
【いえ】【まち】を読んで【ひと】を読みたいと思い図書館へ行くも毎回貸出中。
この作家さん、好きだなと思ったら他の作品も全部読みたくなります。
そしたら置かれたあった【ライフ】も読んでみることにしました。
今回は【ライフ】のあらすじとネタバレ感想です。
前回の記事はこちら👇
jibunnnoikikata.hatenablog.com
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【ライフ】のあらすじ
アルバイトを掛け持ちしながら独り暮らしを続けてきた井川幹太27歳。気楽なアパート暮らしのはずが、引っ越してきた「戸田さん」と望まぬ付き合いがはじまる。夫婦喧嘩から育児まで、あけっぴろげな隣人から頼りにされていく幹太。やがて幹太は自分のなかで押し殺してきたひとつの「願い」に気づいていく――。誰にも頼らず、ひとりで生きられればいいと思っていた青年が、新たな一歩を踏み出すまでを描いた胸熱くなる青春小説。
【ライフ】の登場人物
井川幹太(いがわかんた)
27歳。大学卒業後、会社に入社後2年で辞めて、別の会社に就職後も半年で辞める。
父は、高2の時に亡くなった。母はその後再婚。
筧ハイツの1階102号室に住んでいる。
今はコンビニで働いている。
このコンビニこそがあの「いえ」「まち」でのコンビニなんですよね~。
ここでも「いえ」「まち」とつながってるんですね。
つながってるってなんか嬉しい。
郡唯樹(こおりゆいき)
筧ハイツの隣の大家さんの隣の家に1人で住んでいる高校生。
図書館のすぐ隣にある高校に通っている。
主人公が務めるコンビニには以前郡君の母親もパート勤めしていた。
母親は郡章恵(こおりあきえ)さん。現在両親は仕事の関係で北海道で住んでいる。
棋道部。
筧満郎(かけいみつろう)
筧ハイツの大家さん
筧ハイツの敷地のすぐ隣の一戸建てに奥さんの鈴江さんと2人暮らし。
共に70手前の夫婦。
中条(なかじょう)
筧ハイツの住人103号室。33歳。
深夜のゴミ捨てで知り合いになる。
フリーのライター。
坪内幾乃(つぼうちいくの)
101号室の女性
小さい劇団にいる役者さん。中条さんの知り合い。
萩森澄穂(はぎもりすみほ)
高2の時の同級生。
結婚式の代理出席バイトで偶然出会う。
大学時代の友人(筧ハイツでの仲間)
同学年全員経済学部
彦坂治哉(ひこさかはるや)
彦っち(ひこっち)・202号室
腕時計を作る会社に就職
会社が銀座だったため、しばらくは筧ハイツから通うが去年の3月に筧ハイツを出る。
芳賀英作(はがえいさく)
201号室
都立高の教師
大学卒業を機に筧ハイツを出る。
椎葉有沙(しいばありさ)
203号室
ハンバーガーチェーンの会社に就職
大学卒業を機に筧ハイツを出る。
羽鳥菊子(はとりきくこ)
喫茶「羽鳥」の店主。8年前に夫の憲吉さんを亡くしている。
筧ハイツから徒歩5分。
2階建ての一軒家の1階を店舗にしたような感じ。木の床に木のテーブルがゆっくりと並べてある。
壁際には新聞。だいたい店主の菊子さんがテレビを聞いている音が流れている。
息子さんは会社に勤めているが、高校2年生のお孫さんが、店に興味を持っている。
将来はパティシエを目指しており、いつかお店をやってくれたらうれしいと思っている。
おしぼりは、タオルおしぼりを出してくれ、コーヒーを注文するとピーナッツを持ってきてくれる。
ミントの香りがほんのりするあったかいおしぼりが良いなぁと毎回思います。
戸田愛斗(とだあいと)(がさつくん)
彦っちの後に引っ越してきた二階の住人。29歳
ペンキ塗料を作っている会社に勤めている営業マン。
以前に空手をやっていて絶対に一番になれないので、金色にコンプレックスを抱いているので、車は銀色にしているのだとか。
毎朝7時20分に起床。30分には出ていく。その間ドンドンカンガンはずっと。
帰宅時間はまちまち。
乗っている車はコンパクトカーだが、色は金色。
戸田藍奈(とだあいな)(がさつくんの奥さん)
軽の車で最近頻繁にやってくる。ショートの髪で色は茶色。30歳。
夫の浮気で距離を開けるため、別居中。
子どもを連れて週末によく夫の部屋に明るめのオレンジ色の車でやってくる。
美容師。子供がいるのでセーブしているが、子供が大きくなったらもっと働きたいと思っている。
戸田朱奈(とだあかな)
6歳。主人公になついている。
戸田風斗(とだふうと)
