
「あの時ああいえば良かった」
「どうしてあの時、素直に言えなかったんだろう」
そんな時、結果は変わらなくても、想いだけでも伝えることができたら…
たくさんある条件をクリアし、想いを伝えるひとたちの物語。
そばにいたのにすれ違ってしまった人たちの、再出発の物語。
とある町の
とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座るとその席に座っている間だけ
望んだ通りの「時間」に移動ができるという
ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない
2.過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない
3.その席には常に白いワンピースを着た女が座っている
4.その席に座れるのはその女が席を立った時だけ
5.過去に戻っても、席を立って移動はできない
制限時間はカップにコーヒーを注いでから、そのコーヒーが冷めるまでの間だけ
めんどくさいルールはこれだけではない
それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる
喫茶店の名前は、フニクリフニクラ
この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった心温まる四つの奇跡。
第一話 お母さんと呼べなかった娘の話
義母に対して反抗的な態度を取り続けてきたアザミ。
当時14歳だった彼女には、それなりの理由がありました…
感情のすれ違い
私の好きな部分です。
本当にそうだなぁと思います。
感情のすれ違いは、どんな関係であっても起こりうる。
たとえば、親しい友達、同僚、親子、兄弟。
親しい距離の夫婦や恋人でも避けることはできない。
争いごとの根本的な玄は、大なり小なり、感情のもつれであることが多い。
なぜなら、感情は目に見えないからだ。
そして、人間は目に見えないものを想像する癖がある。
相手の感情を、言葉や仕草から勝手に想像する。
そして、どんな想像をするかは、自分の心の状態の良し悪しにも影響を受ける。
そんなアザミも結婚し、義母と同じような立場になって…
同じ立場になって初めて気づくこと
血の繋がらない子どもを育てる立場になって初めて、当時の母親の気持ちに気づいたのでした。
人は人生の中で(もう少し気づくのが早かったら…)と何度思うのでしょうか。
同じような過ちをし、先代が教えてくれているにも関わらずです。
どこかで、(わたしには関係のないこと)そう思っているのかもしれません。
フニクリフニクラ
過去は変えられないけれど、たった10分かそこらだけれど…
当時の想いを伝える事が出来るなら、こちらのカフェ「フニクリフニクラ」に行ってみたいと思う人はたくさんいると思います。
第二話 彼女からの返事を待つ男の話
どの物語も、当時の状況なら私も、そうしてるだろうなと思うことばかり。
小説として読んでいるから、第三者として見ているから、大人として読んでいるから、当時の気持ちがわかるのであって、どうにもならない気持ちを、主人公と同じように、ただただ見守るだけの自分がいました。
少しの勇気があれば、受け入れられる寛容さがあれば…
「あの時」の後悔は少し違うものになったのかもしれません。
第三話 自分の未来を知りたい女の話
自分の寿命を知りたいと思うだろうか。
自分が、癌だと分かった時、助かる確率が60%だと分かった時。
「自分」の気持ちだけで、物事を進めようとしていた主人公は、「ある事」に気付きます。
実は私も、読みながら主人公と同じことを考えてしまいました。
主人公が、決めた運命とは!?
第四話 亡くなった父親に会いに行く中学生の話
父親に会いに行く主人公がとにかく強い。
私だったら、泣いてばかりでどうしようもないなと言うのが正直な感想。
そんな主人公は、まだ中学生。
私はもう人生の折り返し地点にいる年齢だけれども、その半分の年にも満たない彼の気丈な態度に感心しました。
あり得ないお話ですが、こんなカフェがあったら良いのになっと毎回思います。
【愛しさに気づかぬうちに】
人は、生きているときにしか、伝えたい事は伝えられません。
大切なことを言うのは、言いにくい。
そして聞きたくないことが多いのかもしれません。
それでも、相手が言おうとしているのなら、聞く側も聞く準備をし、相手が言いやすい雰囲気を作ること。
そんな当たり前の事ですが、自然に出来る様にしていきたいと思いました。
誰しもが抱える心の傷に寄り添う作品です。