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生きてるって光の存在ってこと



『ロップのふしぎな髪かざり』(2011年)新藤悦子作 講談社 絶版


今日の一冊はコチラ。ジンと呼ばれる精霊をめぐる、心温まる優しいファンタジーです。
ジンとは、アラブの人たちの間で信じられ、恐れられている妖怪・精霊・魔人などの総称。

日本人が海外舞台に、しかも現地の人主人公で物語を書くのって、ずーっと違和感があって敬遠していました。だって、変じゃない?日本人なのに?ちょっとWannabe(外見だけを真似て本質を伴わない)みたいで。

でも、違和感なく、すんなりそれを実現させちゃうのが、新藤悦子さん。梨木果歩さんの『岸辺のヤービ』の世界観にも通じるものがあるかもしれません。

«『ロップのふしぎな髪かざり』あらすじ》
アーモンド島にすむ精霊の女の子ロップはある日、海にうかぶボートの中で眠っていた人間の男の子、バハルを見つける。ジンは気にいった人間にとりついて、その魂をわけてもらうことで一人前になれるため、ロップの父はその男の子にとりついてみるようロップにすすめるのですが…。人間に憧れる精霊の少女ロップとジンの島に流れ着いた人間の少年バハル、そして二人を見守る楽しいジンの仲間たち…。五感で楽しむ珠玉のファンタジー。(BOOKデータベースより転載)



■優しいけれど厳しい現実も

新藤さんって、きっと性善説の人なんだろうな。出てくるアーモンド島のジンたちがみな温かくて、思いやりに満ちていてほっとするんです。ギスギスしてるなあ、と思う時、読むといいかもしれない。優しい気持ちにあふれているのだけれど、決してふわふわ夢見がちなわけでもなくて。バハルは戦争が原因でお母さんと離れ離れになってしまうんです。そんな厳しい現実もちゃんと描かれている。


■部外者だからこそ書ける視点

アラブの人たちにとって、ジンとはその言葉を口にするのもはばかれるくらい恐れられているんですって。悪いジンだけでなくて、良いジンもいるらしいんですけどね、とにかく口にしないほうがいい存在。

なぜジンは人間に憑りつくのか。ジンに対して、潜在的な恐怖感のない新藤さんだったからこそ、人間に憧れるジンの気持ちが描けたのだと思います。ジンは人間と比べて存在自体が薄い、感情も薄い。ジンよりもずっと濃い人間の心の味、感情を味わいたくて、ジンは人間に憑りつく。
そんなジンの物語の絵本も新藤さんは出しています。ロップがジンはジンでも地中海(ギリシアあたり?)のイメージなのに対し、こちらはアラブ舞台で、美しい細密画で描かれてます↓




■ 生きてることは光の存在ということ

これは、書こうかどうか迷ったのですが・・・
このお話、スピリチュアル的にもかなり的を得ているんです。スピ系敬遠してる私としてはこういうのあまり書きたくないんですけどね。

ジンは人間の心の窓が開くと憑りつけるのですが、どういうときに心の窓があくかというと、悩みがあるときなんですね。以前知人のお祓い師の人が言ってたのですが、ネガティブな感情でいっぱいな人は肩甲骨の辺りが開いて、そこから悪霊が出入りするそうです。
一時期長男が手がつけられないくらい荒れていたのですが、このときはその状態。その人が、肩甲骨を閉めてくれたら、ピタっと症状が治まりました。
・・・うっそーん!と思ったけれど、鎌倉あたりでは珍しくない話なんです。まあ、鎌倉自体が墓場みたいなもんですから。

また、バハルは、お母さんを見失ったと分かって意気消沈してから、影が薄くなっているのですが、会話で‟母さん”と口にすると、身体が光を放って輝くんです。ああ、やっぱり生きてるって、光の存在ってことなんだな、ってしみじみ。

個人的な話ですが、亡き母が倒れていたとき、第一発見者だった私。そのとき母とその周りのそこはかとない闇に恐怖で震えしました。吸い込まれそうな底なしの闇。‟死神”を感じました。母はクリスチャンだったので、死は怖くないものだと思っていたのですが、死はやっぱり恐ろしいものだったの?私が思ってたのと違うの?トラウマになりそうでした。

何か月もたってから、ヒーラーをしている元同僚にそのことを手紙に書いたところ、それは魂が身体から抜けた空っぽの状態だったのでは?とのお返事が。生きているとは光の存在だということ。私がそれほどの闇を感じたのは、逆に母が生前それほど強い光を放っていたっていうことなのでは?、と言われ、ストンと腑に落ちたのです。恐怖が消えました。


■ 魂は減らない


ところで、人々がジンを恐れる理由の一つに、憑りつかれることで魂が減ってしまうということがあります。それをロップのお母さんはこんな風に説明します。

「ごかいよ。人間はたましいをなくしはしないわ。ちょっと分けてもらうだけだもの。それに、ジンがぬけ出るとき、人間にはまた新しいたましいが生まれるの。お母さんが赤ん坊にお乳をのませると、からっぽいなったおっぱいにまたお乳がいっぱいになるようにね。」(P.75)

そしてね、憑りついていた人間の悩みが消えると、ジンはその人間からはじき出されてしまうのです。悩んでるときの助けになって、その人が立ち直れば必要とされなくなってしまうジン。ちょっと切なく、ありがたいなあ、って。

私たちが悩みを抱えてるときも、もしかしたらジンのような存在がそっと支えてくれているかもしれない。そう思うと、周りに理解されなくても、強く生きていけるような気がします。




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