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トレーニングのすすめ

『偉大なワンドゥードル 最後の一匹』(2008年) ジュリー・アンドリュース作 青柳祐美子訳 小学館

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今日の一冊は、サウンド・オブ・ミュージックでおなじみの女優ジュリー・アンドリュースの書いた物語。以前、彼女の書いたものでご紹介したのはコチラ↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

『マンディ』もよかったのですが、実は口コミを読むと、今日ご紹介するワンドゥードルのほうが好きという声をちらほら見かけまして、読んでみたというわけです。

 

ああ、ああ、そうだった。想像力を使うのって、こんなにもワクワクすることだった!

子どもの頃の純粋なワクワク感をよみがえらせてくれる、登場人物たちと一緒に別世界へ入りこめる、そんな物語でした。

 

小難しくないし、平易な文章なので、低学年でも本好きな子なら十分楽しめると思います。逆に高学年なら、本が苦手な子でも楽しめちゃうことでしょう。

 

はじまりは動物園。ポッター家の三兄弟妹、ベン、トムとリンディが行きたくもない動物園に行かされ、そこでちょっと奇妙な小柄の変わった老人に話しかけられます。それが、サバント教授。生物学を研究していて、なんとノーベル賞の受賞も決まったという教授と、ハロウィンの日に偶然の再会を果たし、子どもたちはそこから教授の家に通うようになります。

 

子どもたちは、教授が教えてくれた世界で最後の一匹の生き残りであるなぞの動物ワンドゥードルにすっかり夢中。ワンドゥードルってね、ワンドゥードルランドの王様なのですが、見た目は馬に近くて足はかなり短め、寝室用のスリッパを毎年生やす、という楽しい感じなんです。教授もワンドゥードルランドまでは行けたものの、まだワンドゥードル自体には会えてないそうで、みんなで会いに行くためにトレーニングを始めることになります。

 

このトレーニングが、シンプルながら実際にやっている人はなかなかいない!私たち大人もワンドゥードルランドに行きたいと思いませんか!?このトレーニングしませんか?

どんなトレーニングかというと……物事をよく見て気が付くようになること。身の回りの景色も、よくよく見ると、今まで見えなかったものが見えてくる。いままで見えなかった実にたくさんの色。自分がアリのように小さくなったつもりになれば、地面さえも今までとは違って見えてくる。盛り上がった土は小高い山のようだし、茂った草の葉は森のように見えてくる。

 

見たり、聞いたり、感じたり、味わったり、匂いをかいだりする力を上達させる。

 

ああ、これ経験あり!以前、薬草のワークショップに参加したことがあるのですが、参加前と参加後では見える景色が全く違ったんです。いままで“緑”というひとことでまとめていた景色が、急に豊かな個性を持ったそれぞれの草たちで彩られた景色に変わって迫ってきたんです。あれは、驚きだったなあ。

 

レーニングを積むことにより、教授は自分の心や精神を刺激して、どんな可能性にも敏感に反応し、信じられるように鍛えたのだといいます。だって、ワンドゥードルランドへ行く道はたった一つ、“想像力”を使うことだけだから。教授は子どもたちにこんな風に言います。

 

“……君たちには物ごとを表面だけで見て決めつけたりするのをやめてほしいのだ。そういうものだ、って当たり前に受け取ってはいけない。自分でもっと知りたいという心を持ち続けてほしい。すべてのなんでもないものの、ありきたりの説明の向こう側には、もっと奥の深い、わくわくするような発見が隠されているのだよ”(P.77)

 

教授は子どもたちに、音楽のすばらしさも教えるのですが、それは楽器を使った音楽に限らないんです。ただ水の流れる音、風のささやき、活気ある町のざわめき、鳥のさえずりが奏でる自然の音楽も聞く。

 

ああ、私最近ちゃんと見てるかな?聞いてるかな?感じてるかな?

反省しました。

 

そんなトレーニングを経て、ついにワンドゥードルランドへ!

しかし、待っていたのは数々の邪魔。ただ、景色は美しいし、食べ物は最高に美味しくて楽しい(←物語における重要ポイントです笑)ので、困難にあいつつも、楽しい気分のまま読み進められます。

 

果たして、子どもたちはワンドゥードル陛下に会うことができるのか!?

 

ラストは、個人的には科学の力じゃなくて、想像力で何とか生み出してほしかったな、という気持ちもありますが、それを差し引いても楽しい冒険ファンタジーでした。

 

さあ、今日から私たちもトレーニングに励みませんか?




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