
友だちや先輩、親との距離感が難しい年ごろの中学生の主人公たち。
新学期が始まってなんとかグループに入れたものの、お互いの空気の読みあいで、居心地が良くないと感じる毎日。
そんな息苦しさの先にみつけたものとは…
人にどう思われるか気になる人に読んで貰いたいお勧めの1冊です。
※内容に少しネタバレが含まれますのでご注意下さい※
【透明なルール】あらすじ
中学受験国語で出題多数の小説、
『キャプテンマークと銭湯と』『ソノリティ はじまりのうた』の佐藤いつ子氏最新作!
平凡な中学生・優希は、クラス替えでたまたま「1軍」のグループに入れたものの、本当の自分を隠して生きている。
成績が悪いフリをするし、オタクなところは絶対にバレたくない。クラスメイトの投稿に「いいね」をつけるかどうかも悩む。
そして家でも、生理用品を買ってと親に言えない・・・・・・。「周りからどう思われるか」を気にするあまり、生きづらさを感じる優希が、不登校ぎみの転校生やマイペースなクラス委員との心の交流を通じて、
自分を縛る<透明なルール>に気づき、立ち向かっていく。
教室の雰囲気やSNSの同調圧力に息苦しさを感じる全ての人に、勇気をもたらす爽やかな物語。
作者
佐藤 いつ子:青山学院大学文学部卒業。IT企業勤務後、創作活動開始。
『フリマでゲット!』で第30回日産童話と絵本のグランプリで優秀賞受賞。
既刊に『駅伝ランナー』全三巻(角川文庫)、『キャプテンマークと銭湯と』『ソノリティ はじまりのうた』(KADOKAWA)がある。横浜市在住。
【透明なルール】の登場人物
佐々木優希(ささきゆうき)
春から中学2年生になり、担任の計らいで出席番号順ではなく、くじ引きでの席替えとなり、器用な手が幸いし編み込みをしてあげた事で、クラスの中心的存在のグループに入ることになる。
1年の時に実力テストで校内1番を取った事が自信になっていて、ひそかに勉学に励んでいる。
父親の趣味でもあるレコードに夢中だけど、周りには恥ずかしくて言えていない。
母親は病気で他界している。
生徒会に所属。
生徒会は部活動に所属していない生徒が入らないといけないルールになっている。
辛島先生(からしませんせい)
2年3組担任
優希が1年の時の英語担当の先生で生徒に人気がある。
2年3組の主な同級生
牧瞳子(まきとうこ)
テニス部
目鼻立ちがくっきり大きな目をしている学年でも目立つ存在。
優希の後ろの席で始業式の日優希に編み込みをしてもらった事で仲良くなる。
河合まどか(かわいまどか)
テニス部
庄司楓(しょうじかえで)
テニス部
田中流星(たなかりゅうせい)
野球部学年でも目立つ存在
荻野誠(おぎのまこと)
生徒会所属。
マイペースで、いじられるタイプ。
運動が苦手でこけしオタク。
ふとしたことで、優希と親しくなる。
米倉愛(よねくらあい)
不登校気味の転校生
ギフテッド
北側先生
野球部顧問・生徒指導主任
【透明なルール】の名セリフ
※ここからはネタバレが含まれます※
目立つことしたら、いじられちゃうよ
同じ生徒会の誠は黒いローファーを履いている。
本物の皮でとても大切にしているのが分かるのですが、周りの男子からは「女子か」と笑われたり部活をしていない事で「暇人」と言われたりしています。
誠はそんな事気にしていない風ですが、それに対して優希はいじられることをつい気にしてしまいます。
中学生・高校生だけじゃなくても人にどう思われているかは、誰もが気にすると思うんですよね。
だから同級生の男子につい言ってしまう優希。
みんな違ってみんないいとかって道徳で教えるくせに全然そんなじゃない
ギフテッドと言われる持って生まれた才能から見たもの全て暗記でき数学は天才的頭脳の持ち主。しかし小さい頃から「協調性がない」と言われて生きにくい日常を送る愛。そんな愛が発した言葉。
分かりますね~。矛盾した世の中でどう接していけば悩むんですよね。
声をあげても聞いてもらえなくて、あげるとおかしいと言われてしまったら、「もういい」ってなってしまいますよね。
一度信じられなくなると、信用を取り戻すにはかなりの時間がかかってしまうし、本当に本人と向き合わないと想いは届かないので今の世の中もまだまだ息苦しさは残るのかもしれません。
三十五人いれば、三十五通りの心があるんだから
こちらも愛の言葉。
当たり前ですが人は同じにはなれないのに、何故か心1つにしたくなるんですかね。
それでもこの言葉があったから、前に進むことが出来た優希。
毎日を一生懸命に生きていたら取りこぼすことなく、言葉を拾うことが出来るのかもしれません。
【透明なルール】の感想
生徒会の目安箱に始めて入った意見書が入る。
なのに生徒会の先輩は有無を言わさず「そんなのいらないよね」の一言で、周りに意見を言えない雰囲気を作りその場でその話はなくなってしまう。
読みながら、(あ~これって親子でもあるなぁ)そう思いました。
子供の意見を聞かず「そんなのいらないよね」(いらないに決まってるよね)とこちら(親が)勝手に決めつけてしまい、意見を言わせない雰囲気を作ってしまうこと…
それは、その人の価値観であって周りはどう思っているかは分からない。気づかないままスルーしてしまうこと。振り返ったら数え切れないほどそうしてきたのかもしれません。
私だけでなく、他の人の話を聞いているとその多いこと。
大人になってから「あのとき○○が欲しかった」とか言われた時によく親は「言ってくれれば良かったのに」といいます。
けれど、子供は言いたくても言えなかった。
瞬時に言えない空気に支配されるんですよね。
それは、日常生活のちょっとしたこと。
その積み重ねがとてつもなく恐ろしいと感じています。
自分の思いを人に伝えたいけれど、恥ずかしくて言えなかったり親に心配かけまいと感情を押し殺してしまったり…
そんな頭の中がごちゃ混ぜになったり、不安になったりしてしまう。
優希と誠は不登校気味の転校生が言った言葉に対して…
自分が自分に作ってしまう、透明なルール
毎日を悶々と過ごす優希は、誠や愛との交流を通して自分を縛る【透明なルール】に気づき、前へ進もうとします。
この年齢で気づける所も気づくだけじゃなく行動できる主人公は賢いなぁと思います。
物語の後半に出てくる辛島先生の話も良かったですね~。
全部ネタバレするのもちょっとアレなんで、ご自身で手にとって読んでみてください。
短い本なので半日もあれば読めてしまいます。
同調圧力は、中学生だけじゃない、大人だって気にするよ~
そんな気持ちに寄り添い気づかせてくれる1冊です。