
『ともだちのしるしだよ』カレン・リン・ウィリアムズ/カードラ・モハメッド作 ダーグ・チャーカ絵 小林葵訳 岩崎書店
今日の一冊はコチラ。アフガニスタンとパキスタンの国境にあるペシャワール難民キャンプを舞台にした物語。
難民キャンプを知らない子どもが聞いたら、それほど胸に迫るものはないかもしれない。でもね、大人はもうその背景にあるものを思うから、泣けて泣けて仕方がない。難民キャンプの惨状を描いてるというより、友情を描いているんです。でも、ところどころで描かれる現状に胸が痛む。
「おかあさん、なんで泣いてるの?」
と子どもに不思議そうに聞かれました。
難民キャンプに暮らすリナとフェローザ。古着などを分けてくれるトラックが到着した際、二人は、それぞれ真新しいサンダルと片方ずつ見つけるのです。青い花飾りのついた、黄色のサンダル。
10歳のリナは、もう2年も裸足のままだったのです。それだけでも、大人は彼女たちが、どんな生活を強いられてきたか想像できて、胸が痛む。
リナがもう片方のサンダルを履いたフェローザを見つけ、最初に声をかけたとき、フェローザは急に背を向けて行ってしまうんですね。複雑だったんだろうなあ。サンダル守りたかったんだろうなあ。
川で洗濯しているときに再会した二人は、順番こにサンダルを履くというアイディアを思いつきます。
「ともだちのしるしだよ」
って。いたずらっ子の弟たちからサンダルを守ったり、お互いの亡くなった家族の話をして涙したり、二人の距離は縮まっていきます。
ある日、2年待ったすえ、リナのうちほうはアメリカ行きのリストに名前が載ります。でも、フェローザのほうはなくて・・・。
「はだしじゃ、アメリカにいけないでしょ」
とサンダルをリナに差し出すフェローザ。もうね、この辺からうるうるで読めなくなってきます。結局リナはお母さんに革靴を用意してもらい、フェローザにサンダルを渡すのですが、やっぱり片方はあなたが、持っていて、と駆け寄るフェローザ。
「おもいでのサンダルだから」
「ともだちのしるしだよ」
・・・。
・・・。
母、涙でうまく読めない。
20年以上にわたり、難民キャンプで救助活動に関わっていた作者が、ある日
「なぜ、わたしたちみたいな子どもを 描いた本が ないの?」
と一人の難民少女の言葉をきっかけに生まれたそうです。
こういう絵本は手渡さないと読まないだろうなあ。でも、学校の読み聞かせで読むには、タイミングをはかる絵本かもしれない。さらっと何かのタイングで差し出せるといいのだけれど。
心にリナとフェローザという友だちを持った子どもたちは、難民キャンプが他人事ではなくなります。ぐっと身近になる。
大人も読みたい絵本です。