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【三人屋】あらすじとネタバレ感想 原田ひ香 実業之日本社

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訳アリ美人三人姉妹が営むお店。

朝はサクサクのトーストにコーヒ、手作りのジャムを出す喫茶店(三女)、昼はすだちの香りが漂うコシがあるうどんを出すうどん屋(次女)夜はスナックで炊きたてのご飯とつけものがなんともいえない味わい(長女)。

それぞれがなんだか訳アリで。だけど、どのお店のご飯もおいしい。

あらすじ

やっかい…だけど、温かい!

朝は三女の喫茶店、昼は次女のうどん屋、夜は長女のスナック――
可笑しくて、ホロリとしみる、商店街の人情ドラマ

お年寄りの多いラプンツェル商店街で、「ル・ジュール」が再開店した。時間帯によって出すものが変わるその店は、街の人に「三人屋」と呼ばれているが、店を営む三姉妹は、そのことを知らない。近所に住むサラリーマンは三女にひと目ぼれ、常連の鶏肉店店主は出戻りの幼なじみにプロポーズ、スーパーのイケメン店長の新しい恋人はキャバ嬢で!? ひとくせも、ふたくせもある常連客たちが、今日も飽かずにやって来る……。心も胃袋もつかむ、おいしい人情エンターテインメント!

三人屋 | 実業之日本社

6:00~11:00は、三女・朝日の喫茶店

メニューは、コーヒーと焼きたてパンのセットで390円。

 

パンはトーストなら半焼きかよく焼くのか?

朝から390円で手作りの焼き立てトーストにジャム。それにコーヒーが付く。

パンはトーストも生も、バターもジャムも、塗るのも全部お好み。

バターは塗る?

塗ってから焼く?焼いてから塗る?

量は?

タップリ?あっさり?

パンは切る?

そのまま・縦半分・一口大・切れ目

ジャム

半分だけ・ちょい乗せ

ジャムの種類

自家製⇒いちご・紅玉りんご・ゆずのマーマレード・桃・バナナ

市販⇒こけ桃・梅・ミルクジャム・ピーナツバター(ソントン/手作り)

コーヒー

ブレンドアメリカン・カフェオレ

濃い目・薄目

ミルクは多め・少な目

 

11:30~14:00は、次女・まひる讃岐うどん

香川の有名店から空輸で取り寄せた麺を食べさせる本格派。

かけもぶっかけも390円で、数種の天ぷらを置く。

細かく刻まれた芽ネギ、旬のすだちと、薬味のこだわり

うどん

1玉=小

2玉=並

3玉=大盛

4玉=食べ過ぎ

かけうどん・ぶっかけうどん

レモン/すだち

 

19:00~26:00は、長女・夜月のスナック。

おからどんぶり一杯、分厚いふろふき大根など、リーズナブルで大胆な突き出しが魅力。

ボトルを入れて飲み、〆に炊きたてのご飯を食べても、2、3千円と良心的。

メニューの一部

脂がのったまるまるした塩焼きサンマ

豆腐一丁そのまま

10㎝近くある大根煮

ご飯とお味噌汁(ご飯は炊きたての白飯で表面が透明でつやつや)

お味噌汁も出汁がきいていて身体に染みる。

キャベツの糠漬けなど。

 

原田ひ香 ( ハラダ ヒカ )

1970年神奈川県生まれ。2006年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ脚本懸賞公募の最優秀作受賞。07年「はじまらないティータイム」で第31回すばる文学賞を受賞し、作家デビュー。その他の著書に『三人屋』シリーズ、『ランチ酒』シリーズ、『東京ロンダリング』『母親ウエスタン』『三千円の使いかた』『そのマンション、終の住処でいいですか?』『口福のレシピ』『古本食堂』など多数。(2022年3月現在)

原田ひ香 | 実業之日本社

 

