
口先だけでは簡単に言えるけど行動に移すのはものすごく大変。
そして良かれと思い、最初に起こした行動は正しかったことだったのか?
夏の読書感想文全国コンクールの課題図書に作品が選ばれる常連であり、野間児童文芸賞、ひろすけ童話賞、河合隼雄物語賞など児童文学の主要な賞を続々受賞した、いとうみくによる書きおろし最新作。
※この記事はネタバレを含みます。
あらすじ
中3の冬、受験を控えた青山湊(あおやま・みなと)、七海未央(ななみ・みお)、周東律希(すとう・りつき)の三人は、
祠の前にしゃがんでいる小さな女の子を見つけた。雪はやんだようだが、気温は下がっている。何もしゃべらず、動こうとしない少女を放っておけば、凍死してしまうかもしれない。三人が下した判断は、この子を交番に連れて行くというものだった。それから四週間後、校長室に呼ばれた三人を迎えたのは、警察官たちだった。適切な判断と思いやりに感謝状が贈られたのだ。
高校生になった年の夏、三人はファストフードで再会する。七海が「これ見て」と出したスマホの画面には、親による子どもの虐待事件のニュースが映し出された。もちろん、あのときの女の子とは別人のニュースだ。しかし、三人それぞれがあのときの女の子の様子に不審なものを感じていた。名前や住所を尋ねてもけっして口を開こうとしなかったこと、交番に連れて行こうとしたとき暴れて抵抗したこと……。「もしかして、わたしたちすごい誤解をしてたってことはないかな」。警察から感謝状を贈られた三人は、自分たちの行動が間違っていなかったかをたしかめるため、あのときの女の子を探し始める。児童文学界のトップランナーが、人の善意とは、正しい行いとは何なのかを模索する高校生たちを描き切る。
作者:いとう みく(イトウ ミク)
神奈川県生まれ。『糸子の体重計』(童心社)で日本児童文学者協会新人賞、『朔と新』(講談社)で野間児童文芸賞、『きみひろくん』(くもん出版)でひろすけ童話賞、『あしたの幸福』(理論社)で河合隼雄物語賞、『ぼくんちのねこのはなし』(くもん出版)で坪田譲治文学賞を受賞。『二日月』(そうえん社)、『チキン!』(文研出版)、『天使のにもつ』(童心社)などが青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選ばれた。他の著書に、『かあちゃん取扱説明書』(童心社)、「車夫」シリーズ(小峰書店)、『夜空にひらく』(アリス館)などがある。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。
【真実の口】ネタバレ登場人物
真中ありす(まなかありす)
4歳。
1人でいる所を塾帰りの中学3年生3人に見つけられ、警察に保護してもらう。
1人でいてた理由とは…
周東律希(すとうりつき)
両親と暮らす高校生。
中学3年生の時、真中ありすちゃんを警察へ送り届けた1人。
青山湊(あおやまみなと)
律希の友人。高校生。
弟と祖母の3人で住んでいる。
小学6年生のころまでは母親はいた。
七海未央(ななみみお)
桜葉女子中を辞めて公立中に転校してきた。
現在高校生。
父親はIT会社の社長。(小2の時に母親が再婚した相手)
青山凪(あおやまなぎ)
湊の弟。4歳。
真中優香(まなかゆうか)
ホステスとして勤務中付き合っていた男性に妊娠を告げると姿を消され、店のママやホステスママに助けられなんとか出産し、印刷会社に就職し、ようやくありすを引き取ることが出来たものの、会社が傾きリストラにあう。
西村尊(にしむらたける)
ありすがパパと呼ぶ人物
司法試験の勉強中、ありすの母親と知り合い、同棲。
3度目の司法試験に失敗した時、ありすの母親はアパートを出る。
【真実の口】セリフとネタバレ感想
下手に正義感なんて振りかざして、、もし間違っていたなんてことになってごらんよ、どう責任とるの?
もしかして虐待かも?と感じながら、行動できない大人が発した言葉。
もし間違っていたら‥という思いが行動につながらないでいる。
この大人のように、見て見ぬふりをする大人が多いのかなと思いました。
責任や保身。
実際にそういった場面を見た事はありませんが、自分は行動出来るのだろうか?
子供達が「信じられなくさせてしまった大人」という言葉に、知らぬ知らぬの間に自分もそうなっているのかもしれない。と傷口に塩をふられたようなズキズキした痛みを感じてしまいました。
あのときちゃんと断っていれば、自分の気持ちを普通に素直に伝えていれば、こんなふうに気まずい気分にだってならなかったのだと思う。
中学の時に同じサッカー部の先輩に高校でもサッカーやろうぜみたいなことを言われ、本当は(やりたくないのにな)って思っていた主人公。その場ですぐ、自分の気持ちを打ち明けられなくて、モヤモヤしている。
つい他人が主役になってしまうんですよね。(こう言ったら相手はどう思うだろう)って。自分はこうしたいって思って言った時に、(嫌われるかもっ)て考えてついあいまいな答えになってしまうことってあります。
そうやって、知らず知らずのうちにしんどくなってしまう人が増えるんだろうなぁ。
いい人になんてならなくていい!!
