
今日の一冊はこちら!
帯に訳者の金原さんが“ずっと訳したかった”と書かれていたので、気になっていた一冊でした。
装丁もおしゃれで手に取りやすい。
短編集なのでサクサク読めるし、短編がゆえに、ファンタジー苦手な人でも、すんなりとその世界観に入れそう。
天使、ユニコーン、吸血鬼、小人にオオカミにエルフ。
楽しい話、ちょっと怖い話が9つ入っています。
特に惹かれたのは怖い話の方。すごくダークというわけでもないんですけど、どこか陰りも帯びていて、そこがすごくいいんです。陰陽のバランスとでもいいましょうか。
陽だけでも疲れるときってありますよね。かといって、現実的なことばかり見せられても、確かに自分の気持ちを代弁してくれてるところはあっても、なんだか疲れるし希望がない。
ところが、不思議。
ファンタジーで人間以外の世界も見せられると、いわゆる希望の話じゃなくても、なんか力がもらえるんですよね。
ああ、現代に足りてないのは、こういう物語なのかも、って思うんです。
なかでも印象的だったのは、ユニコーンの物語。
自分が何者だったかを忘れていた少年が、いままで生きづらかったのは、孤独だったのは、本当の自分の姿を見失っていたからと気付く物語なんです。
ここまでだったら、よくあるストーリーかもしれません。
でも、この物語はもう一歩踏み込む。
普通の物語だったら、“敵”や“悪者”として描かれる登場人物たち、彼らもまた光輝く存在だ、としているんです。自分では気づいていないけれど。
ここまで踏み込んでいるのは珍しい。私たちは、誰もが光輝く存在、そんな深いことを語る。わずか20ページで。
ファンタジーだからできること。
そのほかにも、オオカミの物語など、短編ながら壮大な物語が広がります。
オオカミと一緒に森を駆け抜ける感覚を味わえる。
こういう物語をときどき読み返すと、心が整う気がしました。
読めてよかった。
ぜひ。