
夫に先立たれた整理収納が苦手なタカ子と彼女に依頼されたアドバイザーの真穂。
妻との家庭内別居で片付けが上手くいく男性。
存在を示したい妻など。
整理と同時に人生も整えられるのでしょうか。
【腕が鳴る】あらすじ
中村真穂は個性強めの整理収納アドバイザー。
依頼者の元に行き、散らかった部屋の片付けを手伝います。
物が溢れる理由は十人十色。
真穂は依頼者たちの話を聞き、その人に合った整理、収納の仕方を助言します。
【腕が鳴る】感想
小説を読んでいると、友人や知人と重なることが多かったです。
そのなかで、約10年両親と連絡を取っていなかった友人が、父親を看取った心境を語ってくれた内容は自分の生前整理について考えさせられました。
※すべて私の経験を基に、旅先や知人の話風景などを交えて、再構成したフィクションになります。
不器用な生き方
彼女の話を聞いて、私にとって最高の人生は「最後まで自分の面倒をみることが出来ること」だと思いました。
「若い頃の空白と、年老いた空白とはぜんぜん違うわ。」
「出来てた事が出来なくなるのをみると親の老いを感じるし、お互いの変なプライドが邪魔するねん。」
「素直になれないっていうか、こうして欲しいとか言わないと分からないし。どこに何があるのかって全く分からないし。」
「なんかさー、生き方が下手くそというか、全てにおいて、中途半端な人やったわ」
「例えば葬式にしても、遺品整理をしてると、一応考えてたみたいなんよね。」
「でも父がまだ元気やった時にやった事はパンフレットを取り寄せただけ。」
「その先がないのよね~」
「結局どうして欲しいのかが全く分からなくて。」
「やっぱさ、コミュニケーションは大事やよ。」
家族だからこそ、コミュニケーションが大切で必要なのに、肝心なことは何一つ話せない。
こういったことってあるよなぁと思いました。
小説の主人公も、亡くなった夫の日記を読み、こんな風に思っていたなんてという場面があります。
人はやはり自分の思いを相手にしっかりと伝えるのが大切だと思いました。
誰だっていずれ施設に入所する日は来るかもしれません。
でもその日は私が自分で決める。
誰かに決められたくない。絶対に。
そう思います。
今の人生を楽しむ
「もうさ〜、いまこの時間を楽しく過ごせるというのがなにより大事やわ。」
「だって、人生って上書きの連続やん?」
「この先何があるなんか分からないし、昨日嫌なことがあっても今日いいことがあったら、人生はいいもんだなって思えるから。」
ある日の友人たちとの会話です。
そうか。
男はつらいよの寅さんも言ってた様に、生きている間に人生は良いもんだなって思うことが何回かあるというのは、こういう人生の上書きのことなんだな。
jibunnnoikikata.hatenablog.com
だから誰がなんといおうと、今がその良いもんだなって思える時間なんだな。
この瞬間笑えたらいいんだって。
そしてその時間を増やそう、そう思いました。
最後までやり遂げる
「人並みに稼げなくてもさ、自分の仕事の価値を決めるのは自分なんやから、最後まで諦めずにやり抜いて欲しかったなって思うわ。」
「自分が良い仕事をしていると思えるならそれでいいし、他人の評価は関係なかったのにさ、結局見栄かなんか知らんけど、1人で悩んで全部中途半端。」
「結局最期こっちが全部背負ったって感じ。」
「今思えばさ、あの人たちは自分の人生やのに、どこか他人事のように生きてたんよね~。」
「だから何事にも必死にならないし、上手くいかないと逃げてばっかでさ。」
「自分たちの思い通りにいかないのは他人のせいだと思っているから、努力もしなかったわけやし。」
「ダメやって分かっててもさ、努力してる姿を見ていたら、私もっと手を差し伸べてたと思うねん。」
「それがなかったからさ。」
「人生に正解がないように、命の最期をどう迎えたいかも人それぞれ違うわけやん?」
「それも分からないままやったわ。」
友人が語る言葉は、亡くなった方の生き方がひしひしと伝わってきたように思います。
小説なのか現実なのか分からない世の中で、人が虚栄をはりたいのは、人間の欲なのでしょうか。
前向きに歩く
整理収納やお金について学ぶということは、前を向いて歩くこと。
自身の生き方を振り返り、整理すること。
【腕が鳴る】は、そんな世の中の自身や友人たちの事情と重なる部分があって「人間ってこんなもん」と思えるから元気が出て、前を向いて歩いていけるのだと思いました。
おすすめの一冊です。