勝手に決められるってやだよな
あ~これも「あるある」かなと思います。
あなたはこうだよね。という固定概念。
学校の先生にクラスの前で言われたりしたら…(先生にこういわれたからちゃんとしないと)みたいになってしまうんですよね。
でもおれはさ、サッカー好きなんだ。部活には入部試験があるわけじゃないしな。でもおれが高校でもサッカー部に入るって言ったらみんな驚くわけ。中学んときの同じ代のやつも、親も。下手なやつは高校ではやんないだろ、みたいに。
運動が苦手だけれど‥
サッカーが好きでやっているだけなのに、「あいつ、サッカーうまくないのにサッカー部入ってる」みたいに言われたり。
そうじゃなくて、好きだからやっているだけなのにって。
そう言える先輩がすごく眩しかった。
勝手に決めんなって思った。好きだから、高校でもサッカーは続ける。やるかやらないかを決めるのは周りじゃない。おれ自身だって
決めるのは自分。
誰がどう言おうと決めるのは自分。
自分の理想や思い通りにいかない事への悔しさ、苛立ち。
ドラマや世間が言っていることが正しく見えてそうなりたい。
そうならないといけないと思い込んでしまっている。
調和優先の日本社会にとらわれすぎている。
まずは、そうじゃないんだという事を気づけるようになる。
沢山の本を読んで多くの人が悩んでいるのは、同じような悩みなのだということ。
そしてその答えはマンガや小説に作者なりの答えが書いてあるということ。
何百年という昔から人間の悩みは同じの気がします。
いつの時代でも、同じ人間なのだから。
本をたくさん読んで、人の気持ちが分かるようになった。
多くの事を経験しアラフィフになった今そう感じています。
好きだから。…好きだから真剣に。
おれも小学生のころはただサッカーが好きでボールを蹴っていた。でも中学に入って、周りにうまいやつがどんどん増えて、そのうちだんだん、部活に行くのも苦痛になって、サッカーが楽しくなくなっていた。
だれかと比べて卑屈になって、そんな自分がいやで、原因になっているサッカーそのものを嫌いになっていった。
何かの部活動に入る前から、入る条件は「うまくて当たり前」みたいな所がありますよね。
友人達との会話で、部活動に入る基準を聞いていると、「◯◯やりたいけど、中学からやっている子ばっかりで、初心者は無理なんやって。」とか「ただやりたいだけやから、上手い子グループ・初心者グループがあれば良いのに」といった内容が多かった事を思い出しました。
人に決めつけられるのは嫌いだ。
勝手にわかったつもりになられるのも、不快でたまらない。だけど、自分でも気づかないうちに、同じことをしていた。
川上君のことだって、おれは誤解してた。誤解して、決めつけていた。
大人の私も同じです。
嫌だって自分では思ってるのに、人に同じことをしている。
決めつけているって事そのものを、なかなか気づけないものです。
だけど、一番気になったのは、あの目だ。体温を感じない、ガラス玉みたいな目をしていた。
何か違和感を感じる時って、目をみると分かる気がします。
目を見て向き合うこと。逃げないこと。
1つずつ積み重ねていくことで、信頼を築いていくしかないのだと思います。
あのとき、ありすを交番へ連れて行ったとき、おれたちはいいことをしているつもりだった。正しいことをして、人助けをしたのだと思っていた。そのうえ感謝状なんてものまで貰って内心、得意になっていた。
まだ、中学3年生で交番へ連れて行くだけでも凄いと思います。
先にも書きましたが信頼される大人になるために、向き合う事の大切さを改めて感じました。
ただ違和感の正体をたしかめたい。このままたしかめもせずに想像をして、もしもと不安がっているより、自分の目で見てたしかめたほうがいい。
ひとりひとりが行動を起こす。
それだけでも、前に進んでいるんですよね。
まずは本を読み、知ることから始めるのもいいなと思いました。
母親に愛されている子は、愛されている自信のある子は、母親に対して良い子であろうなんてしないと思います。
高校生が言った言葉。
わがままを言うことってダメな事だと育てられましたが、そうではないのだと思いましたね。
性格にもよりますが、同じ言葉を言っても人によって捉え方が違います。
その子どもを良く観察していないと、いけないので、子育ては難しいなあと思います。
一度でもサインを見逃すと、次は連絡をしてくれなくなる。信頼してもらえなくなる可能性があるからです。
児童相談所の職員の言葉。
サインを見逃さないためにも、大人たちの取り組み方が重要なのですよね‥
本当にだめなのはわたしたち大人だね。頼れない。信じられない、任せることができない。信じてもらえるには積み重ねていくしかない。
特に信頼を失ってしまった場合は、取り戻すためには、時間が倍かかると思います。
信じる、信じて貰うためには、やはり真剣に向き合う事が大切です。
でも、優香さんも父親の前では弱者だったんだよね。この人に言われたことはやらなきゃいけないって、そんなふうに心が…頭が支配されているんじゃないかな。はたから見たら選択肢はいくつもあるんだよ。逃げることだってできたはず。他人はいくらでも正解を言える。でも拘束されてるの。見えないなにかに。本人も気づかないまま。
怖いなあと思います。
気づかないところが‥
辛いのに辛いと言えない。体がポロポロになっても‥周りの気づきと行動が大切だと思いました。
おれは、・・・おれはたぶん、恵まれてるんだ。
(中略)あたりまえだと思っていた。両親がいることも、守られる事も、何があっても親は最終的には受け止めてくれる存在であることも。
平凡だと思っていたことは、少しも平凡なのではない。たまたま、偶然、ラッキーの積み重なりなんだ。
本当に。
主人公は高校生ですが、これが分かるって凄い事なんですよね。
つい当たり前に過ごしがちですが、毎日を感謝し、今ある事に全力を注ぎたいと思います。
おれたちは親の所有物でもないし、従属させられる関係でもない。
おれはおれのもので、おれの人生はおれが選んでいくものだ。
そうですよね。
つい、レールに敷かれた人生を送ったりしがちですが、自分の人生は自分で決める。
もがきながらでも、納得して前に進んでいって欲しいと願っています。