
あっという間にあと数週間で今年も終わろうとしています。早い早すぎる......
さて、不定期で執筆依頼が来る某紙での読書のススメコーナー。
いつもは私が全て選書しているのですが、今回は、ふふふ♪ちょっと思いついちゃったんです。
何を?
そうだ!子どもたちのおススメを聞いてみたい!って。おススメはおススメでも、大人にススメたい本。我ながら、なあんて素晴らしい企画(←自画自賛笑)。
大人から子どもたちに手渡したい本、子どもから子どもへ、同世代におススメしたい本の特集は見るけれど……子どもが“大人もこれ読んで!”って思う本があったら、ぜひ知りたい。私自身がすごーく知りたかったんです。子どもからのおススメ本で世界を広げてもらった経験があるので。そんなわけで、今回の特集は、“10代の学生たちが大人たちと共有したい本”というのにしました。
残念ながら、コーナーのキャパは決まっていて7選まで。字数も限られていて。15歳から18歳の学生男女7人に選書してもらいました。本当は、子どもたちの熱い推薦文をそのまま掲載したかったし、一文字たりとも削りたくはなかった。が、実際には倍以上削らせていただいた子も(あの……字数伝えたよね笑?)。子どもたちにはPOPを書く感覚でお願いしました。もうねー、本当は100人くらいに聞きたかった!!!
より多くの大人たちに、子どもたちからのおススメ本を知っていただきたく、こちらでもご紹介することにしました。短い紹介文の中に、子どもたちが大人をどう見ているのかが垣間見られて、ドキッとします。
それでは、どうぞ。
- 『センス・オブ・ワンダー』(1996年) レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社
- 『千の扉』(2020年)柴崎友香著 中公文庫
- 『戦う操縦士』(2018年)サン=テグジュペリ著 鈴木雅生訳 光文社
- 『ムーン・パレス』(1997年)ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮文庫
- 『自由って、なに?(子ども哲学)』(2020年)オスカー・ブルニフィエ著 西宮かおり訳 朝日出版社
- 『布団の中から蜂起せよ』(2022年)高島玲著 人文書院
- 『ちいさいおうち』(1954年) バージニア・リー・バートン著 石井桃子訳 岩波書店
『センス・オブ・ワンダー』(1996年) レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社

最初に環境問題を世に訴えた生物学者の著者が、自然の動きに耳を傾け、美しいものを素直に受け入れる素晴らしさを綴る。
子どもは自然に触れると直感的に感動するが、知識や経験を持つ大人はそれを理性で捉えがちだ。本書通じ、忙しい大人にも自然の愛おしさを思い出し、子どもと共にその魅力を感じてほしい。
『千の扉』(2020年)柴崎友香著 中公文庫

入院中の夫の祖父から、いるのか定かではない人の人探しを頼まれる千歳、39歳。三千戸もある都営団地の中で交錯する登場人物たちの記憶と土地の記憶。
「自分が生きたかもしれない別の人生」「私だったかもしれない別の人」。扉1つ分の人生の差異は、運命的であるが故の悲哀を感じる。同じ形をした隣の扉を見て、立ち止まる大人たちへ。
『戦う操縦士』(2018年)サン=テグジュペリ著 鈴木雅生訳 光文社

第二次世界大戦下、敵軍の偵察飛行の中で人間や生の意味をめぐって展開された決死の随想録。著者本人のルポルタージュ文学。
「何のために死ぬのか」「何のために生きるのか」。高射砲の射撃音と弾幕に包まれながら著者は問いかける。生が拍動する筆致から紡がれる、サン=テグジュペリの鬼気迫る声を聞いてほしい。
『ムーン・パレス』(1997年)ポール・オースター著 柴田元幸訳 新潮文庫

孤独から自暴自棄な人生を送っていたフォッグ。愛、友情、喪失、そして偶然の出会いから自らの出自の謎にたどり着く傑作青春小説。
青春回帰。「出来事」の産物はいかに我々に映るか。自己を遡行し、ある意味で偶然としての自己を問う。どこかで自己に、あるいは自己に関わる出来事に情熱的になることを諦めた大人たちへ。
『自由って、なに?(子ども哲学)』(2020年)オスカー・ブルニフィエ著 西宮かおり訳 朝日出版社

哲学の本場フランス生まれの、根源的に大切な問題を楽しく考えるロングセラー絵本。
自由ってなんだろう?役に立つ?決まった正解のない素朴な問いを、子どもの頃の気持ちに立ち返り考えてみませんか?子どもと本気で語り合い、一緒に考えてみたい。そう願う大人にぜひ。
『布団の中から蜂起せよ』(2022年)高島玲著 人文書院

アナーキズム×フェミニズム。起き上がれなくても世界は変えられる。権力に抵抗し、生存を力強く肯定する著者による革命的エッセイ。
全部自分のせいだと思い、死の淵に立つ人に、どんな言葉が届くのか?“あなたは絶対に死ななくてよい”と、若き著者は挑むように宣言する。ここには絶望を生き延びるための言葉がある。
『ちいさいおうち』(1954年) バージニア・リー・バートン著 石井桃子訳 岩波書店

静かな田舎が、だんだんと都会化していく様子を、丘の上のちいさいおうちの視点で描いた名作絵本。
誰しも一度は感じたことがあるであろう、急速に発展する現代社会への疲れ。そんな疲れが和らぐかもしれない、ほっと一息つけるような絵本。現代の社会に少し疲れてしまった大人にもぜひ。
さあ、どれから手に取りましょう?私はいま『布団の中から蜂起せよ』を読み始めたところ。そして、大人の責任を感じているところです。
子どもの世界って子ども同士でさえ厳しいのに、大人が原因で苦しかったり窮屈な思いをさせるのはやめにしなきゃ。でも、すぐには世の中変わらない。だからこそ、やっぱりいい物語を手渡していきたいなあ、と改めて思ったのでした。そして、子どもたちからのおススメももっともっと聞きたいです。みなさんの周りの子どもたちが、大人と共有したいと思う本は何でしょう?ぜひ聞いてみてください。そして、よかったら私にも教えて下さい。