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【キッチンセラピー】宇野碧 あらすじと感想

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どうしてこんなことになってしまったのか。

 

どうして私たちは、あの頃の大切な記憶を忘れてしまうんだろう。

 

つい感情にまかせて気持を抑えられず、その場で思いを口にしてしまう。

 

答えが欲しい。正解が欲しい。

誰か教えて欲しい。

 

どうにもならない感情と気付きを、料理がさりげなく教えてくれます。

 

【キッチンセラピー】あらすじ

第一話 カレーの混沌

旅先での出来事をきっかけに、人生の迷子になってしまった大学院生の話。

 

きっかけというのは不思議です。

 

心の器にヒビが入りかける寸前で本人が気づき、正しい処置をしたので、水が溢れることもなく、ヒビを固める事が出来ました。

 

第二話 完璧なパフェ

家事と仕事と子育てに追われ、自分の好きなものを忘れてしまった母親の話。

 

第三話 肉を焼く

キャリアを地道に積み上げるも、周りとのライフスタイルの変化に思い悩む医師の話。

 

最終話 レスト・イン・ビーン

町田診療所の主、モネの過去が明らかになります。

 

【キッチンセラピー】感想

気になったセリフと共に感想を書いていきます。

 

型にはめているつもりは無くても、ガシガシにはめ込んでしまっていた母親。

 

それを受け止め、本人も知らない間にストレスを溜めていく息子。

 

子どもは、器が溢れているのに受け入れようと必死で、ふとした拍子にヒビが入って壊れてしまう。

 

何もかも、分からなくなっちゃったんです。

何が分からないかも、わからないんです。

 

大した事ない事を、考えて考えて考え抜いて、連絡を取る。

相手はそんな事忘れているのに。

 

そんな生真面目な所が、自分を苦しめてしまう。

責任感があって、途中で投げ出せない。

 

そうやって知らず知らず自分を追い詰めていく人って結構いるんだなと思いました。

 

私の子育てを振り返ってみました。

もしかしたら、子どもたちはずっと私の意向を汲んでくれていたのでは?

私が何気なしに発していた言葉で傷ついていたのでは?と今更ながら反省するのでした。

 

景観というのは見るものじゃなく、身を置いて初めて感じられるもの

 

殺風景な杉林ばっかりだったのを剪定したり植樹したり自然と調和した露天風呂。

ただ、自然に任せたものじゃなくて、人が手を入れた事によって美しさが増すのは、まるで世界遺産の考え方のようです。

 

迷うのも楽しいもの。

 

迷っているうちに何となく辿り着くというのが、いちばん良い辿り着き方なのかもしれません。

 

人生は自分だけのもの。

かたつむりの歩みでいい。少しずつ、進んでいけばいい。そう思いました。

 

二章では、夫婦間の問題。

ちょっとした事でついイラついてしまう。

人間関係はほんのちょっとした些細な事なのに、そのままスルーして、ある日突然爆発してしまう。

自分のために時間と労力とお金をかけるのは良くないと思い込む主婦。

 

考えてみると私もそうだったのかなぁと思います。

 

無意識に。

 

母親は子どもの為に子どもを第一に考えて行動しなければならない。といった考え方が無意識にあったように思います。

 

私は何のために、毎日ごはんを作っているんだろう。

家族のため?家族のためってなんだろう?

 

やる事すべてにイライラする主人公。

自分はこんなに頑張っているのに誰も認めてくれない。

それどころか当たり前のように思われている。

少しは労いの言葉をかけてくれてもいいのではないのか。

自分がいなければ、何もできないくせに。

毎日をそう思いながら過ごしています。

 

完璧な自分だけのパフェを作るため、遠い昔に行った事がある懐かしの思い出の場所で気付きます。

 

あんなに怒る事なかったのに。

離れて思い出すのは、2人の息子のかわいい姿や私を感動させた言葉ばかりだ。

誰よりも私自身が、私を大切にしてこなかったのだ。

 

自分の為に自分の為だけの完璧なパフェを作るということは、なんか「違う」ということを自分でやり続けていながら、「違う」と1人で怒り狂っていたということ。

 

自覚することもなく、相手にきちんと伝えることもしていなかったということ。

 

人間は忘れる生き物だけれど、大切な事も忘れてしまう。

 

自分にも当てはまるようで、ちょっと胸の奥がジンと痛くなりました。

 

では、独身だと自分だけの時間があるのでしょうか?