【三人屋】の好きなセリフと感想

出戻りの幼馴染に恋心を抱く鶏肉店の中年店主。

相手の気持ちは分かっているはずだったけれど、お互いの両親には確執があって‥

店を潰さない為には、たとえ他の店の商売を奪ってでもやらなければならない時がある。

彼の両親は心がきれいな人たちだった。誠実で優しくて、でも弱かった。

そういう親を本当はちょっと歯がゆく思っていた。

 

心がきれいで優しい人は商売に向いているのかは分かりませんが、芯が強い人だと思っています。

けれども幼少のころからそんな両親を見ていると歯痒くなる気持ちも分かります。

そんな両親に育てられたらズルは出来ないだろうし、責任感が強く、見かけが強そうな人に惹かれる気持ちはあるかもしれません。

そしてそんな両親や自分の気持ちが分かるのも自分が両親と同じ歳になって気づくんだなと…

 

世の中を渡り歩いてきた夜月。

彼女が思う女の幸せとは…

さまざまな女を見てきて、夜月は思う。

女の幸せは、容姿も身丈も性格も頭脳も性の嗜好も関係ない。

ただ運なのだと。本人にはどうしようもない運なのだと。

 

運とは、その人の意思や努力ではどうすることもできない事です。

けれども本人の意志や祈りなどで、運を変更できるといった事も多く言われています。

実際過去に様々な実験がされていたようですが、人間の意志や祈り等で運を変更できるという人間の持つ感情があるという証拠はないようです。

 

証拠はありませんが、自分を信じるという意味でその瞬間を一生懸命やることは大事なのかなと思います。

 

妻と愛人を天秤にかけた時、愛人をとった夫。その理由はこんな感じでした…

子供たちがかわいくないわけでなはい。けれど、勉は彩友美と付き合うようになってからわかったことがある。

俺は、自分自身以上に大切な存在はいない人間なんだと。

スモックみたいなそろいの青い制服を着ている2人を見れば愛らしいと思う。

それでも彼らのために自分の人生を犠牲にする必要があるのかというと、分からない。君は君、俺は俺、別々の人生だ。

結局彼らの人生のすべての責任をとることはできない。彼らが勉の人生のすべての面倒をみてくれるわけではないのと同じように。

幼い子供より自分をとった夫。

まひるが夫にとった行動は多くの女性がすることではないのかなと思いました。

 

 

次女のまひるは3人姉妹の中で一番真面目でしっかりしている。

長女に頼りたい時にはいつもいなかった。

そしてまた姉がいなくなった。

一度だって、姉がこちらの期待に応えてくれたことなんてない。

夜月には、ずっと失望させられっぱなしだった。

話したい時、相談したい時、決断してもらいたい時、近くにいたためしがない。

温かい言葉をかけて欲しい時、言ってくれたことがない。欲しいもの、くれたことがない。

それなのに、なぜ夜月を求めているんだろう。

どこかで、いつも。彼女の前に出ると、急に4歳の子どもに戻ってしまったような気持ちになる。

しっかりしている人ほど、口に出して言えないのかもしれません。

両親が亡くなってしまっているので、頼れるのは長女しかいないまひる

真面目でしっかりしている人ほど、周りからそんな目でみられ頼られてしまい、本音を吐けないでいるのだろうなと思います。

人って難しい…

 

 

姉の夜月が高校2年生の時に同級生の大輔と家を出て以来、微妙な関係になってしまったそれぞれ3姉妹。

今はなんとなくわかる。

男女はほんの一瞬で変化し、すべてがひっくりかえるほどの成長や後退を見せることがあるのだ。と。

あの2人には何かがあったのだ。

誰にも話せない、まひるも知ることができない、何かが。

男女の関係。恋愛は人を狂わしてしまう。

周りが見えなくなって誰にも止めることができないのが、恋愛なのでしょうね。

どんな恋愛であっても恋愛を知らない人よりも成長出来るんだと思います。

傷ついてそれを乗り越えられるのも本人しか出来ませんが。

やはり人って難しい。

 

夜月がいなくなり、なんとかスナックをきりもりする朝日とまひる

そんな時どことなく違和感を感じてしまう。それは何なのか?

