今週火曜日は日本学術振興会(文科省所管)の研究費申請締切日でした。
全国の理系文系問わず、研究職らが申請する「科研費カケンヒ」というものです。
採択されれば数年間研究費を頂け、計画に従って自分の判断(厳密なルール内)で研究費を使うことができます。自分が獲得した研究費を持っていないと、試薬を買う度に教授に「○○買いたいのですが~」と許可が必要となり、ちょっと嫌です。教授が「そんなのやっても無理」と言われたら購入しずらいです。
自分の信念考えがあれば、ダメ元で購入し実験できます。その結果いいデータが得られることもあります。
自分で自由に使えるといっても、厳密な使用ルールがあり大学の事務方に細かくチェックされます。
「え~ これ使えないの~!!」ということも時々あります。税金が原資ですから当然です。
今持っている科研費が今年度で終了するので、今年私は申請年でした。投稿論文のリバイス(修正)・再投稿も重なってしまいパニック状態でした。
今週月曜日にようやく終わり、やっと静かな日々が戻りました。
研究者って楽しいこともたくさんありますが、いつも追い立てられている感じがします。データや論文がないとクビになることもあります。大学によっては数年に一度再任審査というのがあり、一定期間の論文数、科研費申請など審査項目があります。科研費申請は研究者として当然だと思いますが、私は論文数は辛いです。さらに講義実習などの教育業務もありてんてこ舞い。
じっくり研究していい論文に仕上げたいと思っても、論文数を稼がないと再任審査に落ちてしまいますから妥協して論文投稿しないといけなくなります。
また大学ポジション数も少ないです。博士号を取っても大学教員になるのは難しい。「ポスドク;ポストドクター」という大型研究費枠で採用される任期付枠ならまあまあの数がありますが、大型研究が終われば採用も終了。つまり「金の切れ目が縁の切れ目」です。大学雇いの「助教」「講師」のポストは限りがあり椅子取りゲームのような感じです。業績があっても「運」も大事です。
私は35歳で留学から帰国し、出身大学にポスドクのような任期助教として戻りました。子供はアメリカで一人、帰国後に一人出産しました。本当はもっとアメリカにいたかったのですが、35歳を過ぎると助教のポジションは難しく、また研究者としてアメリカで独立する能力もありませんでした。出身大学でポジションが一つ空いた時、恩師から「今戻れ!」と強制帰国させられました(涙)。それ以降はいくつかの大学を転々としました。私は研究者としての能力はそれほどありませんが、かなり強運の持ち主だと思います。辛いこともありましたが全体的にとても恵まれていました。ポスドク的任期助教をいくつかして、今の大学に流れ着きました。応募面接した際、あらかじめ
「旦那は単身赴任です。親と同居していません。子供は2人で共に幼稚園生です。」と正直に三重苦を伝えました。すると当時の教授が
「研究好きなんでしょ。じゃあ今までのように工夫して続ければいい」
と言って下さり、採用となりました。採用してもらえたのはおそらく「科研費」を持っていたことだと思います。研究費持ちの研究者はポジション獲得の際にも有利です。
採用してくれた教授には感謝しています。最初は教授が取ってきた研究費枠雇いのポスドク的任期付助教でしたが、その後大学雇い助教にして頂きました。40歳にしてようやく安定的ポジションにつきました。
元々の専門とは違う研究テーマ、出身とは違う学部の講義実習を受け持つことになり、ある意味かなり苦労しました。データはでない。
大学を転々としたせいもあり、継続した研究ができていません。そのため「私の専門はなに?」と思うこともありますし、「なんでこの仕事しているんだろう?」と不安でした。他人に「どんな研究されているのですか?」と聞かれても堂々と答えられないのです。
しかし今は、
「私、意外に今の仕事(内容)向いているかも。好きかも。」と素直に思える今日この頃です。
出身大学やもともとの研究分野に固執してたら出会えなかった人達、知識、仕事に出会えました。
大変ですが、良かったです。色々な研究テーマ(広く言えば分子生物学内ですが)を経験した結果、視野も広くなりました。
でも~ 再任審査の論文数は気が重い。。。
今再投稿している論文がアクセプト(採択)されれば、ようやく
「私の研究テーマは○○です」
と堂々と言えるようになると思います。
そうしたらアメリカの教授にメールしよう。
真鍋淑郎先生、ノーベル賞物理学賞受賞、おめでとうございます!
足元にも及びませんが、あともう少し研究職がんばろうと思います。
今日は茶道に興味ある同僚と職場で茶箱をしました。
お茶で心身ともにリフレッシュしてお仕事、頑張ります。

御仕覆の拡大写真はこちらです。

御裂地は?と聞かれたらなんて答えたらよろしいのでしょうか?
どなたか教えて下さい。
それではまた。