4歳。所かまわず、前転の練習をいきなり始める。主人公になついている。
草間睦子(くさまむつこ)
井川幹太の母。
離婚するはずだった父の浮気発覚後、末期がんが発覚し、離婚をとどまり死別となる。
再婚相手は草間和男(くさまかずお)さん。
みずまわりの工事を請け負う仕事。管理は息子の守男(もりお)さんがされている。
前妻とは死別。
船木雅代(ふなきまさよ)
スナック「船」のママ
市役所勤めだった井川の父の浮気相手。
井川幹太が務めるコンビニ
駅から8分歩いたところにある。
都道に面しているが、駐車場はなし。
貝原恒之(かいはらつねゆき)
井川幹太が務めるコンビニの店長。43歳。
離婚し、元奥さんと娘さんがいる。離婚の際、店長が家を出てアパートへと移り住む。
結婚していた時は奥さんもコンビニで働いていた。
店の近くに住んでいる。メゾン御園というアパート。
大下七子(おおしたななこ)
44歳。
明るく一緒に働いていて楽しい人。たくましい。
夫宗威(むねたけ)さん。名前の割りに勇ましくない。会社をリストラされた48歳。
小学5年と2年の子どもがいる。上が水瀬(みなせ)ちゃん。下が涼河(りょうが)くん。

【ライフ】の好きなセリフとネタバレ感想
やりたいことを見つけるのは、簡単なようで難しい。早い段階でうまくそれを見つけた人には決してわからない感覚だろう。
これ分かります。自分が何をしたいか分からないから悩むし、周りが先に進んでいくと不安になるんだと思います。
大学が水道橋でアパートは平井。中央線快速が停まらない水道橋から総武線快速が停まらない平井へ。中央・総武線各駅停車で十六分。快速が停まらないから家賃も安い。賢明な選択だろう。
もう平井。という文字から「いえ」「まち」を読んでいると出た!!「筧(かけい)ハイツ」となります。
行った事がない場所ですが、川沿いにある土手を散歩しつつ近所の人と触れ合うこのシリーズが好きです。筧ハイツが出てきたらもう、おなじみ「喫茶羽鳥」も出てくるのかなぁ~なんて思っていると勿論出てきます。
「何も言わなさそうなお客さんに見えたんだけどね。読み違えちゃった。」
何も言わないお客さんも、何も感じていないわけではない。中略
誰しもお客の立場で店員に対してこう思ったことはあるだろう。商品を見たいからその作業はあとまわしにしてくれないかな。でもそれをしてくれない人もいる。
あります。ちょうど見たい部分ドンピシャで商品を並べている店員さん。
遠慮がちにすいませんと謝る人や、その場から一旦離れる人、私は今仕事中で、商品を補充しています見て分かるでしょう。みたいな人もいます。明らかにどけない人の態度はさすがにイラっとします。
「なんでここにいるんですか」
いるんですか?と訊かれてはいない。いるんですか!と責められている。
戸田さんに頼まれて、二階で子供達と留守番をする幹太。何も知らずに入ってきた戸田さん奥さんとの鉢合わせ部分が面白い。
奥さんのびっくりした感じと、つい責める聞き方が子どもを守る母親であり、夫に対してのいら立ちがよくわかります。
たこ焼きを戸田さん親子と作るシーンを読むと(あ~なつかしいなぁ)と思います。昔はよく作ったなぁ楽しかったなぁと懐かしくなりました。
「ねえ、頼むから軽く考えないでよ。お願いだから、何かやるときは、先のことを考えてよ。それをしたらどうなるか、ちゃんと考えてよ。私のことはいいから、せめて朱奈と風斗のことは考えてよ。」
この気持ち分かります。先のことを考えてどうするか常に考えてしまう母親。
人は良いけれど、頼りない夫に対して言葉にする妻。
しっかりしたお母さんだなぁと思いました。
筧と郡。番地が1つ違いなうえにどっちも一文字苗字なんで。
しかも父親がトキロウで母親が章恵なんですよ。
筧さんは満郎さんと鈴恵さん。郎と恵も被る。
整理してみます。
筧 満郎・鈴恵
郡 時郎・章恵
郡君宅と筧大家さんの郵便物を間違えられる件が「いえ」と同じで懐かしかった。
確かにややこしい。郵便屋さんに対しての嫌がらせのようなよく似た感じの名前。
今じゃ、個人情報がうるさいので、かなり念入りにチェックしないとって思うだろうなぁと考えてしまいます。
あごの下に何の前触れもなく凄まじい痛みがきた。うわわわっと言って、僕は床にひざまずき、崩れ落ちた。そしてその場でのたうちまわった。
何事かと思いました。
