
表紙のイラストが温かくて、2人とも幸せそうで小さなハムスターがママに「だいすき」って言えたんだなと思い、そこに至るまでのストーリーが気になって手に取りました。
【だいすきっていいたくて】あらすじ
ページをめくると、タイトルの下にイラストがあります。
そこには、かわいらしいハムスターの子どもが、ベッドの上で柔らかくてふわふわしたあったかい布団にくるまれながら、すやすやと眠っています。
その横には、小さなテディベアも一緒。
布団にはうさぎ?のような生き物がハムスターを見守っている感じにも見えます。
ページをめくると、ハムスターはロラという名前で、気持ちのいい朝を迎え、なにやらとっても素敵な言葉が口の中に広がってきているようです。
その言葉を大好きな人たちに伝えようとするのですが、周りの人たちはみんな朝から大忙しでなかなか言うタイミングを掴むことが出来ません。
やっとのことで、言いかけるのですが、学校に遅刻しそうになって、おあずけになってしまいます。
スクールバスの中はうるさいし、学校についたら、先生は忙しそう。
となりの女の子にも、給食中も、ワチャワチャしていて、なんだか言える雰囲気ではないのです。
「ただいま」
家に帰っても、おとうさんやおかあさんは、お仕事にいっていて、誰もいません。
ロラはだんだん不機嫌になっていきます。
そんなロラにおとうさん、おかあさんは気づいてあげることができるのでしょうか。
【だいすきっていいたくて】感想 (ネタバレあり)
ここからは、読んだ感想でネタバレになります。
1998年フランスで書かれたお話ですが、この絵本はどの時代の人にも通じるものがあります。
子どもだけでなく、心が疲れている人、忙しい大人たちにも読んで自分の気持ちに気づいて欲しいです。
そしてたった一言ですが、「だいすき」という言葉は、こんなにも人を温かい気持ちにしてくれるのだと思いました。
せっかく気持ちの良い朝を迎えたけれど、おとうさんもおかあさんも忙しくてなかなか「だいすき」と言えないロラ。
「だいすき」
その後の相手の嬉しい気持ちや相手に伝えたことで、自分も嬉しくなる気持ち。
その気持ち、分かります。
私も大好きな人に「だいすき」と伝えると、相手も喜んでくれて、「ぎゅーっ」て抱きしめたら、あったかくて、安心で、心もほっこりするから。
だからロラは、忙しくしている人に「だいすき」という言葉を軽くあしらって欲しくなくて、言った後のハグも含め、相手の時間と心の余裕が欲しかったのだと思います。
けれども、「だいすき」を言うタイミングがなさすぎて、ロラは不機嫌になっていきます。
ついには、「もう言わない!!」と思うように。
ロラはまだ小さな子ども。
だからロラの事を、いつもよく見ているおとうさんやおかあさんに「なんだかいつもと違うな」と気づいてもらえました。
普段私たちが生活していると、誰かの不満に気づく事はまずありません。
(あの人、いつも不機嫌そう)と思われるだけです。
大人になるとロラ以上に、自分の気持ちを押し殺したり、我慢していたり、言うタイミングを逃したりしている人が多いのではないでしょうか。
相手の事を想い「波風をたてないこと」とか「いつも穏やかに過ごすこと」が目的になってしまい我慢して、つい自分の気持ちを押し殺してしまう。
これってとても怖いことなのです。
家族なら特に。
お互い相手に甘えてしまって「いつもの事」と決めつけてしまい、(ま、いっか)っで終わってしまう。
人は心に不満があると、一緒に食事をしていても、食事を美味しく感じることはないし顔も、しかめっ面になります。
そんな顔を見る相手も嫌な気持ちになってしまいます。
その時々で不満に思っていた事は、もしかしたら大したことじゃないかもしれません。
けれど、その時に我慢してしまうと、後になってからその時の気持ちには戻れなくなります。
何に腹が立ったのか、その時どう思ったのかという感情は、その時10だったとしても、後から20位に大きくなったり、5位に小さくなったりする可能性もあります。
そんないろんな「あの時言えなかった気持ち」を積み重ねたまま、「不満」を溜めてしまってきた人たち。
「どうせ分かってもらえない」「言っても仕方ない」
彼らは1つの不満が溜まっていくと、こんな風に思ってしまうようになってしまうのです。
人は、自分の事で頭がいっぱい。
だから他人のことなんて、正直ちゃんとみていません。
では、タイミングが悪くても、自分の事を分かってもらうにはどうしたらいいのか?
それは、自分の口から「どう思っているのか」を相手にきちんと伝えることで、気づいてもらうこと。
コミュニケーションです。
それしか方法はないのだと思っています。
一緒に暮らしていても同じです。
だけど自分の気持ちを「言葉」に表すのはとても難しい。
小さいロラのように、ほっぺたがどんどんふくらんでいって、おもわず言葉があふれ出すくらい自分の思っている事が言えるのが一番いいのですが。
まずは、そう言えるような環境にする。
心の中にあるモヤモヤした気持ちを相手に「わかってもらえた」と思ってもらえればいいのです。
子育てや夫婦、仕事でも、自分の気持ちを相手に伝えるには、何でも言える言いやすい環境が必要なのだ、という事をこの本から気づけました。