
小説は疲れ切った心に栄養をくれます。
探せなかった答えやヒントもあります。
そして料理も生きる力を与えてくれます。
【宙ごはん】あらすじ
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
【宙ごはん】あらすじと感想
おふくろの味
おふくろの味と言われてすぐに思い浮かぶ料理がありますか?
私が母の料理でパッと思い浮かぶのはタケノコの木の実和えです。
5月になると自宅の木の芽を摘んで旬のタケノコで作るそれは、良い香りがして毎年楽しみです。
毎日新聞の土曜日「話題の本」の欄で芸人のヒコロヒーさんはおふくろの味として思い浮かぶのは白滝と卵を炒っただけの味のない謎の一品と書かれていました。
名前も分からない料理だけれど、ヒコロヒーさんにとっての懐かしい味なんだと思います。
私の場合、子どもたちから思い浮かぶ料理は何を言われるのだろう?
嬉しい時、悲しい時、辛い時に母が作ってくれた料理として何か思い出してくれることがあるだろうか。
これを食べると元気が出るとか懐かしくて涙が出るなんてことはあるだろうか。
大したものは作れないけれど、生きていく中、心のどこかで、ほんのり温かくなるじんわりと体の芯から温まるような微かな思い出があればいいなと思いました。
【宙ごはん】
主人公の宙(そら)には母親と呼ばれる人が2人います。
産みの親は「お母さん」で、花野(かの)。育ての親は「ママ」で、風海(ふうみ)。
小学校入学を機に、愛情たっぷりのママと離れ、どこか不思議な花野と暮らすことになります。
そしてひょんなことから料理人「やっちゃん」から「料理」を通して「人間関係」について、生きていく上で大切なことを教えてもらいながら、成長していく物語。
成長していくのは、宙だけではありません。
宙の周りの大人たちも成長していくので、なんだかこちらも元気がでるのです。
完璧に見える人もそうでない人もどこか欠けていたり、いい部分も持っていたり…
それらは、周りからは全く見えないので分かってもらえません。
なのでつい、引きこもりがちになってしまいます。
それでも誰かが気づいて、寄り添えってくれる人たちがいるから1人じゃないって思える。
生きていく上で必要なものは「食べること」以外にもたくさんあります。
それらをどう乗り越えていくのか?
出会いや別れ、許すことや人は変化していくということ、そういった事を経験する中でその度にやっちゃんが作る美味しい「料理」があります。
人との関わりから、自分だったらどうするか?
手にして読んで良かったと心から思いました。
ヒコロヒーさんの書評
ヒコロヒーさんの書評を読み、読んだ本でした。
本書は、胃が重たくなる脂ぎった感傷ではなく、舌をやけどするような分かりやすい熱気を持った言葉を紡ぐでもなく、ざらりとした食感ながら曖昧にして飲み込むこともできるけれど、やはり喉元のあたりでじわりと熱を帯びて広がる、変な味の台湾のおかゆみたいな本だった。
毎日新聞「話題の本」より
ふわふわのパンケーキのような甘い話ではないけれど、同じおかゆでも私の場合、ザーサイの味がよく効いた熱々の中華粥といったイメージかな。
「どういうこと?」と思われた方は、一刻も早くお読みいただいて、納得していただきたいです。