救急車を呼ぶかどうかを迷っているうちに、少しづつ痛みがひいてくる感じ。その瞬間(もう少し様子をみよう)と思ってしまう。その様子見が致命的な結果を招くかもしれないのに、みてしまうって結構いるんじゃないのかなぁと思う。
救急車なんて大げさなって思ってしまうし、出来れば病院にも行きたくない。けどあの痛みがまた来ると思うと怖い。そんなことを頭の中でぐるぐるやってしまう自分を想像してしまいました。
この後主人公は正月休み明けに近くの内科に行きます。病名は「唾石(だせき)」尿管結石のように炭酸カルシウムが固まってできてしまうものらしい。その場で石を取って消毒して終わり。大きめの砂糖粒のような白い石がザリザリ動いた時に痛みがくるらしい。考えるとゾッとする。
痛いのはいやだ。でも死ぬこと自体をそんなに恐れてはいない。自分ではそう思っていた。でも床をのたうち回っていたあのとき、死にたくないとはっきり思った。やはり思うのだな、と思った。
これ、私も思うだろうな。急にそんなことになると、やり残したことが結構出てくる気がする。書いているブログもリライトしたい記事がたくさんあるし、まだ読み切れていない本やその感想も書きたい。使わないで大切にとってあった物もまだある。私の場合はかなり物は少ないけれどまだまだ物があるんだなと感じています。やり残したこともある。旅行。そう考えたらまだ生きてやり残したことをやり切りたい。
風斗くんは犬に向かって走ったわけではない。走り出したら前方にその犬がいた、という感じ。すれちがいざま、犬がいきなり進路を変えて風斗くんにとびかかろうとした。
飼い犬がとびかかろうとして風斗くんが転んだのに、飼い主は何も言わずに立ち去ろうとする。これは読んでいて気分が悪かったです。反射的に声を出した主人公がかっこよかった。「いえ」「まち」が好きなのはきっと、この本に出てくる人物たちが私に似ているからだと思う。そして周りの人たちも。だからとても読みやすい。そして出来ることなら、話してみたい。
そして「ホケツ」や「ひと」が早く読みたい。
「いえ」「まち」にも出てくる高校生の郡くん。お父さんは航空会社に勤めていて母親と一緒に北海道で住んでいて、今1人で自宅に住んでいるあの郡くん。
その郡くんは頭が良い。たとえば
自分で何かしたいんです。会社でなくてもいいんですよ。自分で始めたものなら、仕事も苦痛でなないと思うんですよね。1日12時間でも働けるというか、サボるさんて発想はなくなるというか。難しいんでしょうけどね。それができないから、みんな会社に入るんだろうし
高校生でこう言えるって凄い。そう思って読んでいると、主人公も同じことを言う。そしたら郡くんは、高校のうちからそういうのがはっきりしていて、そこに向かっている人だけが一流になる人。そしてそんな人はもうスタートを切っているとはっきりと答える。やっぱり、しっかりした子だ。
中条さんの死後、部屋を片付ける所は読んでいてとても辛かったです。
親として耐えがたい悲しみに見舞われるその悲しみは今もそして今後も続く。
でもお2人が僕の前で涙を流すことはなかった。涙はもう涸れてしまったとでもいうような、どこか淡々とした感じがあった。受け入れたというのともちがう。ただあるがままになっている感じ。
親の姿を見る主人公も辛いでしょうが、親の立場として読むと辛い。
けれども生きている間に親しくしてくれた人に会えるという事は親として少しもの救いである感じがしました。
そしてその後の主人公の言葉は気になりました。
でも僕は自身の最も近くにいた人たち、両親のことさえ、ほぼ何も知らない。
本当にそう思います。近くの人の方が何も知らない気がします。
身近にいるせいで、コミュニケーションが少なく自分の中での思い込みで処理されている感じ。だから本当は違うのに行き違いがあったりするんだと思う。
父の浮気相手に会いに行った主人公。そこで父親の想いを知る。行動に移した主人公。同じ立場としたら私もいっていたかもしれない。そうしないと後悔する気がしました。
お義母さんの面倒はおれがちゃんと見るから。そのぐらいの気持ちはちゃんとあるから
母親の再婚相手の息子、守男さん。
彼との会話でお互いの親がどうして再婚したのかが分かりました。それぞれと話をすることって大切。自分だけの思い込みで違う感じ方をしているならとても勿体ないと思いました。
最後に戸田さん一家。
栄転で引っ越す事になるのですが、筧ハイツのルーツが分かると「いえ」をもう一度読んでみたくなりました。