西蔵学会々報/日本西蔵学会々報%20%20(40)%20(19940331)/日本西蔵学会々報%20(40)%20005石濱%20裕美子「パクパの仏教思想に基づくフビライの王権像について」.pdf
北海闡福寺と乾隆帝の白傘蓋仏信仰について
https://spc.jst.go.jp/cad/literatures/download/1083
注 記事内の聖天は、アールヤデーヴァという高僧のようですが詳細不明です。
自分を転輪聖王に見せるという政治的意図もございましたが、両者共にチベット密教の高僧を招き白傘蓋仏母の寺院を建立して篤く御信仰されました。
御二方の時代は統治は安定し国も非常に栄えたとあります。
以上を鑑みましても、白傘蓋仏の鎮護国家や民衆を守るというお働きは、強力で間違いないと言えましょう。
最後に、浄厳和尚の高弟蓮體和尚が衆生済度のために大仏頂陀羅尼を広められていたと博識な先輩僧から伺いましたので、故事に倣い心呪(陀羅尼の要点)を記しておきます。
こちらでしたら短いので滅罪と結界の災難避けとしてお唱えしやすいかと存じます。
特に霊媒体質の方は霊的な防御が弱いことが多いので、毎日七遍なりともお勤めされると安心が得られましょう。
大仏頂陀羅尼心呪
タニャタ オン アノウレイ アノウレイ
ビシャダ ビシャダ マンダ マンダ
マンダニ マンダニ ベイラ バザラハニ
ハッタ ウン ボロン ハッタ ソワカ
合掌
※1 梵学津梁所収の白傘蓋陀羅尼の研究. 木村 俊彦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk/62/1/62_KJ00008992057/_pdf/-char/ja
※2024年6月6日 白傘蓋仏母像の画像と説明文を変更しました。