 

3章では独身女性の物語。

妹の様に早く結婚し、出産を考えれば?と言う母親に対して心の中で思います。

 

どうしたらそんな勝手な事が言えるの?

男の人に頼らなくてもいいように、手に職をつけて自立してねって昔からさんざん言ったのあんたじゃなかった?

 

人は、どうしてこう上手くいかないのだろう。

維持なんて張らなくったっていい。そのままの自分を受け止めるだけでいいのに。

どうしてそれが出来ないんだろう。

 

2人以上の子どもを持つ母親というのは、どちらの子どもも可愛いものです。

比較するつもりもありません。

 

なのに、子ども達はお互いに全く違う記憶を持ち、その記憶は親は自分よりも‥と考えてしまうようです。

弟がいた私もそうでした。

 

自分の子どもたちには、絶対に比較しないと決めていたのに、それ以外の子育てで、私も自分の母親と同じ子育てをしていたように思います。

 

人の気持ちに気づき、寄り添うというのは、本当に難しい。

 

同じ子育てをしても、子どもは同じ考えじゃない。

 

心に余裕がある時や、性格、物事に対しての感じ方、とらえ方も違う。

 

だから、子育てに正解も不正解もないんだ。

 

自分を責めるのはやめよう。

 

独身でも既婚でも子どもがいてもいなくても、人が人生に悩むのは同じです。

 

最終話では、「食堂かたつむり」を思わせるようなシーン。

 

食堂かたつむり👇️

 

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強そうに見えてそうじゃない人。

 

防御のための言葉をもたないこの人は、いつも無防備に内臓を外部にさらしているのと同じようなものだったのだ。

 

そんなエミにとって自分の店はシェルターで、同時に他人とつながれる唯一の場所だったのだと。

 

エミの事を気にしていたにも関わらず、彼女の異変に気付けなかった彼氏。

 

集中し、見つめていれば、彼女の行動に気づけたのかと、自分を責めてしまうのでした。

 

それは結果論であって、運命であり、なるようにしかならないのではないかと私は思います。

 

相手は大人だし、付きっきりで見張る事なんて不可能だし、性格、感じ方全てにおいて理解するのは不可能だからです。

 

人間なので、感情的なる事って誰にだってあります。

 

言ってはいけない事もつい、言ってしまう。

 

分かっていたつもり。

つもりになっていただけ。

 

誰だってそんな経験があると思います。

 

この世界が欠けた部分を、エミの不在をどんどん埋めていこうとする力。

強い潮の流れのようなその力を前に、一人でどうすればいいのかわからなかった。

 

どんなに辛いことがあっても、人は忘れてしまう。

そうでないとまた、生きてはいけない。

 

結局人生はなるようにしかならないのです。

今を一生懸命生きるしかないのだと思うのです。

 

人は、他の人の痛みにはびっくりするくらい早く慣れるんだよ。たとえ自分の子どもでも、恋人でもそうなんだ。

 

 

作って食べて生きていく。

 

辛い体験を経験しても、人が生きていけるのは、時間と共に感情が薄れていくから。

 

波が少しずつ岩や砂浜の形を変えていくように、感情は少しずつ薄れていく‥

 

決して忘れてはいない。

 

それでも生きていかないといけないから。

 

今でも、あくびしたときとか、涙がだーって出てくることがあるよ。

お客さんが来たのに止められなくなったりすることが。悲しみの処理の仕方はみんな違うよね。

 

 

楽しそうに見える人ほど、人には言えない辛い経験があるもの。

 

だから、たくさん経験した人はその分、人に優しく出来るのだと思うのでした。

 

 




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