朝日は思う。人と言うのは、朝と夜とでこんなに変わるものかと。

いや、1人1人の人間はそう変わっていないのだ。皆、良く知った顔ばかりである。

なのに何かが違う。

懸命に営業していく中で、それは「距離」なのではないかと思ってきた。

人との距離感。

自分のテリトリーに土足で入ってこられるとやりにくい。

その距離感は人によって違います。

その距離感をうまくつかめない人とやっていくのには慣れなのか…

 

 

夜の仕込みをするまひる

夜月のような味が出せず、常連客からはなかなかOKがもらえないでいた。

仕込みをしながら考えるまひる

どこかでもう諦めていた。

きっとこのまま、姉は帰ってこず、まひるの白飯は完成せず、ずっとダメだ、足りない、と言われながら、人生を送っていくような気がした。

それがまひるの人生だったから。

姉の不在の埋め合わせを満足に出来ず、街の人や大輔や友人に失望されて生きてきた。

たぶん、親にも。

なんで人は決めつけから入って考えてしまうんだろう。

私もやってしまいます。

話し合ってもいないのに、今までの環境から諦めが入ってしまってそうなるのでしょうね。

毎日ホウキで部屋を履くのですが、1日に何度履いてもゴミは出てくるし、そのゴミを毎日履かずにおいておくとたまりにたまって、汚れてしまう。

人の気持ちも同じ。

どれも些細な事の積み重ね。その場で言えなかった事。

きっかけがあるといいのですが、なかなかお互いの想いを伝えるというのは難しいなぁと思うのでした。

 

 

突然いなくなった夜月が北海道にいると知らされる朝日。

北海道にいるという姉。ここを捨てていくのだから、なにかしら大きな理由があるに違いない。男だろうか。金だろうか。

改めて考えてみると、朝日は夜月をよく知らないのだった。一回り離れていて、物心ついた時には家にいなかった。

父は、本当は喫茶店をしたくなかったのかもしれない。姉はここにいたくなかった。

自分だってどうしてもここにいたいわけではない。

ならば、ここにつなぎとめているものはなんだろう。

うちの家族はばらばらな思いを抱えていたのか。

多くの些細な積み重ねでお互い気持ちを伝えきれないままになってしまっているけれど、幼少時代の思い出はそれぞれが持っているのだと思います。

歳を重ねていっても、その時の記憶楽しかった記憶家族との思い出は誰しもが持っているもの。

それが彼女たちをつなぎもっているんだろうなと思いました。

 

 

姉が北海道にいることを、すぐにまひるに伝えなかった朝日。

そしてそのことを伝える会話。

「今、北海道にいるらしい。それのみ」

「なんで私に教えてくれなかったの」

「他に情報がないんだもの。あとはしばらく帰ってこないってことだけ」

「そんなのなんの意味もないじゃない」

まひるは顔をしかめたが、心の中で無事であることにほっとしていた。

「ほらね、そう言うと思ったから言わなかったの」

何年も家族と生活をしていると、なんとなくこう言われるだろうなと考えてしまい、本人に黙っていることがありますよね。

その場その場でなかなか言えることもありませんが、ケンカしてでも自分の思いはお互いに言えるように、そして最後には家に戻ってくる。そんな家族が理想なのでしょう。

 

 

音楽をやっていた時の父の知り合いだと名乗る男性から、父親は当時何処のオーケストラにも所属していない。そして所属していないとレコードは作られないと聞かされたまひると朝日。

‥が夜月が父の演奏が納められたというレコードを持ってやってくる。

真実は分かりませんが、朝日は考える。

父がレコードを残してくれていなくてもいいのだ。

本当に残してくれたのは、この店であり、あたしたち姉妹なのだ。

 

真実は分からないなら結局人がどう言おうと、本人がそうだと信じられればいいだけのこと。

それで良いと思いました。

生きていると色々ある。

人がこの世に生まれてくる確率はとてつもなくすごい。

その中で家族になれたのだから、三姉妹はこれから先協力しあってやっていくんだろうなと、今日はすだち入りのうどんを食べようと思いながらほっこりしたのでした。

 




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