
「三千円の使いかた」や「三人屋」などでおなじみの原田ひ香さんの小説。
表紙やあらすじを見て、(これはおいしそうな物語に違いない)と思い読み始めたら…想像を超えた人生を見つめ直す小説でした。
【まずはこれ食べて】あらすじ
学生時代の友人同士で立ち上げたベンチャー起業の「ぐらんま」。
毎日が忙しく不規則な生活を送る中、1人の家政婦の筧がやってきて…
筧が作るご飯はシンプルだけど温かくてホッとする。
彼女が作る料理を通じて社員たちは自分の生活を見つめ直していきます。
そんな中、衝撃の事実が分かってしまう。
【まずはこれ食べて】気になる言葉
その魔女はリンゴとともにやってきた
池内胡雪(いけうちこゆき)の場合
何でも出来て秀才の姉とつい自分を比べてしまってる。
そんな彼女に普通と呼ばれるのが辛い胡雪。
出来る人は出来ない人の気持ちが分かりにくいのかもしれません。
本当は、気持ちを分かって欲しいだけなのに、つい正論を言ってしまう。
そんなこと痛いほどわかってるのに、それを言われると辛さが倍増することも知らずに。
普通。
普通という名の実は、とんでもなくハイレベルはエリート人生。
それに気づかないならともかく、本当は心の底で二人は気づいている。自分たちが一見普通そうに見えながら、すばらしく幸福な場所にいることを。
人は何を持って普通というのか、わかりません。
多くの経験をし色んな世界を見ることが出来た人は人の痛みや辛さを分かることができるのは確かだと思います。
そして人間は1つ歯車が狂ってしまうと人生が狂うということ。
それは誰にも起こりえることで、今ある状況に感謝することを忘れてはいけないと思いました。
ポパイじゃなくてもおいしいスープ
マイカの場合
老いも若きも聖人も悪人も知り合いも他人も、男と名のつくものにはついて行かないこと、2人きりで個室に入らないこと、それは店の個室でも同じであること、集団の飲み会でも飲み物から目を離さないこと。
娘を持つ母親なら、一番心配することだと思います。
自分の身を衛るために、気をつけないといけない事だと思います。
石田三成が昆布茶を入れたら
伊丹大吾の場合
「まずはこれから」
鯛めし。鯛の刺身に一つは胡麻だれ、もう一つは四国の宇和島風のたれがまぶしてある。白い御飯に載せて食べるの。胡麻だれの方は、お茶漬けにしてもいい
文章だけなのに美味しそうなご飯やメニューが書かれてあって、想像するのが楽しい。
涙のあとでラーメンを食べたものでなければ
桃田の場合
そうだ。ずっとうまくいっていなかった。
ずっとずっとうまくいっていないのを、見ないようにしてきたんだ、自分たちは。
見ないようにするのは簡単なのかもしれません。
向き合わなくても済むから。
だけど、それが何層にも重なってしまうとどうする事も出来なくなってしまうのも事実なんだと思います。
気づいた時に、ほどいていく。
逃げずに向き合う。
生きていく中で大切な事だと思いました。
目玉焼きはソースか醤油か
筧みのりの場合
彼らは何も知らない、自分たちがどれだけ恵まれているか。その代わり、色々な不満や悩みがあっても、小さい頃からちゃんと親がいて育てて貰った彼らは素直に愛情を示す方法を知っている。
当時の私は自分の事ばかりで、今のように感謝する事が少なかったなと思っています。
筧みのりの午餐会
※ネタバレあり※
田中の場合
なんか、もうわかった気がする。
柿枝がここを作ったのも、ここに来ないのも、結局、僕たちを支配するためなんだ。僕たちが罪悪感を持って、彼を心配し、はらはらしながら彼を探しているという状況が楽しいんだよ。そういう風にしか僕らとつながれないんだ
人は変わってしまうのかなぁ。
それとも本性なのか、信頼されていた柿枝は、ただ支配したかっただけ。
彼の気持ちだけは、よく分かりませんでしたが、人を見下す感じが第一印象とは違って悲しい気持ちになりました。
メンバーたちそれぞれの思いが章ごとに書かれてあり、真相を知ると、人間の弱さや複雑な心境がどれも分かる気がしました。
人生は何が起こるか分からない。
人って難しい。